マンションデベロッパーとは?種類や役割、ゼネコンとの違いも解説

マンションを探していると聞こえてくる「デベロッパー」という言葉。
デベロッパーとは、英語で「開発」を意味する「development」から由来しており、オフィスや商業ビル、住宅などの主に大規模開発を行う会社組織を指した言葉です。
不動産業界の仕事はさまざまあり、各々の分野で専業する会社が存在しています。そして、業界構造も非常に複雑であるため、一般の方には全体像が分かりづらいという特徴があります。
本記事の主な内容は以下のとおりです。
- 「マンションデベロッパー」とはマンション開発を行う不動産会社のこと
- 不動産業界には、業態によって専門とする会社がある
- マンションデベロッパーは、各分野の「大企業」から派生した不動産会社が多い
- デベロッパーとゼネコンは「発注者」と「請負者」の関係
デベロッパーと混同されがちな業種として「ゼネコン」があります。インターネットでは「全く別物」という解説も多く見つかるのですが、実際はそうとも言い切れないケースも存在します。
今回は主にマンションデベロッパーについて、業界構造や役割、ゼネコンとの違いなど含めて詳しく解説していきます。
目次
不動産業界の構造とは?
マンションデベロッパーを理解するためには、まずは不動産業界の構造を知る必要があります。
不動産事業は下記の流れで進行していきます。
- 土地を取得する
- 建物を建築する
- 建物を販売する
- 建物を賃貸する
- 建物を管理する
- 建物を仲介する
不動産事業を一言で表すと「土地に建物を建築し、商品として売るなり貸すなりして収益を図る」というビジネスモデルです。そして建物が古くなれば解体し、新たに建物を建築します。
不動産はその名の通り「動かせない産物」です。土地が存在する限り、そこに「住む」「働く」「遊ぶ」といった暮らしの需要があれば、上記の流れを延々と繰り返すことができる事業なのです。
不動産業界の4つの業態
上述した事業の流れの中では、それぞれに専門とする会社が存在します。また、「総合不動産会社」と呼ばれる大手不動産会社は、自社あるいはグループ全体で全ての業務機能を持っていることもあります。
- 開発業
- 賃貸業
- 管理業
- 仲介業
開発業
開発業は「土地を取得する」「建物を建築する」ことが主な業務です。何もない土地の状態から最適用途の建物を考案・建築する仕事であり、不動産事業の中では最も川上に位置しています。
開発業者は建築した建物を外部へ販売することで、開発利益を得ることを目的としています。なお、今回のテーマであるデベロッパーもこの開発業者のことを言います。
賃貸業
賃貸業は「建物を賃貸する」ことが主な業務です。賃貸業はオーナーとして自ら行う不動産を所有する不動産会社、あるいは投資家から集めたお金で不動産を購入し運用する「リート」「ファンド」なども賃貸業に該当します。
管理業
管理業は「建物を管理する」ことが主な業務です。不動産オーナーからの委託を受け、建物の維持・修繕、賃料の出納など行います。また、分譲マンションの場合は修繕計画の策定や理事会の運営代行なども業務の一つです。
仲介業
仲介業は「建物(または土地)を仲介する」ことが主な業務です。仲介業には「売買仲介」と「賃貸仲介」があり、それぞれに専業する会社が存在しています。また、個人を専門とする、あるいは法人を専門とするなど得意分野もさまざまであり参入障壁も比較的に低いことから、不動産会社としては最も数が多いと言われています。
マンションのデベロッパーとは?
「マンションデベロッパー」とは、文字通りマンション開発を行う不動産会社のことを指します。先述の流れで解説した「土地を取得する」「建物を建築する」そして会社によっては「建物を販売する」までを行う会社です。
マンション開発には少なくとも数十億、大きければ数千億規模となるため、マンションデベロッパーは各企業とも資本が大きいことが特徴です。また、競合との差別化を図るために各社ともブランドを展開しており、同じエリアであってもブランドによって商品の仕様や販売価額が大きく異なるケースも珍しくありません。
なお、マンションデベロッパーは主に「マンション専業」の会社を指しています。しかし、現在においてはマンション開発のみで事業展開する会社は少なく、各社ともに賃貸マンションや物流施設など他用途の開発も積極的に行っています。
マンションデベロッパーの種類
マンションは大規模投資が必要となるため、各分野のいわゆる「大企業」から派生した不動産会社が多くを占めます。
- 財閥系
- 鉄道系
- 商社系
- 金融系
- ゼネコン系
- ハウスメーカー系
上記のようにデベロッパーは系統別に分けることができます。それぞれ系統で代表的な不動産会社を見ていきましょう。
財閥系
- 三井不動産(レジデンシャル)
- 三菱地所(レジデンス)
- 住友不動産
- 野村不動産
- 安田不動産
鉄道系
- 東急不動産
- 東急
- 阪急阪神不動産
- 近鉄不動産
- 名鉄不動産
- 相鉄不動産
- 小田急不動産
- 京急不動産
- 名鉄不動産
商社系
- 伊藤忠都市開発
- 双日新都市開発
- 住友商事
- 丸紅
- ナイス
金融系
- 東京建物
- 中央日本土地建物
- 日鉄興和不動産
- ヒューリック
ゼネコン系
- 大成有楽不動産
- 清水総合開発
- 大林新星和
- 長谷工不動産
ハウスメーカー系
- 大和ハウス工業
- 積水ハウス
- 旭化成不動産レジデンス
- ミサワホーム
- トヨタホーム
- パナソニックホームズ
マンションデベロッパーは系統によって商品性の特徴も異なります。例えば財閥系は「ハイブランド」の様な位置づけであり、事業を行うエリアは一等地が多く、また商品グレードも高い物件が多い特徴があります。
一方、ハウスメーカー系などは郊外の大型マンションを多く手掛けるなど、高級志向というよりは庶民志向の会社が多い傾向があります。この様に、系統によってマンション造りに対する姿勢は様々であるため、ご自身の嗜好に近いブランドコンセプトを持つデベロッパーを中心に家探しをするのも一つの方法と言えます。
デベロッパーとゼネコンの違いも知っておこう
デベロッパーと混同されがちなのが「ゼネコン」です。
ゼネコンとは「ゼネラルコンストラクチャー」の略で、土木建築分野で川上に位置している工事会社の事を指しています。
デベロッパーとゼネコンは「発注者」と「請負者」の関係にあたります。デベロッパーが建物を建築する際に工事の発注を行い、ゼネコンがそれを請け負うという形です。
このように解釈するとわかりやすいのですが、ゼネコンの中にも場合によっては、工事を請けつつデベロッパーとして事業に参画することがあります。不動産業や建設業は免許業であり、免許を持っていればどちらの事業も行うことができます。そのため実際のところは垣根が曖昧であり、世間の認識と実態が異なるケースが生じるのです。
おわりに:マンションデベロッパーはそれぞれに系統ごとに特徴も異なる
「マンションデベロッパー」とは、マンション開発を行う不動産会社のことを指しています。
マンション開発には少なくとも数十億、大きければ数千億規模となるため、マンションデベロッパーは各企業とも資本が大きいことが特徴です。
また、財閥系や電鉄系、商社系など派生もとの企業はさまざまです。その系統によって商品の特徴も異なるため、ご自身の嗜好に近いブランドコンセプトを持つデベロッパーを中心に家探しをするのも方法の一つと言えます。
この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。