不動産広告には「商談中」や「成約済」という言葉が記載されている場合があります。
「広告展開しているのになぜ?」と不思議に思いますが、不動産業界は独特の商慣習が存在するため、馴染みのない方にとってはその理由や違いが分かりにくい仕組みとなっているのです。
本記事の主な内容は以下のとおりです。
- 「商談中」とは既に購入検討者が存在する状態
- 「成約済」とは既に売買契約が成立している状態
- 商談中でも購入相談することが可能
- 成約済の場合は「おとり広告」に注意が必要
現在、インターネットの普及によって一般消費者でも不動産情報に容易にアクセスできるようになりました。その一方で、不動産業界のシステムやルールはあまり認知されておらず、不動産の表記や言葉の意味合いまで正確に理解できている方は少ないのが実情です。
そのため、不動産会社の中には「おとり広告」と呼ばれる悪徳な集客方法を行う会社も存在しています。そのような会社へ問い合わせをしないためにも、住宅購入の検討時には不動産業界の商慣習をしっかり理解しておくことが重要です。
今回は、住宅購入を検討されている方に向けて、「商談中」と「成約済」の違いと注意点について解説していきます。
目次
不動産の商談中の意味
「商談中」とは「既に購入検討者が存在する状態」を表しています。不動産取引では、購入したい場合「購入申込書」を売主へ提出し、売主が申込み条件に同意することで契約へと進みます。
したがって、購入申込み時点では契約は未だ成立しておらず、売主がその購入検討者を買主として決定すべきか検討している状態が「商談中」となります。
不動産の成約済の意味
「成約済」とは「売買契約が成立した状態」を表しています。不動産取引では、買主・売主両者の売買契約書への記名押印、および買主から売主へ手付金が支払われることで売買契約が成立します。
「成約済」の場合は売買契約が成立しているため、原則的に不動産会社による営業活動は終了している状態です。
商談中の不動産でも相談ができる?
商談中でも購入相談は可能です。
購入申込みが入った場合でも、売買契約に至らないケースがあるためです。
不動産取引における購入申込みは法的な拘束力がなく、契約前であれば無条件でキャンセルすることが可能です。
購入検討者の転勤が急遽決まった場合、あるいは資金繰りが困難であるなど、様々な理由で申込みがキャンセルされることがあるのです。
また、売主が提示された条件に同意できず、契約に至らないケースも少なくありません。
購入検討者の優先順位は申込順であることが原則ですが、条件により売主が判断に迷っている場合は、より良い条件を提示することで交渉を優位に進められる可能性もあります。
不動産会社への相談は、信頼できるかどうか事前に調べてからにしましょう。
こちらの記事ではダメな不動産会社の見分け方を詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
成約済の不動産でも相談ができる?
成約済の場合は、既に売買契約が成立しているため相談はできません。しかし、わずかですがチャンスもあります。
不動産取引では、売買契約が成立しただけでは完了せず、あくまで売買契約後に行う引き渡し(所有権移転)をすることで完了します。
売買契約と同時に引渡しを行うケースもありますが、住宅ローンの手続きや、売主側の引越しの準備等で売買契約から1〜2ヶ月後に引渡しを行うことが一般的です。
そして、売買契約から引渡しまでの間、買主からの請求により契約が解除されるケースが稀に発生するのです。
契約が解除されれば、当然売主は他の購入者を探すこととなります。非常に可能性は低いとは言え、成約済であったとしても、タイミングによっては売却活動が再開されることもあるため、物件に対する興味を売主側に対し意思表示しておくことも一つの方法と言えるのです。
成約済の記載における注意点
成約済の物件は「おとり広告」に利用されている可能性もあるため注意が必要です。
「成約済」の物件が掲載されているのは大きく2つの理由が考えられます。
- 広告削除までのタイムラグ
- おとり広告
広告削除までのタイムラグ
1つ目の理由たして、広告削除までのタイムラグが考えられます。不動産会社は自社ホームページや不動産ポータルサイトへ物件広告を掲載していますが、いずれの場合も広告削除までに時間がかかることがあります。
「成約済」の状態から数日経っても掲載されている場合は、削除までのタイムラグ、あるいは単に消し忘れである可能性があります。
おとり広告
2つ目の理由は「おとり広告」です。
おとり広告とは、物件検索者からの反響を得るために、実際には販売していない物件を掲載することです。多数の反響が獲得できそうな条件の良い物件を掲載し、来店したのちに「つい先ほど契約が決まってしまいました」などの嘘をつき、他の物件に誘導するという悪質な手口です。
もちろん、おとり広告は法令により禁止されていますが、それがおとり広告であるか否かを一般消費者が判断することは容易ではありません。
おとり広告の判断基準はありませんが、特に長らく「成約済」が記載されたまま広告が継続している物件は、おとり広告である可能性が高いため十分な注意が必要です。
おとり広告についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
おわりに:「商談中」と「成約済」の意味を理解し、適切に行動しよう
不動産広告には「商談中」や「成約済」という言葉が記載されていることがあります。
「商談中」とは、購入検討者から売主に対して購入申込書が提出され、契約に向けた条件調整が行われている状態を指します。
一方の「成約済」は、既に売買契約が成立している状態であるため、基本的には他の購入検討者による購入相談を行うことはできません。
なお、不動産取引が完了するタイミングは、あくまで物件の引き渡しが行われた時です。したがって、商談中の物件であっても、そもそも売買契約が成立していないため、後から購入申込みをしたとしても、条件次第では買主として決定される可能性も十分にあり得るのです。
また、非常に稀なケースですが「成約済」の物件も何らかの事情により契約解除になる可能性があるため、本当に気に入った物件であれば、購入意思が高いことを売主側へ伝えておくことも購入確度を高めるためには有効は方法と言えます。
ただし、「成約済」の場合は「おとり広告」である可能性もあるため十分な注意が必要です。このような悪質な手法に捕まらないためにも、問い合わせする際には物件の内容と併せて不動産会社の評判にもしっかり目を通しておくことをおすすめします。
この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。