中古マンション購入時に加入する「火災保険」とは?内容や設定のポイントも解説

住宅を購入する際に加入する「火災保険」。
火災保険は、火災はじめ火災以外の災害時にも広く補償される保険で、住宅購入者のほとんどの方が加入しています。
また近年では地震やそれに伴う津波被害への懸念から、地震保険に加入される方も増えており、住宅に掛かる保険額は年々増加傾向であると言われています。
本記事の主な内容は以下のとおりです。
- 住宅購入者のほとんどが火災保険に加入する
- 火災保険の補償範囲は「建物」と「家財」の2つがある
- 住宅ローンを組んで購入する場合は火災保険への加入が必須
- 地震を発端にする火災は、一般の火災保険では補償されない
- なるべく安く・無駄のない火災保険を選ぶには「インターネットからの申し込み」がおすすめ
住宅購入では大きな金額を支払うため、比較的少額である火災保険については販売会社や仲介会社からおすすめされたまま、あまり検討せずに加入してしまう方が非常に多いのが実情です。
しかし火災保険の金額は、場合によっては数十万円かかることもあります。そのため、購入物件に合った保険内容でなければ、かえって無駄となってしまうケースも珍しくありません。
今回は中古マンションを購入する際、知っておくべき火災保険の内容と選び方のポイントについて詳しく解説していきます。
目次
火災保険とは?
火災保険とは、建物および建物内にある家財に対して補償する損害保険の一つです。
火災保険は火災以外にも、風水害や落雷による損害、オプションを追加すれば日常生活で他人に損害を与えてしまった場合に補償される「個人賠償責任保険」にも加入することができます。
なお、かつて火災保険の契約期間は最長36年間とされていましたが、近年は異常気象の影響で突発的な自然災害が増えたことにより保険会社としても実際の補償額が予想しづらく、2015年には保険期間を最長10年まで短縮することとなりました。
火災保険の補償範囲は「建物」と「家財」の2つに大別されます。
「建物」とは所有する専有部分を指しており、災害などによって専有部分内部に損害が生じた場合に補償が受けられます。一戸建ての場合は建本体のほかに車庫や物置、外構部分なども含まれますが、マンションの場合は他の所有者との共有財産であるため、専有部分以外については管理組合が別に火災保険に加入していることが通常です。
また「家財」は建物内部に設置している家具や家電、衣類などさまざまな物品が対象です。
建物部分の評価額は物件価格に基づき概ね決定されていますが、家財については加入者が独自の判断で評価額を設定します。そのため設定した評価額が高いほど、自ずと保険料も高くなる仕組みとなっています。
火災保険には加入しなければいけないの?
「住宅ローンを組んで購入する場合」は加入が必須です。
住宅ローンを組んで中古マンションを購入する場合、建物部分における火災保険に加入が住宅ローンの融資条件とされていることがほとんどです。
一方、現金一括購入であれば火災保険に加入する必要はありませんが、災害による損傷被害は修復するのに多額の費用が必要です。少なくとも費用面では安心して生活を送るためにも、火災保険は加入しておくべきと言えます。
火災保険の詳しい内容と設定のポイント
火災保険は下記のような災害・事故に対して補償されます。
- 火災・落雷・破裂または爆発
- 風災・ひょう災・雪災
- 水災
- 水濡れ・盗難等
- 破損・汚損等
- 災害時諸費用
上記の災害・事故についてはほとんどの方が加入しますが、物件の構造や立地環境、部屋の階数によって災害リスクが異なるため、これに連動して保険料にも違いが生じます。
特に水災補償については保険会社や地域によっても異なりますが、付けない場合よりも1.5倍程度高額となるケースもあり、災害リスクが低いエリアや部屋が上階に位置している場合、水災補償には加入しない方も多くいます。
これら災害リスクの程度については、各行政が発刊している「ハザードマップ」で確認することができます。加入を決める際は、これらデータを活用しながら、ご自身のリスク許容度も加味しながら慎重な選択を心がけましょう。
また保険会社によって異なりますが、特約オプションを追加することによって、下記の様な生活上の幅広いリスクに備えることも可能です。
- 個人賠償責任補償特約:日常生活における賠償責任を補償
- 類焼損害補償特約:近隣住宅や家財に延焼した場合に補償
- 建替費用補償特約:同一用途への建替費用や取り壊し費用を補償
- 共用部分修理費用補償特約:被保険者が専ら使用する共用部分の損害を補償
- 防犯対策費用補償特約:不法侵入を伴う犯罪行為の再発防止費用を補償
- 持ち出し家財補償特約:旅行等で、建物から一時的に持ち出した家財の損害を補償
- 引越し中の損害補償特約:転居先の住居に運送中の家財の損害を補償
特約オプションの追加費用は、主な災害補償と比較するとは少ないことが一般的です。これらの補償の要否については個人のリスク許容度によって異なるため一概には言えませんが、最低限として「個人賠償責任補償」には加入しておくことをおすすめします。
地震保険は仕組みとは?
地震保険は火災保険の半分までしか加入することができません。
地震は個別に生じる火災など異なり、一定のエリアにおいて広範囲かつ同時に起こります。仮に地震による被害が発生した場合、補償額は保険会社単独による支払い能力を超えてしまうことが予想されるため、補償の一部は国の「地震災特別会計」から充当することとなっています。
しかし、それでも被害を受けた全ての建物および家財の補償を賄うことは難しいとされているため、地震保険は補償額・期間ともに火災保険の半分までしか加入できない仕組みとなっているのです。
なお、地震保険は保険料が高く期間も短いため、加入するか否かは個人によって判断が分かれるポイントです。
地震保険に加入される方の理由は下記2つに集約されます。
- 日本が地震大国だから
- 地震による火災に備えたいから
ここでのポイントは「地震を発端にする火災は、一般の火災保険では補償対象にならない」ことです。
阪神淡路大震災や東日本大震災で見られた様な住宅火災や延焼は、あくまで地震保険の適用範囲となります。そのため、地震そのものの被害と併せて、火災に対する懸念から加入を決める方が多い状況です。
中古マンションに合う火災保険の選び方
なるべく安く・無駄のない火災保険を選ぶポイントは「インターネットから申し込む」ことです。
不動産会社の多くは、本業である不動産業に付随して「保険代理業」を会社の業務として行っていることがあります。
中古マンションを購入する際は、販売会社や仲介会社から提携する保険会社の火災保険の案内を受けるケースも多く、この場合は多少の代理手数料が発生しているため、直接申し込むよりも保険料が高い可能性があります。
インターネットによる申し込みであれば、保険内容もご自身できちんと理解したうえで選択することができるうえ、インターネット割引などで通常よりも保険料が安く済む商品も存在します。
不動産購入は大きな金額が動くため、保険料が少し高かったとしても気に留めない方もいますが、冷静に考えれば高いコストであるため、なるべく安く・無駄のない保険が選択できるよう注意しましょう。
おわりに:住宅購入では火災保険は必須。無駄のない保険を選択できるよう心がけよう
火災保険は、住宅購入者のほとんどの方が加入する損害保険で、火災以外にも、風水害や落雷による損害、オプションを追加すれば「個人賠償責任保険」など日常生活上の補償にも対応することができます。
なお、住宅ローンを利用する場合は火災保険への加入が融資条件とされることがほとんどです。一方、現金購入の場合、保険加入は任意であるものの、近年は災害が頻発している状況であるため、少なくとも費用面では安心できる生活を送るためにも、火災保険への加入は必須であると言えます。
また、なるべく安く・無駄のない火災保険を選ぶためには「インターネットからの申し込み」がおすすめです。不動産購入は大きな金額が動くため、保険料が少し高かったとしても気に留めない方もいますが、冷静に考えれば高いコストであるため、なるべく安く・無駄のない保険が選択できるよう注意しましょう。
この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。