住宅ローンに必要な源泉徴収票とは?なくした場合はどうしたらいい?

住宅ローンを利用する場合、ほとんどの方が必要となる書類が「源泉徴収票」です。
源泉徴収票は、1年間における給与額や退職金額および所得税の徴収額が記載された書面で、年末調整後の翌年1月頃に所属する勤務先などにより発行されます。
住宅ローンの貸主である金融機関は、この源泉徴収票に記載された内容を基に融資審査を行います。そのため、一部の方を除いてほぼ全ての方が準備する必要があり、住宅ローンを利用するうえでは最も重要な書類と言えます。
本記事の主な内容は以下のとおりです。
- 源泉徴収票は年間の収入金額と所得税額を証明する書面
- 源泉徴収票には4つの金額が記載される
- 非課税である通勤費や所得税率などは記載されない
- 源泉徴収票の再発行は所得税法によって会社側に義務付けられている
今回は源泉徴収票の基礎知識を交えながら、万が一無くしてしまった場合の対処法や、住宅ローン申し込み時に必要な書類についても紹介していきます。
目次
源泉徴収票とは?
源泉徴収票とは、給与や退職金の支払いをする企業が、その支払額と源泉徴収した所得税を証明する書面であり、年末調整後の1月頃、退職した場合は退職後1ヶ月を目途に発行されます。
本来、税金は1年間の所得が確定した際に税額を計算し、自ら申告・納税するのが基本となっています。ただし、給与所得など一部の所得については、支払者(勤務先である会社)が本人に代わって所得税額を計算し、税金を源泉徴収して、国に納めることが認められています。
したがって、源泉徴収票では給与等の支払額と会社が天引きした税額が記載されており、会社側は支払いを受けた者に対して交付することが義務付けられているのです。
また、公的年金についても源泉徴収票が発行されます。これも給与や退職金と同じく、支払者が発行する決まりとなっています。
なお、源泉徴収票には以下4つの金額が記載されています。
- 年間の給与収入金額
- 給与所得控除後の金額
- 所得控除額
- 源泉徴収された税額
年間の給与収入金額
いわゆる会社員の年収にあたる金額であり、基本給だけでなく残業代やボーナス、各種手当など企業から支払われた合計金額が記載されています。
ただし、通勤費や出張時に支給される旅費交通費は非課税扱いであるため、給与収入金額には含まれていません。
給与所得控除後の金額
年間の給与収入金額から給与所得控除を差し引いた金額です。給与所得控除とは個人事業主で言う「経費」に該当する部分です。会社員であっても、仕事をするうえで必要となる仕事着などは自費で購入するという考え方のもと、一定額が差し引かれる仕組みとなっています。
所得控除の合計額
上述した給与所得控除後の金額から、さらに納税者全員に適用となる「基礎控除」のほか、個別事情に応じた所得控除が差し引かれます。
代表的なもので言えば「医療費控除」や「社会保険料控除」、「生命保険料控除」などが挙げられます。
源泉徴収された税額
その年に収めた所得税および復興税の金額が記載されています。この税額は「(給与所得控除後の金額-所得控除の合計額)×所得税率」で算出されます。なお、税率は課税される所得額によって異なりますが、源泉徴収票に記載はありません。
もしも源泉徴収票を紛失したら
源泉徴収票を紛失した場合は会社に再発行を依頼する必要があります。稀に「行政が発行してくれるのでは」と考えている方もいますが、役所や税務署では再発行は受け付けていません。また、年の途中で転職した場合は、源泉徴収の発行元は前の職場となります。
なお、源泉徴収票の発行は所得税法によって会社側に義務付けられていますが、万が一、何等かの理由で会社側が源泉徴収票の再発行を拒否する場合は、すぐに最寄りの税務署へ相談しましょう。
この際、会社が再発行を拒否している状況を伝えるとともに「源泉徴収不交付の届出書」を税務署へ提出します。この届出書を提出することで、税務署から会社に対し勧告通知を行うことにより、再交付の働きかけをする仕組みとなっています。
住宅ローンを組むときに必要な書類一覧
住宅ローンを利用する際には、源泉徴収票のほかにもいくつか金融機関へ提出する書面があります。
提出時期は主にローンの事前審査とその後に行われる本審査のタイミングで、一般的には以下に記載された書面の提出が求められます。
- 身分証明書
- 健康保険証
- 住民税課税決定通知書
- 住民税課税証明書
提出が求められる書面の種類や期間は住宅ローンを申し込む金融機関によって異なります。
さらに、確定申告を行っている方は、別途確定申告書や所得税納税証明書が別途必要となる場合もあります。そのため、住宅ローンの申し込みをされる際は、事前に必要書類は何か、また何年分が必要なのかを必ずチェックしてから準備を開始するようにしましょう。
なお、ローンにおける必要書類のほか、住宅購入時に必要な書類について詳しく知りたい人は、下の記事をご覧ください。
おわりに:源泉徴収票の発行は原則年1回、無くした場合はすぐに再交付の依頼をしよう
源泉徴収票は1年間の給与額や退職金額および所得税の徴収額が記載された書面で、年末調整後の翌年1月頃に所属する勤務先などにより発行されます。
金融機関による住宅ローンの融資審査では、源泉徴収票に記載された内容を基に借入申込者の返済能力をはかるため、自営業者など一部の方を除き、ほぼ全ての方が準備する必要があります。
なお、源泉徴収票を紛失してしまった場合は会社側に再交付の依頼をします。再交付はあくまで給与の支払者である会社が行う必要があり、役所や税務署で再発行は受け付けていません。
また万が一、会社側が源泉徴収票の再交付を拒否する場合は、ただちに税務署へ相談し「源泉徴収不交付の届出書」を提出することで、税務署から会社側へ勧告通知をしてもらいましょう。
源泉徴収票は一般的にはすぐに使う書類ではないため、なんとなく自分には必要ないと感じてしまい、紛失してしまったり、人によっては捨ててしまう方もいます。
しかし、源泉徴収票は住宅ローンの利用時以外にも、転職時や確定申告時などさまざまな場面で必要となる書類であるため、配布を受けた後は大切に保管するように心がけましょう。
この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。