マンションの防音性能はどのくらい?調べ方や入居後にできる対策も解説

中古マンションを購入する際は物件の「防音性能」も注目すべきポイントです。
物件の内覧時間は数十分、長くても1時間程度が通常で、近隣に生活音が聞かれないか、あるいは周囲からの騒音に問題はないかなど、入居後の実態を正確に判断することは難しいと言えます。
そのため、内覧時点では好印象だったものの、いざ住み始めてみると隣家の生活音や周辺からの騒音が気になって仕方ないといったケースも少なくありません。
そこで、物件価格や設備のスペックや状態のみならず、マンションの構造や周辺環境もしっかり理解しておく必要があります。騒音問題が起きやすい物件の特徴は何か、防音性や遮音性が高い特徴とは何かを把握しておくことで、入居後のリスクを極力回避することができるのです。
本記事の主な内容は以下の通りです。
- 鉄筋コンクリート造が最も防音性能に優れる
- GL工法には要注意
- 築浅であるほどコンクリートの厚みが増す傾向がある
- 防音性能は「竣工図」の数値や等級で確認できる
今回は中古マンションの購入を検討されている方に向けて、マンションの防音性・遮音性の基礎知識や入居後にできる対策など幅広く解説していきます。
目次
建物の建て方による防音性の違い
住宅は主に以下3つのいずれかの構造によって建築されています。
- 木造(W造)
- 鉄骨造(S造)
- 鉄筋コンクリート造(RC造)
この中で防音性が最も高いのは「鉄筋コンクリート造」です。
特殊な場合を除いて、分譲マンションは鉄筋コンクリート造となっているため、戸建てやアパートに比べて、そもそも防音性能は高く造られています。
壁の構造による防音性能の違い
構造のみならず、壁がどのように造られているかによっても防音性能は異なります。
隣家に面した壁のことを「戸境壁」と言い、種類は大きく分けて下記4種類あります。
- 直壁工法:コンクリート壁に直接クロスを貼ったもの
- 二重壁(GL工法):コンクリート壁に石膏ボードを貼ったもの
- 二重壁工法(ふかし壁工法):コンクリ―ト壁に軽量鉄骨の下地材を入れたもの
- 乾式壁工法:コンクリ―トではなくベニヤ板や石膏ボードなどで施工した壁
防音性能の優劣はコンクリートの厚みや施工部材によって異なるため一概には言えませんが、コンクリート壁に直接石膏ボードを貼る「GL工法」は壁と石膏ボードの隙間を音が反響してしまうということや、施工時に使用する「GLボンド」に音が直接伝わってしまうため、比較的に遮音性が低い工法と言われています。
なお、築浅物件であるほどコンクリートの厚さは増す傾向があり、築30~40年のマンションが壁厚12cm程度であるのに対し、最近のマンションは少なくとも15cm以上を確保しています。
これらの遮音性能の差は築古が-45dB程度、築浅が-50dB程度と約5dBの差があります。数値だけだと理解しにくいのですが5dBは大きく体感差が生じるため、コンクリート厚は注目すべきポイントなのです。
マンションの築年数と建物の寿命についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
物件を購入する前にかならず確認したい防音ポイント
物件がどの程度の防音性能を備えているかは「竣工図」と呼ばれる建物図面で確認することができます。仲介会社が作成する物件概要などでは防音性能の詳しい内容が確認できないため、売主さんに依頼して竣工図を見せてもらう、あるいは物件によっては専門のデータバンクに保存されている可能性があるため仲介会社に確認してもらうようにしましょう。
なお、この竣工図を見る際は以下のポイントに注目しましょう。
- 壁面の仕上げ方
- フローリングの防音基準
- コンクリートの厚み
- サッシの等級
壁面の仕上げ方
どのような壁面の仕上げ方かを確認しましょう。先述の通りG L工法は壁との隙間やG Lボンドを音が伝ってしまい防音性が比較的低いと言われています。
フローリングの防音基準
フローリングの防音基準には重量床衝撃音(LH)と軽量床衝撃音(LL)の2種類があります。
LHは重いものを落としたり子供が飛び跳ねたりすることで下の部屋に伝わる衝撃音、LLは掃除機を擦る音や固いものを床に落とした時に発生する音です。
この基準の目安としては、「LHで50以下」「LLで45以下」の性能を持つフローリングが望ましいと言われています。
コンクリートの厚み
壁面および床面ともにコンクリートが厚いほど防音性が高いと判断できます。
壁面は15cm以上(できれば18cm以上)、床面は20cm以上の厚さがあることが望ましいと言えます。
サッシの等級
窓枠サッシは「T~」という遮音等級により防音性能を確認することができます。
T1・T2・T3と数字が大きいほど遮音等級が高くなっており、街道沿いなどに位置する物件の場合はT3を採用するマンションが多く見受けられます。
一方で、外部からの騒音懸念があるにも関わらずT1等級である場合は防音性能に限らず、そもそもコスト優先で建築されているマンションである可能性が非常に高く、検討する際は注意が必要です。
入居後に自分でできる防音対策
入居後にどうしても音が気になるという方は、ご紹介する防音対策を試してみることをおすすめします。ここでは「窓の防音対策」「壁の防音対策」「床の防音対策」の3つに分けて解説します。
窓の防音対策
外からの音が気になる方は「防音カーテン」と「透明防音シート」の併用がおすすめです。
防音カーテンは一定の遮音性能を有しますが、さらに透明防音シートを窓枠に貼ることによって、防音カーテンでは抑えきれない車やバイクの低音域や、カーテン解放時のおける防音性を確保することが可能です。
ただし、網入りガラスやペアガラスについては、透明防音シートを貼ることでガラスが熱割れを起こす可能性があるため注意が必要です。ご自身で貼付する場合はホームセンターなどで必ず使用上の注意を確認しておきましょう。
壁の防音対策
壁伝いの音を軽減するためには「吸音材」の設置がおすすめです。
音が気になる壁面にタンスや本棚を5cmほど離して設置し、その空間にウレタンなどでできた吸音材を入れます。可能であれば、この本棚やタンスになるべく本や衣類を隙間なく入れておくことで、より防音効果が得られます。
床の防音対策
階下からの音が気になる場合は「遮音シート」と「防音カーペット」の併用がおすすめです。
床に遮音シートを貼り、その上に重量のある防音カーペットを敷くことによって、床を伝わる音を軽減する仕組みです。
防音カーペットは重量があるほど防音効果が高いと言われています。発泡系のジョイントマットやコルクマット、クッション付のカーペットでは重量が足りずに防音には向かないため注意しましょう。
おわりに:それでも音が気になるなら一戸建てがおすすめ
物件の内覧時間は数十分、長くても1時間程度が通常であるため入居後の実態を正確に判断することは難しいため、中古マンションを購入する際は「防音性能」も注目すべきポイントです。
調べ方としては物件の「竣工図面」を確認することが望ましく、壁面の仕上げ方法やサッシ等級など、数値を確認することによって正確な判断が可能です。
ただし、マンションは集合住宅であるため、少なくとも近隣の生活音や周辺の騒音は生じてしまいます。そのため検討段階で入居後の音に不安がある方は、一戸建ての検討がおすすめです。
一戸建てのメリットとデメリットをわかりやすくまとめました。ぜひあわせてご覧ください。
一戸建てであれば隣家や上下階の音を気にすることが無い上、万が一周辺からの騒音が気になった場合でも、マンションに比べてリフォームの自由度が高いため、より効果的な防音対策を施すことができます。
この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。