不動産売却の流れと手順、売却までにかかる期間とは?

不動産を売却する際には、さまざまな書類取得や行政手続きを行う必要があります。
高額取引となる不動産売買においては、小さな書類の不備や手続きの取り違いによって大きな損害が発生することは決して珍しいことではなく、特に初めて不動産売却を経験される方にとっては、取引自体に不安を感じられる方がほとんどです。

書類の準備や各種手続きは不動産仲介会社のアドバイスに従って行うことが基本ですが、安心・安全な不動産売却を実現するためには、売却までの流れや手順など、売主自身が基礎知識を備えておくことが大切です。

本記事の主な内容は下記のとおりです。

  • 不動産売却にかかる期間は2〜6ヶ月間程度が一般的
  • 購入検討者の発見までの期間は早ければ数日、遅ければ数年間を要する可能性もある
  • 何より先にやるべきことは「相場を理解すること」
  • 最も注意すべきポイントは「査定価格で仲介会社を選ばないこと」

今回は不動産売却を検討する方に向けて、不動産売却の流れや手順、期間など基本的知識について解説していきます。
また、Youtubeでも弊社代表の沢辺が、不動産売却について「初心者でも失敗しない方法とコツ」をより詳しくお伝えしておりますので、ご覧ください。

不動産売却にかかる期間

不動産売却にかかる期間は2〜6ヶ月間程度が一般的です。
この期間の内訳は下記の様なイメージです。

  • 査定~媒介契約:1~2週間
  • 売却活動:1〜3ヶ月
  • 購入者決定~売買契約:1〜2週間
  • 契約~決済・引渡し:1ヶ月

売却期間は物件の立地や販売価格、売買条件などによって大きく異なります。特に購入検討者の発見までに要する期間は早ければ数日、遅ければ数年間を要する可能性もあります。

不動産売却の流れ

不動産売却の流れは下記の様に大きく4つのステップがあります。

  • 物件査定
  • 販売活動
  • 売買契約
  • 決済・引渡し

物件査定

物件査定では、仲介会社により物件の想定売却価格を算定します。
査定方法は市場データや公的指標価格などの数値を用いて算出する「机上査定(簡易査定)」と仲介会社が実際に物件を見て算出する「訪問査定(詳細査定)」があり、まずは仲介会社のホームページなどから問い合わせて机上査定をし、その後本格的な売却検討に入った際に訪問査定を実施するという流れが一般的です。

査定方法は、

  • 机上査定(簡易査定)
  • 訪問査定(詳細査定)

の2通りがあります。

なお、最近ではインターネット経由で複数の仲介会社へ査定依頼ができる「一括査定」のサイトも多く立ち上げられており、物件の基本事項を記入するだけで簡単に机上査定価格を知ることができるため、利用される方が非常に多くなっています。

販売活動

依頼する仲介会社が決定すると、実際に物件の販売活動が始まります。
仲介会社は自社のホームページや店頭での広告のほか「レインズ」と呼ばれる宅建免許を持つ業者だけが利用・閲覧できるポータルサイトに登録することで集客を図ります。

レインズについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

売買契約

販売活動により買主が見つかり次第、売買契約を締結します。
買主からの購入申込みから売買契約までは概ね1週間程度であり、この間に条件調整や仲介会社による契約書の作成が行われます。

なお、売買契約前には物件の所有者情報や主な法令制限等の内容が記載された「重要事項説明書」の説明が仲介会社により売主・買主双方に行われます。
法律上、重要事項説明は売買契約締結前に必ず行われるものですが、実務では売買契約と同日に説明されることがほとんどです。

決済・引渡し

売買契約締結から1~2ヶ月程度で決済・引渡しです。
この期間に売主は物件を引渡すための引っ越し、買主は代金支払いのために住宅ローン手続きを行います。
決済当日は買主による売買代金の支払いにあわせ、司法書士による売主・買主双方の本人確認や登記申請書類の確認が行われます。これら全てに問題が無ければ、晴れて物件の引渡しです。

なお、所有権移転登記申請には以下4つが必要です。

  • 身分証明書
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 権利証(登記情報識別通知)

権利証は再発行することができないため、仮に紛失してしまった場合は少し特殊な手続きで対応しなければなりません。この手続きには時間を要するため、決済直前で紛失が判明した場合は決済日を遅らせるケースもあるため、権利証の所在は売却前に必ず確認しておきましょう。

不動産売却で何より先にやるべきこととは

不動産売却で何より先にやるべきことは「相場を理解すること」です。
東京中心部のマンション価格は高騰を続けており、2010年代前半に購入したマンションが購入価格よりも高い価格で売却に至る現象が頻発しています。一方、郊外や地方都市では恒常的な人口減少の影響によって価格下落が著しいエリアもあり、日本の不動産価格は二極化している状況です。

このように不動産価格は景気動向や所在するエリアによって価格が大幅に変化するため、ご自身の認識する価格と現在の市場相場に大きなギャップがある可能性があります。
売却活動が本格化すると、方針転換をすることが難しくなります。したがって、売却の検討初期に自分で相場を把握し、その上で買い替え先や住み替え先の検討や売却方針をイメージしておくことが大切です。

最近では大手不動産ポータルサイトで相場を簡単に調べることができます。また、先述した一括査定サイトを利用し机上査定を依頼することも手段の一つとしておすすめです。

不動産売却の注意点

不動産売却で最も注意すべきポイントは「査定価格で仲介会社を選ばないこと」です。
仲介会社を選ぶ際には提示された査定価格ではなく、あくまで担当者の業務知識やエリア知識、接客対応等をしっかりと見極めて判断することが重要です。

仲介会社の立場からすれば是が非でも売却依頼を獲得したいという考えから、相場よりも明らかに高い査定価格を提示する会社も存在します。
売主としては「もしこれだけの価格で売却できれば・・・」と、魅力的な価格であるために売却依頼をしたくなりますが、あくまで相場よりも高いということは必然的に買主発見までに時間がかかる可能性が高く、売却開始からだんだんと価格を下げていく、あるいは検討客から購入申し込みとタイミングで価格交渉が入り、結局は相場並みの価格での成約となるケースが多いのが事実です。

さらに詳しい不動産査定の基礎知識や注意点はこちらの記事でご覧いただけます。

売却活動が始まってしまうと、それまでの時間や手間を考えて仲介会社を変えることが心理的に難しくなります。
価格も当然大切ですが、安心安全な売却をするためには、長い期間付き合う仲介会社の質が大きく影響します。そのため、会社の評判は悪くないか、担当者と話をしていて違和感はないか、ご自身の感覚も含めて信頼がおける仲介会社かどうかの判断をすることが重要です。

おわりに:おわりに:査定額だけでの判断はご法度。必ず総合的判断で仲介会社を選ぼう

高額商品である不動産売買は、小さなミスでも大きな金銭的トラブルとなる可能性があるため、売却する際は事前に不動産売却における流れや基礎知識を備えておくことが重要です。
また、不動産価格は景気や所在エリアによって相場が大きく変化することから、本格的に売却検討に入る前に、ご自身で相場をしっかり把握しておき、今後の住み替え先や売却方法のイメージを固めておきましょう。

なお、仲介会社を選ぶ際は提示された査定価格だけで判断することは危険です。あくまで大切な不動産を預けても問題ないか、会社の評判や担当者との会話を通じて判断することが重要です。

この記事を書いた人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)

千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。

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