不動産の売買で必要な費用である「仲介手数料」。売買する物件の価格と比べると少ないですが、それなりに多額の費用であり、マイホームを購入するときの諸費用として予算に含めて考えなければなりません。
そこで今回は、仲介手数料がどれくらいかかるのかについて、仲介手数料がどういった費用でどういった場合に必要になるのかも含めて解説します。

なお、仲介手数料の相場や決められた上限・計算方法について、弊社代表の沢辺がYoutubeでも詳しく説明しておりますのでご覧ください。

不動産を売買する際に支払う仲介手数料とは?

不動産を売買するときには、「仲介手数料」を支払わなければならないことがあります。決して安いものではないので、どういった費用なのか、いつ支払わなければならないのかについて知っておきましょう。

仲介手数料に含まれている費用

仲介手数料は、その名の通り、不動産会社に売買の「仲介(※)」を依頼した場合に必要となる費用です。具体的には、次のような業務に関する費用が含まれています。

  • 営業活動(ネットやチラシでの集客、購入希望者への物件の案内など)
  • 買主と売主の売買交渉や調整
  • 契約書等の書類作成や手続きの代行

営業活動に関する費用だけでなく、不動産売買に関する専門的な知識が求められる様々な業務についての費用が、不動産会社に支払う仲介手数料なのです。

※仲介ではなく「媒介」と言われることもあります。仲介と媒介は厳密には違うとされることもありますが、ほとんど同じ意味と捉えて問題ありません

仲介手数料が発生するタイミング

仲介手数料は成功報酬となっているため、実際に不動産の売買が成立した場合にのみ発生します。物件の売却仲介を依頼したものの契約に至らなかった場合や、購入しようと物件の内覧などをしたものの契約しなかった場合には、仲介手数料が請求されることはありません。

契約に至った場合は、「契約時」と「物件の引き渡し時」の2回に分けて、半分ずつ支払うのが一般的です。ただ、必ずこのタイミングで支払うことと決められているわけではないので、事前に確認しておくようにしましょう。

物件の種別で仲介手数料は変わる?

不動産を売買するとき、多くの場合で仲介手数料が必要となります。ただ、仲介手数料がかからないケースもあります。

マンション・戸建・土地では?

最初に書いたとおり、仲介手数料は「不動産会社が売買を仲介した場合」にかかるものです。そのため、マンション・戸建・土地などの不動産の種類で、仲介手数料がかかるかどうかは変わりません。

余談ですが、不動産の種類でかかるかどうかが変わるのが「消費税」です。建物は課税対象ですが、土地は消費税がかかりません。

新築・中古では?

同様に、新築と中古でも、不動産会社が売買を仲介しているのであれば、仲介手数料は必要です。

ただ、中古物件のほとんどが仲介で取引されるのに対して、「新築マンション」などの新築物件では、売主である不動産会社やデベロッパーから直接購入するものも少なくありません。売主から直接購入する場合は、仲介ではありませんので、仲介手数料は必要ありません。

仲介手数料の金額はどうやって決まる?

仲介手数料が必要になる場合、その金額は決して安いものではありません。物件価格によっては100万円を超えることもあるため、仲介手数料の金額のルールについても知っておきましょう。

仲介手数料には上限額がある

仲介手数料は、宅地建物取引業法に上限額が定められています。不動産会社は、その上限額までの範囲で自由に金額を決めることができます。上限額を超える仲介手数料を求められても支払う必要はありません。ただし、遠方での物件で出張しなければならないなど、特殊な事情がある場合は、実費で請求されることもあります。

仲介手数料の上限額は、下表のようになっています。

区分 仲介手数料率(消費税込)
200万円以下の部分 売買代金の額の5%
200万円をこえ400万円以下の部分 売買代金の額の4%
400万円をこえる部分 売買代金の額の3%

※いずれも税抜価格であり、仲介手数料はこれに消費税が加算されます

法律上はこのように定められており、400万円を超える物件の場合は、「200万円までの部分」「200万円から400万円の部分」「400万円を超える部分」を合計して計算します。

ただ、この方法では計算が大変です。マイホームを購入する場合、400万円以下の物件になることは少ないでしょうから、次に紹介する簡単に計算できる速算式を使うのが便利です。

計算方法と計算例

売買価格が400万円超の場合の速算式

仲介手数料=売買価格×3%+6万円(+消費税)

この速算式を使うと、物件価格がわかれば簡単に仲介手数料の上限額を求めることができます。

①売買価格が2,000万円の場合
2,000万円×3%+6万円=66万円(税抜)
66万円×1.1=726,000円(税込)

②売買価格が4,500万円の場合
4,500万円×3%+6万円=141万円(税抜)
141万円×1.1=1,551,000円(税込)

※消費税10%での税込金額です

仲介手数料を安くすることはできる?

仲介手数料は、上限額までの範囲で不動産会社が自由に決められますが、上限額で設定されていることが多いようです。中には、仲介手数料を安くしているところもあります。また、交渉して安くしてもらうことも不可能ではありません。
ただ、物件を契約する段階になって交渉するのは簡単ではないため、不動産会社に依頼する最初の段階で交渉しておくのが望ましいと言えます。

しかし、仲介手数料の値下げ交渉をするデメリットも考慮して慎重に考えるべきです。仲介手数料は、不動産会社が買主・売主の代わりに売買交渉したりする業務に必要なコストです。仲介手数料の値下げを求めた分だけ、不動産会社が物件探しや交渉などに消極的になってしまう可能性もあると言えるでしょう。

不動産会社の担当者が誠実に対応してくれないのであれば、仲介手数料の値下げ交渉をするのもよいかもしれません。しかし、その場合は、担当者を変えてもらったり、別の不動産会社に相談しに行ったりする方が、よりよい取引につながるのではないでしょうか。また、100万円の仲介手数料を20万円引き下げてもらうより、3,000万円の物件を20万円値引き交渉してもらう方が現実的です。

「仲介手数料を引き下げる」よりも、「より満足いく取引をする」という考え方で、値下げ交渉するかどうかを考えましょう。

おわりに:仲介手数料について理解し、できるだけお得に売買しよう

仲介手数料は、不動産会社に売買の仲介をしてもらう場合に発生するもので、宅地建物取引業法に上限額が定められています。新築マンションでは仲介手数料がかからないことも少なくありませんが、多くの場合で必要になるものです。

シミュレーターで実際に計算してみると、それなりに大きな金額になることに驚く方もいるかもしれません。しかし、専門的な知識でサポートしてもらうことで、より満足のいく売買をするための必要経費と考え、マイホーム購入の資金計画に含めておきましょう。

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この記事を書いた人

シニア・プライベートバンカー、1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本証券アナリスト協会認定アナリスト、MBA(経営学修士)横山 研太郎

ねこのて合同会社 代表。大手メーカーで経理、中小企業の役員として勤務したのち、ファイナンシャルプランナーとして独立。金融機関での経歴がないからこそ、お客様にとってのメリットを最大化するプランが提案できることを強みとする。保険だけ、投資だけに片寄ることなく、今の生活も将来の生活も可能性に満ちたものにするようアドバイスすることを心がける。

この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)

千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。

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