中古マンションの築年数は20年までの建物がいい?要注意の年数や建物の寿命についても解説

中古マンションを購入する際は「築年数」も注目すべきポイントです。
築年数は購入時の物件価格や将来の資産価値だけでなく、実際の居住性能にも大きく影響します。
そのため「なるべくお得に、快適な住まいを手に入れる」ためには、事前に建物の年代におけるそれぞれの特徴を理解しておき、物件探しをすることがおすすめです。
中古マンションの注意点については、弊社代表の沢辺がYoutubeでも詳しく解説しております。
本記事の主な内容は以下のとおりです。
- 「築20年」を目安に検討されることがおすすめ
- 築20年を境にして価格が下げ止まりすることが通例
- 品確法の制定により2000年代以降、マンションの品質が向上した
- 建物の寿命には明確な基準が無く、構造や管理状況によって大きく異なる
- 将来売却の可能性があるなら築年数と併せて物件の立地にも注目しよう
中古マンション市場には常に多くの物件が流通しています。そのため、気に入った物件が見つかったとしても、いざ購入を決めたタイミングで他の検討者に購入されてしまうケースは珍しくありません。
またこのような経験から、次は焦って購入を決めてしまい、かえって納得のいかない物件を購入してしまう方もいます。
この様な状況を回避するためにも、併せて「要注意」な築年数についてもしっかり把握しておくことが重要なのです。
今回は中古マンション購入を検討されている方に向けて、おすすめの築年数と要注意の築年数、そして建物寿命について解説していきます。
目次
中古マンションは築何年なら購入してもいい?
中古マンションの築年数は「築20年」を目安に検討されることがおすすめです。
特に2000年代前半に建てられたマンションは主に以下2つの理由で、価格と品質のバランスが最も良い物件であると考えられます。
- 価格が下げ止まりしている可能性がある
- 好立地・高品質なマンションが多い
- 管理状態を判断しやすい
価格が下げ止まりしている可能性がある
一つ目の理由は「価格が下げ止まりしている可能性がある」ことです。
一般的に、マンションは築年数が古いほど流通価格も下がると考えられていますが、実際の価格下落幅は年数に比例するのではなく、下記の様に年々下げ幅が緩やかになる傾向があります。
- 築1年から5年程度 → 新築時価格の8割から9割程度
- 築6年から10年程度 → 新築時価格の8割程度
- 築11年から15年程度 → 新築時価格の7割程度
- 築16年から20年程度 → 新築時価格の半額程度
実際、立地環境や建物の状態によって下落幅は異なりますが、いずれにしても築20年を境にして価格が下げ止まりすることが現在までの通例となっています。したがって、価格面では築20年を目安に検討することが最も良い判断と言い換えることができます。
好立地・高品質なマンションが多い
2000年4月に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)が制定されたこと、さらに同年6月には建築基準法の改正により品質の最低基準が見直されたことにより、それ以後のマンションは品質が向上したと言われています。
また、2000年代は景気が悪く、企業の資産整理が頻発したことによって駅近・好立地にマンションが多く建てられた時期でもあります。さらに、建築費も現在より遥かに安かったため新築当時は低価格でありながら「好立地・高品質なマンション」が多く供給されたのです。
1981年以前の中古マンションには要注意
築年数が古ければ価格は安くなる一方で、建物の耐震性に不安が生じることになります。
特に耐震基準が変わった1981年以前に建築された中古マンションには注意が必要です。
1981年6月の建築基準法の改正によって耐震基準は大幅に見直されたことにより、この時期を境にして「新耐震基準」と「旧耐震基準」に区別されるようになりました。物件が新旧どちらかによって、耐震強度のみならず、中古市場での価格にも大きく影響があるのです。
新耐震基準における耐震強度は「震度6強~7程度の大規模地震に対して、倒壊することによって人命に危害を及ぼすことのない程度の性能を有すること」が求められています。
一方の旧耐震基準における耐震強度は「震度5強程度の中規模地震に対してほとんど損傷しないこと」が耐震強度として定められています。したがって、旧耐震基準では震度6以上の地震については想定されていないのです。
ただし、旧耐震基準のマンションだからと言って直ちに危険があるわけではありません。耐震診断を基に耐震補強が実施された物件も数多く存在しているため、築古の物件を検討する際は、耐震診断が実施されているか、あるいは診断結果により耐震補強が施されているかを確認するようにしましょう。
建物の寿命はどこでわかる?
建物の寿命には「何年まで」という明確な基準がありません。よく鉄筋コンクリートの法定耐用年数である「47年」という年数が語られる場合がありますが、これはあくまで減価償却における税務上の数字であり、実質的な耐用年数を表しているものでありません。
過去の研究結果によると、マンションの構造躯体である鉄筋コンクリートの寿命は100年以上と言われています。したがって、理論上はメンテナンスを継続することで、法定耐用年数を遥かに超えた期間に渡って建物を使用することが可能なのです。
ただし、給排水管の実質耐用年数は約40年と言われています。築40年を超えるような古いマンションの場合、給排水管が躯体内部に埋め込まれているため交換が難しく、結果として躯体の耐用年数を待たずに建て替えを余儀なくされた物件が数多く存在しています。
一方で、近年のマンションは将来的な給排水管の交換を前提として設計・施工されていることが一般的となっています。そのため、建物寿命の観点でも、築20年程度の古すぎないマンションは有益な選択肢と言えるのです。
この様に、建物寿命は物件によって大きく差が出るため、物件検討の際は建物構造や給排水管の管理状況について慎重に調査しておくことが重要です。
将来的にマンションを売却するなら価値にも注目しておこう
将来的に売却を考えている場合は「資産価値」についても注目しておく必要があります。
今後は人口減少によって「価格が維持・上昇する物件」と「価格が下がる物件」がこれまで以上にはっきりと差が生じると言われているのです。
資産価値が落ちにくい物件の最も大きな要素は「立地が良いこと」です。
コロナ禍によって郊外志向が強まったとも言われていますが、それでも都心やターミナル駅至近は需要が非常に高い状態であり、今後もそのトレンドは継続するものと考えられます。
したがって、今回解説した「築20年程度」かつ「都心・ターミナル駅などの人気駅の至近」に位置する物件が、将来的な資産価値の維持・向上に最も期待ができ、おすすめの選択肢と言えます。
資産価値の下がらない中古マンションを探すなら、こちらの記事もあわせてご覧ください。
おわりに:築20年が価格・品質ともに最もバランスが取れている
マンションの築年数は購入時の物件価格や将来の資産価値のみならず、実際の居住性能にも大きく影響するため「なるべくお得に、快適な住まいを手に入れる」ためには、事前に建物の年代におけるそれぞれの特徴を理解しておき、物件探しをすることがおすすめです。
その中でも2000年代前半に建てられた「築20年」程度のマンションは中古価格が下げ止まりしている場合が多く、また品質に関する法律が制定された後の物件であるため、価格・品質ともに最もバランスが取れた年代であると言えます。
また、将来的に売却を考えている場合は「資産価値」についても注目しておく必要があります。極力高く売却を成功させるためには、今後の人口減少の中でも根強い人気が継続する「都心やターミナル駅至近立地」を中心に検討することがおすすめです。
この記事を書いた人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。
この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。