マイホームや投資物件の購入で、マンション価格の値動きが気になっている方が多いと思います。

ここ10年以上に渡り「今後東京23区の物件価格は下がる」と言われ続けていますが、実は一度も下がっていません。

正確には新型コロナウイルスの影響で2020年2月から一時的な下落がありましたが、東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)のデータによれば同年6月には元に戻っています。

後述する内容を知らないままマンションを購入すると結果的に損したり、反対に「あのとき購入すればよかった」と後悔することがあります。

そこでこの記事では、下記の3つの内容についてご説明します。

  • 全国的に進むマンション価格の三極化
  • マンション価格が上がる物件と下がる物件の要因
  • 金利が変わるタイミングとは

以下で詳しくみていきましょう。

また、Youtubeでも、宅地建物取引士の資格を持つ弊社代表の沢辺が本テーマについてより詳しく解説中ですので、あわせてご覧ください。

全国的に進むマンション価格の三極化

今後のマンション価格の推移として考えられるのは、「全国的な三極化」です。
三極化については、不動産コンサルタントとして活動されている長嶋修さんもご自身の著書やテレビなどのメディアでお話されています。

東京に限らず、全国のマンション価格が下記のような3つのベクトルに分かれていくと言われています。

三極化の方向性
①今後も価格が上がり続ける物件
②なだらかに価格が下がっていく物件
③極端に価格が下がってしまう物件

東京都23区で例えると「今後も価格が上がり続ける物件」は、都心3区や5区にあるマンションです。今後他の地域でも中心地の価格は上がり、周辺は少しずつ下がっていくといった動きが予想されます。

価格が上がる物件・下がる物件とは

この章では、今後のマンション価格において「価格が上がる物件」と「価格が下がる物件」をエリアで分け、それぞれの価格変動の要因を具体的にお話していきます。

資産価値が上がるマンションと要因

価格が上がるとは、つまり資産価値が高い物件のことです。

資産価値が上がるマンションの要因について、弊社でも注目している3つのポイントをご紹介します。

都心の新築マンション

一例として、直近で1億を超える都心の新築マンションが購入直後に売りに出されており、1,000万円以上も上乗せした高値売却が成立したケースがありました。

ここまで高値だと手が出せる人は一握りですが、背景に挙げられるのは人気の新築マンションであったため購入者が抽選で決定されたことです。
抽選に外れた方の中に「多少高くてもどうしてもここが買いたい」といった方が残っていたのではないかと考えられます。

このような新築マンションは、今後も資産価値の上昇が続いていくでしょう。

再開発・建て替えエリア

「再開発・建て替えエリア」は、これから話題になっていくと予想されます。今後もさらに行われる予定なので、要注目のエリアです。

具体的には「高輪ゲートウェイエリア」の再開発や、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」による再開発が挙げられます。貿易センタービルなどのタワーマンションも、募集時の抽選は応募が殺到すると思われます。

外国人から人気があるエリア

上記のような物件は海外の方からも注目されていて、弊社でもほぼ毎月に近いペースで外国人の方へ物件を仲介しています。

また、ある大手金融機関の担当者さんいわく、住宅ローンの約3割が外国人の方だと言われていました。日本の不動産価格は上昇を続けていますが、海外の感覚からするとまだまだ安価なようです。
今後も、このような特定の地域に関しては、価格が上がっていくことが予想されます。

資産価値が下がるマンションと要因

反対に資産価値が下がるマンションの要因について2つご紹介します。

エリア選びだけでなく金利上昇も重要なポイントの1つです。

賃貸物件が空室だらけのエリア

地域によって「賃貸物件余り過ぎ問題」があり、資産価値の下落に影響を与えています。
サラリーマンでも手軽にできるワンルーム投資が過熱し、建てすぎたせいで周辺一帯のマンションが空室だらけになってしまったエリアです。

弊社にも「入居者募集依頼」のFAXがよく送られてきますが、家賃の4ヵ月分も報酬を出すケースが見られます。それほど入居が決まらないので、「利益が出にくい=資産価値が下がる」エリアになっていく傾向にあるようです。

金利上昇のタイミング

不動産価格の変動に直結する一番大きな要因は、金利の変動です。
一般的には、「金利上昇のタイミング」=「マンション価格が下がるタイミング」と思われています。

東京のマンション価格がこの10年間下がらなかった理由は、とにかく低金利で月々の返済金額が抑えられていたことに加え、住宅ローン控除制度が追い風となったからでしょう。

2022年より改正で住宅ローン控除は減額されましたが、それでもローンを組んで借り入れを行っている方が儲かるという異様な状況が、マンション価格が下がらなかった理由に繋がっています。

金利が変わるタイミングとは

では、金利が変わるのは一体いつ頃なのでしょうか?
私たちが想定できる範疇では大きく2つのタイミングが考えられます。

日銀総裁・黒田氏が交代した時

これまで10年に渡り日銀総裁を務めた黒田東彦氏が2023年4月に満期を迎えて退任しました。
新総裁として植田和男氏にバトンが渡されましたが、同じく2023年4月の会見では低金利政策の継続が適当であると発表され、今のところ利上げは行われていません。

しかし、世界的に見るとこの低金利は日本だけであるとも言われており、植田氏の方針次第で利上げはいつ起こってもおかしくない状況です。

グレート・リセット現象が起こる時

もう1つは2025年までに起こると言われている「グレート・リセット現象」が起こるタイミングです。
グレート・リセットとは社会情勢をとりまく金融や経済を意図的に一度リセットさせる世界的な動きのことを言います。

グレート・リセット現象による金利上昇は、今後の日本において不動産価格の水準が変化する大きな節目となることでしょう。
あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、不動産価格に影響する可能性があるため、注目しておきたい事項です。

まとめ:今後も価格が上がっていく物件を賢いタイミングで購入すべし

東京のマンション価格は、都心の新築マンションや再開発が行われている人気のエリアではまだまだ上がると予想されます。

「資産価値が低い家」は手放したくても希望の価格で売却できず、結果的に損することになりますので、これから購入する方は価格が上がっていく物件を見極めなくてはいけません。

本記事では東京を例にしましたが、中心地だけが値上がりしていく「三極化」は全国的に進んでいくと予想されますので、購入時の参考にしてみて下さい。

この記事を書いた人

松原 志津佳(まつばら しずか)

愛知県出身。投資用一棟アパートの販売・管理会社、リノベーション中古物件の仲介会社2社の勤務経験を経て、出産を機にフリーの不動産・金融ライターへ転身。
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)

千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。

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