インスペクション(建物状況調査・住宅診断)とは?いつ・誰が・いくらで・なんのために行うの?

中古物件の購入で最大のリスクと言えるのが建物の「経年劣化」です。
中古物件は新築物件と比べて価格が安く抑えられる分、多少の劣化は仕方がありませんが「いざ入居した後に生活に支障を及ぼすレベルの不具合が見つかる」ようなケースも残念ながら少なくありません。

このような状況がある中、現在注目されているのが「ホームインスペクション」です。
ホームインスペクションは、住宅診断士が第三者の目線で住宅を検査し「劣化状況」「改修すべき項目」「おおよその改修費用」をアドバイスしてくれる制度です。
この制度によって、買主は劣化状況を把握することができ、購入判断や将来的なリフォームの計画が立てやすいといったメリットがあります。

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本記事の主な内容は以下のとおりです。

  • ホームインスペクションは住宅診断士が建物の状況を目視で検査すること
  • 日本における利用は取引全体の2割程度
  • 費用は5万円~8万円が相場
  • 仲介会社にはホームインスペクションの斡旋の義務がある

日本におけるホームインスペクションはまだ歴史が浅く、制度を利用した物件は取引全体の2割程度と言われています。しかし、宅建業法の改正などによる後押しもあり、今後は広く普及していくことが予想されています。

今回はホームインスペクションについて「いつ・誰が・いくらで・なんのために行うの?」そんな疑問を解決するべく、基礎知識から詳しく解説していきます。

ホームインスペクションとは?

「ホームインスペクション」とは、住宅診断士が第三者の目線で住宅を検査し「劣化状況」「改修すべき項目」「おおよその改修費用」をアドバイスしてくれる制度で「建物状況調査」とも呼ばれます。
住宅の購入前や、売り出し前にホームインスペクションを行なうことで、建物の状況を把握し、安心・安全な取引ができるとして現在注目を集めている制度です。

アメリカでは1980年代から広く活用されており、取引全体に占める普及率はおよそ8割と言われています。
一方、日本ではその歴史は浅く、ホームインスペクションを利用した物件は取引全体の2割程度に留まる状況です。このような状況で、ホームインスペクションに対する顧客ニーズは日増しに高まっており、さらに2018年に行われた宅建業法の改正による後押しもあり、今後は広く普及していくことが予想されています。

なお、建物検査を実施する住宅診断士は、ほかにも「ホームインスペクター」などと呼ばれたりもします。しかし、いずれも国土交通省が実施する「既存住宅状況調査技術者講習」を修了して登録を受けた専門家や建築士であり、その意味に違いはありません。

ホームインスペクションを行う目的

ホームインスペクションは、住宅における建物の状況を正確に把握することを目的として実施されます。
中古物件は新築から時間が経過しており、何等かの部分劣化は避けることができません。しかしだからと言って、物件内覧時にすべての劣化箇所を把握することは現実的に難しく、いざ入居した後に生活に支障が出るような不具合が見つかるケースも少なくありません。

このようなリスクを極力回避するために、ホームインスペクションでは専門家である建築士が外壁や基礎に不具合の兆候は見られないか、室内に雨漏りの形跡はないかなどを主に目視で確認し、「劣化状況」「改修すべき項目」「おおよその改修費用」を売主・買主へアドバイスします。
このアドバイスがあることによって、買主は物件の購入判断や将来的なリフォームの計画が立てやすくなり、安心・安全な取引の実現を図ることができるのです。

ライフプランニングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

ホームインスペクションを行うタイミング

ホームインスペクションは、物件の「所有時」「売却時」「購入時」どのタイミングでも活用することができます。

所有者であれば、取引に関わらず定期的な点検のために実施される方、あるいは売却時に物件の安全性をアピールするために実施される方もいます。
また、買主の立場であっても購入判断や将来のリフォーム計画を立てるために売主の同意を得て実施する場合もあります。

ホームインスペクションを行うのは売り主?買い主?

ホームインスペクションは売主・買主どちらも行うことができます。
ただし、買主が実施する場合は売主の同意が必要となり、また費用負担についても法的な決まりはないため、この場合は買主負担となることが一般的です。

なお、売却時のアピールポイントとするために、売主自らが事前にホームインスペクションを実施しているケースもあります。この場合、当然のことながら費用は売主負担で行われています。

ホームインスペクションにかかる費用感目安

ホームインスペクションの費用は5万円~8万円程度が一般的です。
費用は依頼する会社によって基本料金が異なります。また、診断は主に目視で行いますが、検査項目が多い場合や特殊な機械が必要な場合は割高になる可能性もあります。

なお、ホームインスペクションは建物の安全性を保証するものではないため、万が一入居後に報告されていない不具合が見つかったとしても、ホームインスペクションを行った会社に対して補修や保証を請求することができません。

この保証を付けるためには、別途「住宅瑕疵保険」への加入が必要であり、保証料は6~7万円が相場と言われています。

ホームインスペクション斡旋の義務化とは?

現時点で、ホームインスペクションの実施義務はありませんが、2018年の宅建業法の改正により「仲介会社によるホームインスペクションの斡旋の義務」が明記されています。

仲介会社は中古住宅の取引を行うとき、売主・買主に対してホームインスペクションの制度の説明と希望に応じて斡旋を行う必要があります。
これによって、これまで知られていなかったホームインスペクションという制度を一般消費者にも広く認知されることにより、利用者が増加されると考えられています。

おわりに:ホームインスペクションは住宅の劣化状況を把握するために行う診断

中古物件は新築物件と比べて価格が抑えられる分、「建物の経年劣化」というリスクが存在します。
このリスクによる入居後のトラブルや取引の安全性を高めるために実施されているのが「ホームインスペクション」です。

ホームインスペクションとは、住宅診断士が第三者の目線で住宅を検査し「劣化状況」「改修すべき項目」「おおよその改修費用」をアドバイスする制度です。
この制度により、買主は劣化状況を把握することができ、購入判断や将来的なリフォームの計画が立てやすいといったメリットがあります。

ホームインスペクションは売主・買主どちらも実施することができ、費用は5万円~8万円と言われています。現在、ホームインスペクションを利用した物件は取引全体の2割程度と言われていますが、今後は宅建業法の改正によって制度が認知され、さらに顧客によるニーズも高まっていることから、広く普及されることが予想されています。

この記事を書いた人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)

千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。

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