不動産取得税とは?支払い対象者や税額の計算方法を解説

不動産取得税は、土地や建物などの不動産を取得した際に課税される地方税です。
不動産取得税は購入時の諸費用として分類されるものの、基本的に仲介会社は業務上リスクへの懸念から、税金について詳しく解説することはありません。

また、実際の納税時期は取得後6ヶ月から1年後となるため、購入時点で「いつ・どのくらい支払うのか」を気に留める方はあまり多くありません。
そのため、いざ納税時期を迎えた際、思わぬ出費となることもあるため注意が必要です。

本記事の主な内容は以下のとおりです。

  • 不動産取得税は不動産を取得した際に「1度だけ」課税される地方税のこと
  • 不動産取得税は「不動産の評価額×税率」で算出される
  • 不動産の評価額は売買価格ではなく「固定資産税評価額」を指す
  • 一定要件をクリアすれば、建物評価額は最大で1,200万円控除される軽減措置がある
  • 軽減措置の対象でも、申告しなければ控除されないため注意

不動産取得税は個人・法人を問わず納税が必要です。ただし、自己居住用であることや、一定の広さがあることなど、条件によっては税額が軽減される場合があります。
そのため、諸費用をなるべく低く抑えるためにも、どのような条件であれば軽減措置が適用されるのか、物件探しと並行して把握しておくことが有益です。

今回は不動産購入を検討されている方に向けて、不動産取得税の基礎知識から、軽減措置の必要条件や申告方法についても解説していきます。

不動産取得税とは?

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得した際に「1度だけ」課税される地方税です。
ここでの「取得」は売買のみならず、家屋の新築・増築や贈与、交換、寄付などによる取得も含まれます。

不動産取得税の支払い条件

まずは基礎知識として、不動産取得税の支払い条件についてみていきましょう。

不動産取得税が発生するタイミング

不動産を取得した場合、原則として取得した日から30日以内に「不動産取得税申告書」を都道府県税事務所に提出する必要があります。
ただし、申告をしない場合であっても取得から6ヶ月~1年程度の間に、都道府県から「納税通知書」が送付されてくるため、この通知書の内容に従って納付すれば問題ありません。

不動産取得税を支払う対象となる人

不動産取得税を支払う対象となる人(納税義務者)は、不動産を売買・交換・贈与・建築(新築・増築・改築)などで取得した人です。この場合の取得は、有償か無償か、あるいは登記するか否かに関わらず、必ず納税する必要があります。

不動産取得税の税額はいくら?

不動産取得税は「不動産の評価額×税率」で算出されます。
なお、ここでの評価額とは、購入価格や建物工事費ではなく、市町村の「固定資産税台帳」に登録されている「固定資産税評価額」のことを指しています。固定資産税評価額は一般的に流通価格よりも低く、土地の場合は流通価格の7割程度、建物の場合は5~6割程度が目安とされています。

また、税額の計算方法は下記のとおり土地・建物および用途よって異なります。

  • 土地:固定資産税評価額×1/2×3%
  • 建物(住宅):固定資産税評価額×3%
  • 建物(非住宅):固定資産税評価額×4%

この様に、住宅購入の場合では3%の税率がかかることとなります。
なお、新築したばかりの建物は、取得した時点では固定資産税台帳には登録されていないため、不動産が所在する都道府県の税委事務所の担当者が調査し、価格を決定します。

不動産取得税は軽減できることがある

不動産取得税は「住宅用途の土地」および「建物」について軽減措置があります。
この軽減措置によって、場合によっては不動産取得税がかからないケースも存在するため、特に注目すべきポイントです。
なお、税額と同様、軽減措置についても土地・建物それぞれに計算方法が異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

土地における軽減される要件

住宅用途の土地を取得した場合、下記2つのうちいずれか多い金額が控除されます。

  • ①:45,000円
  • ②:土地㎡あたりの価格×住宅床面積の2倍(200㎡上限)×3%
建物における軽減される要件

建物を取得した場合、下記の要件に該当すると不動産価格に対し「1,200万円」が控除されます。

  • 床面積が50㎡以上240㎡以下(新築・中古共通)
  • 過去に居住用に供され、かつ個人の自己居住用に取得(中古)
  • 家屋の新築後20年以内(マンションは25年以内)

上記の様に、一般的な広さである居住用住宅であれば軽減措置の対象となることが多いです。また、築年数の要件を超えてしまっても、一定条件をクリアした耐震住宅は築年数に関係なく軽減措置の対象となる可能性があります。

ただし、下記のように築年数によって控除額が細かく決まっており、古いほど控除額は少なくなる仕組みです。

  • 平成9年4月1日~:1,200万円
  • 平成元年4月1日~平成9年3月31日:1000万円
  • 昭和60年7月1日~平成元年3月31日:450万円
  • 昭和56年7月1日~昭和60年6月30日:420万円
  • 昭和51年1月1日~昭和56年6月30日:350万円

床面積が30坪程度の木造戸建てであれば、余程高価な建物でないかぎり固定資産税評価額が1,000万円を超えることがなく、軽減措置が適用されれば不動産取得税が全額控除となる可能性が高いと言えます。
一方、マンションの場合は価格に占める建物の割合が非常に高く、建物の固定資産税評価額は1,200万円を超える可能性があるため注意が必要です。

例えば築25年以内の建物で、固定資産税評価額1,500万円のマンションを取得した場合の税額は、下記の様に計算されます。

  • (1,500万円-1200万円)×3%=9万円

軽減措置を受けるための申告の仕方

不動産取得税の軽減措置を受ける場合、原則として取得後60日以内に各都道府県税事務所に申告する必要があります。つまり、軽減措置の対象だからといって自動的に控除計算されるわけではないため特に注意しましょう。

なお、都税事務所や県税事務所のホームページから申告書をダウンロードすることができます。この申告書に必要事項を記入し、物件資料を添付して窓口もしくは郵送にて提出します。記入方法が分からない場合は税事務所へ問い合わせましょう。

おわりに:軽減措置の対象でも申請しなければ適用されないことに要注意

不動産を取得した場合は、固定資産税評価額×3%の「不動産取得税」が課税されます。
ただし、建物の床面積や築年数の要件をクリアした住宅である場合、軽減措置によって固定資産税評価額から一定金額が控除される仕組みがあります。

この軽減措置の適用を受けるためには、原則的に「取得後60日以内」に各都道府県税事務所に申告しなければなりません。つまり、軽減措置の対象だからといって自動的に控除計算されるわけではないため特に注意が必要です。

この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

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