不動産売却の翌年に支払う住民税はいくらになる?計算方法や事例を紹介

日本では所得が発生した場合に「所得税」と「住民税」が課税されます。
会社員である場合は、いずれの税金も「特別聴取」と呼ばれる給与からの天引き方法によって徴収されているため、実際にどの程度の税率・税額を支払っているかを正しく把握している方はあまり多くありません。
そして、不動産売却においても給与と同様に「不動産譲渡所得税(所得税)」と「住民税」が課せられます。不動産は非常に高額であるため、課税対象となった場合は給与とは比較にならない程の高額な税額となります。
そのため、不動産売却をする上では「どの様な場合、どのくらいの税金がかかるのか」を必ず把握し、売却後の納税も意識しながら資金計画を行う必要があるのです。
本記事の主な内容は以下のとおりです。
- 税金がかかるのは売却時に利益が出た場合のみ
- 所有期間によって税率が異なる
- 住民税は売却後の翌年に課税される
- 控除を有効に利用しよう
不動産売却における所得税と住民税は非常に高額となる可能性があります。
しかし、売却する不動産の種類が自己居住用(マイホーム)の住宅である場合、税率緩和や軽減措置などが非常に充実しているため、課税対象となることは実は珍しいことでもあります。
今回は「住民税」について、所得税との違いや控除制度についても触れながら解説していきます。
目次
不動産売却をした翌年にかかる住民税はいくらになる?
そもそも「住民税」とは、地域における福祉や教育など、公的サービスを行う目的で使われる税金です。
住民税はその地域の住人から限定して徴収しているため「地方税」と分類されます。一方、所得税は「国税」として国に対して直接納税します。
そして、不動産売却において所得税や住民税がかかるのは「売却益」が発生したときです。
売却益とは、売買代金(譲渡価格)から取得費用と売却費用を差し引いて算出された金額です。つまり、課税額の基になる金額は、売買代金ではなく「手元に残った利益」であることがポイントです。
計算方法
下記のとおり、税率は不動産の所有期間によって異なります。保有期間が長い方が税率は低くなる仕組みです。
- 短期譲渡(所有期間5年以下)の場合:39.63%(所得税30.63% 住民税9%)
- 長期譲渡(所有期間5年超え)の場合:20.315%(所得税15.315% 住民税5%)
所得税と住民税は「課税譲渡所得金額」に上記の税率を乗じて算出されます。
「課税譲渡所得金額」とは、不動産の取得時と売却時の差額を表しています。ただし、単純に購入価格と譲渡価格の差額ではなく、下記のように購入時や売却時の諸費用、軽減措置が適用される場合は特別控除も含めて計算されます。
- 課税譲渡所得金額=譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)-特別控除
「取得費」は、物件を取得した際の購入代金や仲介手数料等の諸費用を含めた総額です。また、譲渡費用は売却にかかる諸費用のことを表しています。
なお、取得が相続によるものなど、取得費の金額が不明である場合は「収入金額の5%」を計算上の取得費として見なすことができます。
この計算により課税譲渡所得金額がプラスであれば所定の税率による不動産譲渡所得税と住民税が課せられます。一方マイナスである場合は、当然のことながら課税されることはありません。
事例
事例をもとに具体的な税金を算出します。ただし、後述する軽減措置は考慮しないものとします。
例:7年前に3,000万円で購入(購入時の諸費用200万円)、4,000万円で売却(売却時の諸費用150万円)
計算式は下記のようになります。
- 4,000万円 −(3,000万円+200万円)- 150万円 = 650万円(課税譲渡所得金額)
- 650万円×20.315%(長期譲渡)=1,320,475円(所得税+住民税)
所得税と住民税の内訳は下記のとおりです。
- 所得税: 650万円×15.315%=995,475円
- 住民税: 650万円×5%=325,000円
上記のとおり、所得税と住民税の合計額は1,320,475円です。譲渡益が発生し、さらに特別控除などが無い場合、納税額は非常に高額となることが分かります。
住民税が課税されるのはいつ?
住民税は不動産を売却した翌年の4月以降に各自治体から「納税通知書」が送られます。納税通知書が送られてきた後に一括払いか、または6月以降の年4回の分割払いを選んで納税します。
住民税は前年の所得に応じて税額が決定される仕組みです。したがって、仮に2021年1月に不動産を売却した場合、住民税への反映は2022年4月以降となります。
住民税課税のタイミングを見計らって不動産売却を行うのがポイント
先述のとおり、住民税は不動産の保有期間によって税率が異なります。そのため、急ぎの売却で無い限り、5年以上の保有を行ってから売却することがポイントです。
- 短期譲渡(所有期間5年以下)の場合:39.63%(所得税30.63% 住民税9%)
- 長期譲渡(所有期間5年超え)の場合:20.315%(所得税15.315% 住民税5%)
なお、所有期間は不動産を売却した年の1月1日現在で決定されます。したがって取得した年から数えて6回目の1月1日を迎えたとき、5年超の所有として認められます。
つまり、仮に取得から実質5年間が経過していても、5年経過後の1月1日を迎えていなければ長期譲渡所得として認められないことに注意が必要です。
また、年末に売買契約を行い、年明けに引き渡しする場合、どちらかの日付を選んで申告することもできます。
短期譲渡の状態で、高値で不動産を購入したい人が現れた場合などは、納税後の手取り額を比較したうえで検討することがおすすめです。
控除を受けられる場合もある
不動産売却による税金には軽減措置があり、要件を満たす場合は確定申告することにより先述した「特別控除」や「特例」を受けることができます。
- マイホームの3,000万円特別控除
- マイホームの売却による軽減税率の特例
- マイホームの買い替え特例
- 空き家譲渡による3,000万円特別控除
控除を受けるためには複数の要件をクリアする必要があります。要件の詳細は国税庁のホームページで確認することができますので、興味のある方はチェックしてみてください。
この様に、マイホームの売却における軽減措置は非常に充実しているため、売却時に大きな利益が出ている場合でも、ほとんどの取引で課税されていないのが実態となっています。
不動産売却における節税の仕方はこちらからご覧いただけます。
おわりに:不動産売却後の住民税を正しく理解しよう
不動産売却では、売却によって利益は発生した場合に「不動産譲渡所得税(所得税)」と「住民税」が課せられる仕組みとなっています。
所得税と住民税は「国税」と「地方税」という大きな違いがあります。納税先が異なるため、税額も別々に計算されますが、その基となる「課税譲渡所得金額」は同様に算出されます。
なお、住民税は不動産を売却した翌年の4月以降に各自治体から「納税通知書」が送られます。納税通知書が送られてきた後に一括払いか、または6月以降の年4回の分割払いを選んで納税します。
不動産売却における住民税は高額となる可能性があります。しかし、マイホームの売却である場合は軽減措置が非常に充実しているため、仮に大幅な売却益が出たとしても、特別控除によってほとんどの取引で課税されていないことが実態です。
この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。