いい物件の見分け方のひとつ「物件概要」の見方を覚えておこう

不動産は新築・中古を問わず販売に際して「物件概要書」が作成されます。
物件概要には物件価格のほか、土地・建物のスペックやアピールポイント、特記事項などが記載されており、仲介会社から紹介を受けるときは、まずはこの物件概要書に沿って説明を受けることがほとんどです。
物件概要書は新築物件であれば販売会社、中古物件であれば売主側の仲介会社が作成しており、一般的にはA4やB4サイズ1枚の限られたサイズに収まるように作られています。
本記事の主な内容は以下のとおりです。
- 新築・中古を問わず販売に際して「物件概要書」が作成される
- 物件概要書には価格や築年数など大まかな内容が記載されている
- 分譲主や施工会社が大手企業である物件はグレードが高いものが多い
- 一番下に記載された不動産会社名や担当者氏名が記載された部分を「オビ」と呼ぶ
一点物である不動産は、仲介会社間の流通網やインターネット上などで常に展開されているため、検討期間や決断にはある程度のスピード感が求められます。
そのため、少しでも興味があるからといって全ての物件を細かく検討していくよりも、物件概要の内容から取捨選択し、ご自身の希望に合致する物件に集中して取り組む方が、結果的に納得のいく物件購入ができるケースが多いです。
今回は、良い物件の見つけ方の一つである「物件概要書」の見方について、そのポイントを詳しく解説していきます。
Youtubeでは弊社代表の沢辺が実際の販売物件のお部屋で、内見チェックポイントをリアルに解説しておりますので、ぜひご覧ください。
目次
物件概要書とは?
物件概要書とは、不動産の販売に際して販売会社や仲介会社が作成する書面であり、物件価格のほかに土地・建物に関する情報や特記事項など、物件に関する大まかな内容が記載されています。
物件概要書の書式には決まりがありませんが、下記事項についてはほぼ必須で記載されています。記載がない場合は図面の作成者である会社や担当者の質に疑念を感じた方が良いとも言えます。
- 物件名
- 売出価格
- 所在地
- 土地・建物の面積
- 建物の築年数
- 用途地域
- 法令規制や特記事項
物件名
物件名には、土地である場合は「住所名称+土地物件」、戸建ての場合は「住所名称+戸建て」、マンションであれば「マンション名」といった様に、物件がどこにあるのか、商品種別が何であるのかが一目でわかる様に記載されることが一般的です。
売出価格
売主の希望販売価格が記載されます。また、販売活動の途中に価格改訂された場合は、図面作成者によって売出価格の表示金額も変更されます。
所在地
物件の所在地である地番および住居表示が記載されます。土地物件の場合は住所が無いため、地番のみ記載されています。
土地・建物の面積
登記簿上の土地面積および建物の延べ床面積が記載されます。なお、マンションの場合は登記簿上と分譲時のパンフレットでは面積の算出方法が異なることに注意が必要です。登記簿上は部屋壁の内側から算出するのに対し、パンフレットは戸境のコンクリート中心線から算定するため、パンフレット面積の方がいくらか広く表示されます。そのため、物件概要書ではこれら2つが併記されていることがあります。
各種控除制度などで用いられる面積はあくまで「登記簿上の延べ床面積」です。これら2つを混同しない様にしっかり理解しておきましょう。
建物の築年数
戸建てやマンションの場合は、建物の築年数が記載されます。
建物の築年数は住宅ローンや控除制度の利用可否に直接影響する項目であるため、特に注意が必要です。
用途地域
用途地域とは、都市計画法に定められた土地利用に関する規定です。この用途地域によって、建てられる建築物の種類や規模が異なります。
法令規制や特記事項
物件が所在するエリアにおける法令上の規制の有無や内容が記載されます。
例えば埋蔵文化財包蔵地や宅地造成規制区域といった法令による区域指定がある場合、土地利用が制限されたり、別途手続き期間が必要となる可能性があります。
また、過去に事件や事故があった場合は特記事項として「特記事項あり」や「告知事項あり」などと記載されることが通例です。物件概要書に詳細な内容は記載されませんが、これらの文言がある場合は仲介会社や売主に必ず問い合わせましょう。
物件概要で良い物件を見分ける方法
物件概要で良い物件を見分けるコツとして、以下2つを覚えておきましょう。
- 分譲主や施工会社が大手企業である
- 「~不動産(あるいは電鉄)旧分譲地内」の記載がある
分譲主や施工会社が大手企業
マンションの場合、物件概要書に分譲主(建築主)と施工会社が記載されています。
一概には言えませんが、分譲主・建設会社ともに大手企業である方が、スペックや安全性能に対する社内基準が高いため、同年代につくられた他の中小企業の供給物件よりも、物件としてのグレードは高いと考えられます。
「~不動産(あるいは電鉄)旧分譲地内」の記載がある
物件概要書に「~不動産(あるいは電鉄)旧分譲地」など記載があるものは、かつて大規模な区画整理事業や宅地造成によって開発されたエリアに所在する物件です。
旧分譲地は、均整のとれた区画と美しい街並みが形成されており、敷地面積も近年のものと比較して広めに確保されていることが多く、特に住環境を求める方にはおすすめの物件と言えます。
物件概要裏話
物件概要書の一番下に記載された不動産会社名や担当者氏名が記載された部分を、不動産業界では「オビ」と呼んでいます。
その名の通り帯状に細長いため「オビ」の呼び名が付けられていますが、仲介会社の事務所には、必ずと言っていいほどラミネート加工などが施され「使いまわしできるオビ」が常備されています。
物件概要書は基本的に売主側の販売会社もしくは仲介会社が作成します。そして、ほかの仲介会社はその物件概要書のオビ部分を自社のオビに差し替えて店頭に並べ、お客様にご紹介しています。
そのため、仲介会社から紹介を受けた物件であっても、売主側の仲介会社は別に存在している可能性があるのです。
また、売主側の仲介会社によっては、ほかの仲介会社による物件紹介を難しくするために、オビの形状を変形させるなど、少し意地悪な会社も存在しています。
ほかにも、不動産関連の話でよくでてくる「仲介手数料」についての裏話は、こちらの記事でご覧いただけます。
おわりに:不動産は一点もの。物件概要書の内容を理解して理想の物件を手に入れましょう
不動産は新築・中古を問わず販売に際して「物件概要書」が作成され、物件価格のほか、土地・建物のスペックやアピールポイント、特記事項などが記載されています。
物件概要書は新築物件であれば販売会社、中古物件であれば売主側の仲介会社が作成します。一般的にはA4やB4サイズ1枚に収まるよう作られることがほとんどです。
良い物件を見分けるコツとして、「分譲主や施工会社が大手企業」「旧分譲地内」の物件は、建物グレードや街並みが比較的良好であるものが多いため、物件概要書で記載があるかは注目すべきポイントと言えます。
不動産は一点ものであるため、検討期間や決断にスピード感が求められます。そのため、闇雲に物件探しをするのではなく、物件概要書の内容だけでもある程度納得のいく物件を見つけ出せるよう、ご自身の希望条件をしっかり整理しておくことが重要です。
この記事を書いた人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。
この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。