仲介手数料は、法令等で「これ以上は受領してはいけない」という上限が規定されています。しかし、上限以下の金額なら不動産会社が自由に設定できます。ですから、値引きも自由にできます。
ところが、仲介手数料の値引き交渉は、あまり成功しません。ほとんどの不動産会社が法令等で決められた上限額(物件価格の3%+6万円+消費税)で請求していて、事実上この「上限額」が相場になっているのです。
本稿では、仲介手数料の交渉について、成功率を上げるコツ等を交えて解説します。中古マンションを購入するご予定の方は、本稿で要点をつかんで、仲介手数料の節約に挑戦してみませんか?
Youtubeでも弊社代表の沢辺が仲介手数料を無料にする方法について、発信しております。
目次
中古マンション購入時の仲介手数料の交渉はしてもいいの?
中古マンションを購入する際、仲介手数料は値引き交渉できます。不動産会社が受領できる仲介手数料は、法令や告示で上限額が規定されているだけであり、その金額以下であれば自由に設定できるのです。
参考:宅地建物取引業法 第46条
宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索
参考:国土交通省告示 第493号
001307055.pdf
ただし、不動産会社が必ずしも値引き交渉に応じてくれるとは限りません。じつは、多くの不動産会社が、上限額で仲介手数料を請求しています。
ですから、基本的に「値引きしてくれない可能性のほうが高い」とお考えください。仲介手数料の相場は、事実上、国土交通大臣が定めた上限額と考えて差し支えありません。
ちなみに、上限額は「売買代金の額の3%+6万円+消費税」で計算できます (ただし、400万円を超える物件の場合)。その他、仲介手数料に関する詳しい解説は、以下の記事でご覧いただけます。
値引き交渉が難しい「仲介手数料」ですが、じつは最初から低価格に設定している不動産会社が増えつつあります。そのような不動産会社を選ぶのも、1つの方法です。
仲介手数料はなるべく安くしたい。いくらまでなら交渉OK?
不動産における仲介業務は、複雑かつ多岐にわたります。労力や専門性も考慮すると値引きを要求されるのは心外であり、やりたくないのが不動産会社の心情でしょう。
横のつながりがものを言う不動産業界は、交際費もかかります。ですから大幅値引きは難しく、そもそも値引きしてくれない不動産会社がほとんど、とお考えいただくほうがよいでしょう。
とは言え、まったく交渉できないわけではありません。条件が整えば、かなりの値引きも期待できます。いくつか、その「条件」をあげてみましょう。
- 不動産会社の状況:値引きに対する姿勢、社内規定、ノルマの達成度など
- あなたと不動産会社との関係性:よく利用している、先輩・後輩の間柄など
- 地域の状況:中古物件の数が多い(供給過多)など
- 物件代金の金額:金額が低い場合は、値引きしづらい
しかし、一般の買主が上述の条件を整えるのは困難ですよね。そこでおすすめしたいのが「端数切り捨て」です。「端数切り捨て」は値引き交渉でよく使われますので、不動産会社が感じる抵抗感も少ないでしょう。
たとえば、2000万円の物件の場合、仲介手数料の上限額は「72.6万円」です。このうち「2.6万円」の端数を切って70万円ちょうどにできないか、相談してみるのです。
ただし、物件代金の金額が低い場合は、端数といえども切るのが難しくなります。状況に合わせて、臨機応変に調整してください。
仲介手数料の値引きを交渉できる不動産会社の見分け方
不動産会社には「値引き交渉に応じない会社」と「値引き交渉に応じる会社」に大別できます。当たり前に聞こえるかもしれませんが、前者に値引き交渉しても無意味、という事実は忘れてはなりません。
たとえば、以下の不動産会社は値引き交渉に応じない可能性が高いので、ご注意ください。しつこく頼んでも応じてもらえることはなく、あなたの印象を悪くするだけですので、無理強いはやめておきましょう。
- 大手の不動産会社
- 特典を設けている不動産会社
では、どのような不動産会社なら、値引き交渉に応じてくれる可能性があるのでしょうか。2つほど、例をご紹介しましょう。
中小の不動産会社
大手不動産会社の多くは、社内規定にのっとった営業活動を徹底しています。値引きは上長の許可や社内稟議(りんぎ)が必要で、担当者が勝手に応じることはできません。
一方、中小規模の不動産会社は、お客様の要望に対して柔軟に対応してくれる傾向が強いでしょう。多少の金額なら担当者に値引きの決定権を持たせている会社もあり、交渉の余地があります。
専任・専属専任媒介物件の不動産会社
売主と不動産会社の契約は「一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約」の3種類から選べます。この媒介契約の種類は、値引き交渉の成否に影響しますので、確認しておくとよいでしょう。
なお、媒介契約の詳しい説明は、以下の用語解説に譲ります。意味をご存じない方は、ぜひ合わせてご覧ください。中古マンションを購入する際、不動産会社と必ず結ぶことになる契約です。
売主が「一般媒介契約」を選んだ場合は、仲介を複数社に依頼できます。一方「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を選んだ場合は、仲介を依頼できる不動産会社は1社のみになります。
後者の媒介契約では不動産会社にとってライバルがいない状態で、両手仲介(単独仲介)を狙えます。うまくいけば受け取れる仲介手数料が2倍になりますので、値引き交渉にも応じやすいでしょう。
ちなみに、不動産ポータルサイト等で、同じ物件を複数の不動産会社が取り扱っているのを見かけたことはないでしょうか。そのような物件や、取引態様の欄に「一般媒介」と書かれている物件は、まず「一般媒介契約」と考えていいでしょう。
仲介手数料を交渉する方法3つ
つづいて、少しでも値引き交渉の成功率を高めるために、意識していただきたい交渉方法をご紹介します。その前に、交渉を有利に進めるための前提条件として、もう一度以下をご確認ください。
- 「売買代金の額の3%+6万円+消費税」は上限額
- 買主は、複数の不動産会社に中古マンション探しを相談できる
それから、不動産会社の担当者も、あなたと対等な立場の人間であることを忘れないようにしてください。高慢に接すると体裁よく仲介を断られるケースもありますので、マナーと節度をもって交渉にあたりましょう。
それでは、3つの交渉方法をご紹介します。
購入意欲の高さを示す
値引き交渉を成功させるコツは、不動産会社が交渉に応じる「理由」や「動機」がつくれるかどうかにあります。買いたい物件が見つかったら、まずは購入意欲の高さを伝えましょう。
多くの不動産営業マンの給料は歩合制です。そして、仲介手数料は成果報酬ですから、売買契約に至らなければ歩合給はゼロになります。ですから、購入意欲の高さは営業マンにとって積極的に頑張る材料になります。
「かなりホットで、契約までの道のりが短い客」と思ってもらえたらしめたもの。「あなたに仲介を頼みますので、手数料を下げてもらえないですか?」と相談してみましょう。
値引きしてくれる不動産会社の存在を伝える
どこか1社が値引きに応じてくれたら、それを口実に他社とも交渉してみましょう。「○○万円くらい値引きしてくれる会社があるのですが、御社は値引きされていますか?」と打診してみるとよいでしょう。
ただし、交渉相手が不動産業界で長年働いているようであれば、嘘は見抜かれます。この手は、実際に仲介手数料を値引きしてくれる不動産会社を見つけてから使いましょう。
また、申込みを終えた後など、タイミングによっては乗り換えられないケースもありますのでご注意ください。
予算に限りがあることを伝える
もしも、値引き交渉する前に不動産会社から仲介手数料の提示があった場合は「思っていたより高かったです」と伝えてみましょう。さらに「用意できる資金に限りがあり、少しでも安くしたい」と添えましょう。
しつこくない程度にこのような情報を伝えておくと、唐突に値引き交渉するよりうまくいく可能性が高まります。それと同時に、担当者とよい関係が築けるように接する姿勢も大切にしてください。
地味であざといコミュニケーションに感じるかもしれませんが、担当者に「何とかしてあげたい」と思ってもらえる客になることが、交渉成功への近道です。
仲介手数料を交渉する時の注意点
最後に、仲介手数料を交渉する際の注意点を2つご紹介します。
- 媒介契約の締結前に交渉する
- デメリットがあることも知っておく
値引き交渉は、できるだけ不動産会社選びの段階(遅くとも媒介契約まで)で行いましょう。売買契約後の値引き交渉は、まず応じてもらえません。
仲介手数料を値切るデメリットも、把握しておきましょう。たとえば、こんなデメリットがあります。
- 担当者の意欲が低下する
- 仲介のクオリティーが下がってしまう
- 上客を優先して、後回しにされる
万が一、上述のような事態になると、購入活動が長引きます。買いたい中古マンションを買い逃す可能性も高まります。
どうしても住みたいマンションがある方や、短期間で引っ越しする必要がある方は、値引きより購入重視で進めていただくほうがよいでしょう。
実際にみんなはどれくらい仲介手数料を払っている?
「イエフリ」が2022年8月に実施したアンケート調査によると、全体の47パーセントが宅地建物取引業法で定められた上限額である「物件価格の3.00%」を支払っています。
図表:不動産売買時に支払った仲介手数料の金額
しかし、仲介手数料「無料」で不動産売買をした人は8パーセント、「1.00~2.00%」で売買した人は合計で35パーセントと無視できない数値です。2.00%以下の仲介手数料で不動産売買を行っている人が合計43パーセントもいることになります。今後も自分で調べて交渉したり、手数料を安くできる不動産仲介会社・サービスを選んだりする人がさらに増えていくことが予想されます。
こちらのアンケート調査の詳しい結果は以下の記事で読むことができます。
おわりに:仲介手数料の値引き交渉を成功させるには?
仲介手数料の値引き交渉において、買主の立場はそれほど強くありません。売主は比較的交渉に応じてもらいやすいのですが、買主の交渉には応じてくれない不動産会社が多いのです。
本稿でご紹介した値引き交渉のポイントを押さえ、かつ臨機応変に交渉に挑んでいただきたいと思います。しかし、それでもやはり「買主は分が悪い」と言わざるを得ません。
最も確実に仲介手数料を節約する方法は、最初から低価格に設定している不動産会社を選ぶ方法です。弊社のサービス「不動産仲介手数料無料機構公式サイト|イエフリ」でも、仲介手数料を無料(条件によっては半額)にできるようサポートしております。お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
ホリカワダット
インテリアコーディネーターと1級カラーコディネーター資格保有。主に住宅分野を専門とするライター・ブロガー。工務店営業支援もおこなう複業フリーランス。高気密高断熱の注文住宅を得意とする建築会社で約8年間、営業職を経験。年間200組のお客様をサポートした経験と、自宅の分譲マンションをスケルトンからリノベーションした経験をもとに、家探しや家づくりの資金計画などをわかりやすく解説します。
この記事を監修した人
株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。
株式会社了 代表取締役中西諒太(なかにしりょうた)
アパレル販売員をしながら独学で宅建士を取得。
賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理会社にて勤務を経て独立、株式会社了を設立。
現在は、不動産賃貸業・不動産関連Webメディア運営・監修を手掛けている。