中古戸建物件には仲介手数料が無料になるものがあります。仲介手数料は物件購入にかかる費用の中でも大きな金額ですから、仲介手数料無料の中古戸建はとても魅力的です。
今回は、仲介手数料無料物件はどのようにして探せばいいのか、どうして仲介手数料が無料になるのかなどについてご説明します。
また、どんな中古戸建物件が仲介手数料無料になるか、Youtubeで弊社代表の沢辺が詳しく解説していますので、こちらも併せてご覧ください。
目次
中古一戸建ては仲介手数料無料にできる？
不動産を購入する場合、物件そのものの金額に加えて、さまざまな費用がかかります。そのひとつが「仲介手数料」です。
仲介手数料は、「売主と買主の間に入って交渉や契約に関する事務作業などをしてくれる不動産会社」に支払うものです。
家を購入する場合にかかる仲介手数料は比較的大きな金額ですが、一部では「仲介手数料無料」などをうたっている物件もあります。その中には、中古一戸建ての物件も含まれます。
仲介手数料はどれくらいかかる？
まず、仲介手数料がどれくらいかかるのかを知っておきましょう。
仲介手数料は法律で上限額が決められています。下のように計算される上限を超えない範囲で、自由に設定することができます。
| 売買代金 | 仲介手数料（上限） |
|---|---|
| 200万円以下 | 売買金額×5％ |
| 200万円超400万円以下 | 売買金額×4％＋2万円 |
| 400万円超 | 売買金額×3％＋6万円 |
※「売買代金」は消費税を除いた金額
※仲介手数料には、別途、消費税がかかる
例えば、物件の売買代金が3,000万円だった場合、仲介手数料の上限は
3,000万円×3％＋6万円＝96万円
（消費税を加算すると、105.6万円）
にもなります。
この仲介手数料が無料になったり、値引きしてもらえたりすると、かなり大きい差になることがわかるでしょう。
中古戸建の仲介手数料がかからない物件、安い物件はどんなもの？
では、中古戸建で仲介手数料がかからない物件や安くしてもらえる物件にはどのようなものがあるのでしょうか。
「売主」から直接購入する場合は仲介手数料がかからない
仲介手数料は、その名の通り「仲介してもらった場合」にのみかかる費用です。そのため、中古戸建物件などを「売主から直接購入した場合」には、仲介手数料はかかりません。
多くの人は不動産業者を通して、中古戸建を購入します。物件のオーナーから直接購入しようとしても、探すだけでも大変ですし、さまざまな交渉や契約書の締結などの専門知識がなく、トラブルにもなりやすいためです。
では、中古戸建を購入するときに仲介手数料をかからないようにすることはまずできないのかというと、そういうわけではありません。
不動産業者で売物件として扱われているものの中に、売主から直接購入できる物件もあるのです。
概要に「取引態様：売主」と書かれているものは、不動産業者自身が売主となっている物件です。この場合、不動産業者で購入しても、売主から直接購入していることになるため、仲介にはあたらず、仲介手数料はかかりません。
また、不動産業者が売主の物件は、仲介会社を通しても手数料無料にできることがあります。取引態様：売主と書かれている物件は、売主から仲介会社に手数料を支払って購入者を探してもらっていることがあります。（地域や物件にもよりますが、取引態様：売主の物件の8～9割程度）
この場合、仲介会社によっては買主側の手数料を無料にするサービスをしていることがあります。
不動産検索サイト上で、物件の仲介手数料が無料にできそうか…の見分け方について、詳しくは下記の記事（「仲介手数料無料にできる物件の見分け方」の章）で紹介しています。
不動産業者が売主の物件とは？
不動産業者自身が売主となっている物件は、不動産業者が以前のオーナーから購入した物件です。こういったものの多くは、中古戸建を買い取り、リフォームやリノベーションをして販売している「買取再販物件」と呼ばれるものです。
不動産業者としては、買い取ってリフォームなどをしたにもかかわらず、売れなければ損をしてしまいます。そのため、買取再販物件は必ずしも多くありませんが、物件全体の1割くらいはあると言われています。
取引態様が「売主」の物件は、物件価格にリフォーム費用や不動産会社の利益がある程度織り込まれています。そのため、手数料は値引してもらいやすいでしょう。
「取引態様：売主」物件の注意点
取引態様が「売主」となっている物件は、仲介手数料がかからず、そこだけを見ると明らかに「お得」です。しかし一方で、注意した方がよいこともあります。
（なお、ここで挙げる注意点は、取引態様が「売主」の場合のみに起きることとは限りません。仲介取引でもあり得ることとして読んでください）
①不動産業者が取引相手になる
仲介で取引をする場合、不動産業者は買主にとってのアドバイザーとしての役割を果たします。しかし、取引態様が「売主」だと、不動産業者は取引相手でもあります。
強引な不動産業者や担当者にあたってしまうと、自社が保有している売りたい物件をしつこく売りこんでくるかもしれません。
②余計な費用を請求される場合がある
「不動産業者を通して家を買う場合には、様々な費用がかかるもの」と思っている人が多いため、悪い業者にあたってしまうと、それに乗じて、本来は必要ない費用を請求されることがあります。（使途が不明な事務手数料など）
こういった注意点は、信用できる不動産業者であれば、ほとんど心配する必要はありません。大切なのは、物件を紹介してもらっているときの対応などを見て、誠実で信頼できる相手かどうかを見極めることです。
わからないことはその場で質問し、それに納得のいく説明をしてくれるかなど、コミュニケーションを通して判断しましょう。
取引態様が「仲介」でも「両手取引」の物件だと仲介手数料が安くなることがある
仲介手数料は、買主だけでなく売主にもかかる費用です。多くの取引で、買主の仲介業者と売主の仲介業者が異なりますが、まれに、訪れた不動産業者自身が買主側の仲介業者をしている物件が存在します。
ひとつの不動産業者が買主・売主両方の仲介をしている取引を「両手取引」と言います。一方、別の不動産業者が仲介をしている場合は「片手取引」と呼ばれます。
両手取引の場合、不動産業者は仲介手数料を双方から受け取れます。そのため、買主側の仲介手数料を値引きしても、片手取引よりも利益が大きくなるので、仲介手数料が安くなっていることもあります。
ただ、両手取引の物件かどうかは、ぱっと見ではわかりません。仲介手数料の交渉をしたときに、引いてもらいやすいという程度と考えておくのがよいでしょう。
「中古戸建で仲介手数料無料」だけにこだわらず、幅広く物件探しをしましょう
ここまで、仲介手数料無料でお得に買える中古戸建物件の探し方や注意点についてお話しました。
同じくらいの物件価格でも、仲介手数料が無料になれば、少ない負担でマイホームを手に入れることができますが、そんなにたくさんの物件があるわけではありません。間取りや周辺環境など、希望に合った物件で仲介手数料無料のものが見つからないこともあるでしょう。
マイホームは購入してからずっと住み続けるものですから、金額だけでなく総合的に考えることが大切です。だからこそ、仲介手数料無料の中古戸建物件だけにこだわらず、新築戸建なども含めて、広い視点で物件探しをすることをおすすめします。新築戸建てでも仲介手数料がかからないものは少なくありません。
不動産会社によっては、住宅ローンや諸費用を含めてどれくらいの負担になるのか、詳しいシミュレーションをしてくれるところもあります。いろいろ相談することで、信頼できる不動産会社かどうかの判断材料にもなるでしょう。
おわりに：数は少ないものの、お得に購入できる中古戸建もある
中古戸建物件の中には、仲介手数料無料でお得に購入できる物件があります。取引態様が「売主」となっている物件は、その不動産会社と直接取引することになるため「仲介」ではなく、仲介手数料がかかりません。
仲介手数料は物件価格の3％程度かかるため、それが無料になるメリットは大きいでしょう。しかし、仲介手数料が無料になる物件は1割くらいしかありません。間取りや周辺環境も満足のいく仲介手数料無料の物件が見つかればラッキーというつもりで、新築戸建なども含めて、いろいろな物件を見て、満足のいく家探しをしましょう。
この記事を書いた人
シニア・プライベートバンカー、1級ファイナンシャルプランニング技能士、日本証券アナリスト協会認定アナリスト、MBA（経営学修士）横山 研太郎
ねこのて合同会社 代表。大手メーカーで経理、中小企業の役員として勤務したのち、ファイナンシャルプランナーとして独立。金融機関での経歴がないからこそ、お客様にとってのメリットを最大化するプランが提案できることを強みとする。保険だけ、投資だけに片寄ることなく、今の生活も将来の生活も可能性に満ちたものにするようアドバイスすることを心がける。
この記事を監修した人
株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志（さわべあつし）
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。
