すまい給付金の要件や申請期限、申請方法とは?中古住宅購入でもらえないケースと注意点も解説

すまい給付金」は、新築・中古住宅の購入で最大50万円(※消費税10%の場合)がもらえる制度です。要件を満たしていれば誰でも申請できるのですが、「すまい給付金のことを知ったときには、すでに申請期限が切れていて給付金がもらえなかった…」という方もいるようです。

すまい給付金の申請は購入者自身で行う必要があり、申請の期限も決まっています。また、「消費税がかかる物件」であること、売主が個人ではなく「宅地建物取引業者」であることなど、要件も決められています。

この記事では、すまい給付金の対象要件や申請方法を解説します。購入予定の住宅が給付金の対象になるか、対象となる場合の申請方法を確認していきましょう。

すまい給付金とは?

「すまい給付金」は、住宅購入時の消費税の負担を減らすために創設された給付金制度です。住宅ローン減税を補完する役割を持つ制度で、平成26年の消費税率引き上げ(5%→8%)の際に創設されました。

消費税率が上がると建物にかかる消費税額が大きくなり、住宅購入者の負担が増えます。後述する住宅ローン減税とあわせて、消費税率の引き上げに伴う税の負担を軽減するための制度です。

住宅ローン減税の仕組み

「住宅ローン減税」は所得税等から控除されるため、納税額が多い人ほど還付される金額が多い仕組みになっています。そのため、収入が低い方は減税の恩恵を受けづらく、制度自体に不公平感があると指摘されていました。

住宅ローン減税に関するより詳しい情報は、こちらでご覧いただけます。

すまい給付金は収入が低いほど給付金が高くなる

住宅ローンの仕組みを補完するために、すまい給付金では年収上限を設け、収入が低いほど給付額が高くなる制度設計となっています。消費税8%・10%それぞれに年収上限が設定されています。

なお、給付額は「給付基礎額(※都道府県民税の所得割額に基づき決定)」と「持分割合(※不動産の名義と所有の割合のこと)」で決まります。

すまい給付金がもらえる中古住宅と対象者

すまい給付金をもらうには、住宅や対象者の要件を満たしている必要があります。ここでは中古住宅にスポットをあてて解説します。

すまい給付金がもらえる中古住宅の要件

すまい給付金の主な要件は、下記のとおりです。

  • 引き上げ後の消費税率が適用されること
  • 床面積が50㎡以上であること
  • 第三者機関の検査を受けた住宅であること 等

参考:すまい給付金とは

引き上げ後の消費税がかかる物件であること

すまい給付金は「引き上げ後の消費税がかかる物件」が給付対象となります。中古住宅の場合は、売主が個人ではなく「宅地建物取引業者」から購入した住宅が対象です。

売主が個人の場合は、取引に消費税が発生しない(非課税)のため、給付金の対象にはなりません

また、売主が宅地建物取引業者の場合は、取引に消費税が発生するため給付金の対象となります。たとえば、不動産会社(宅地建物取引業者)が自社で建物を購入し、リフォームやリノベーションを施して再販している建物が該当する場合が多いです。
参考:消費税について | すまい給付金
消費税について|すまい給付金

第三者機関の住宅検査を受けていること

中古住宅においては、住宅の品質に関する要件を満たす必要があります。住宅の売買時に第三者機関の住宅検査を受けることや、既存住宅売買瑕疵保険の加入などが必要です。
※既存住宅売買瑕疵保険…中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度

床面積の要件を満たしていること

2021年1月にすまい給付金の改正があり、床面積要件が50㎡以上から40㎡以上に緩和されることになりました。分譲住宅・既存住宅(中古住宅)の場合は、令和2年12月1日から令和3年11月30日までの購入が対象になります。

すまい給付金がもらえる対象者となる人

すまい給付金がもらえる対象となる人は、2つの要件があります。

  • 住宅を取得し登記上の持分を保有するとともにその住宅に自分で居住する
  • 収入が一定以下

引用元:すまい給付金とは

登記上の所有権を持つこと、住宅を購入したら自分で居住すること(※住民票で居住が確認できること)、収入額の目安が775万円以下であることが要件とされています。

また、住宅ローンを使わず、現金で購入する場合は要件が異なるので注意しましょう。 “50才以上”で収入が“650万円以下”の方が対象になります。

中古住宅購入ですまい給付金がもらえないケースと注意点

消費税が発生する中古住宅でも、以下のようなケースでは給付金がもらえません。

  • 収入額の要件を超えている
  • 床面積が50㎡未満(※2021/10現在は40㎡以上)
  • 性能評価や既存住宅瑕疵保険の証明書がない

収入額の要件を超えている

すまい給付金は、消費税8%・10%それぞれに年収上限が設定されています。

  • 消費税率8%時:510万円以下
  • 消費税率10%時:775万円以下

上記の年収上限を超えた場合は、給付対象外となります。また住宅ローンを利用しない方は、要件が異なりますので注意が必要です。

なお、すまい給付金の公式サイトでは「すまい給付金シミュレーション」を公開していますので、気になる方はチェックしておきましょう。

床面積の要件が満たせていない

住宅の床面積にも要件があり、一戸建て、マンションともに「50㎡未満」の場合は給付対象外です。(※2021/10現在は要件が緩和されており、「40㎡以上」が対象となります。)
なお、確認する面積は「登記簿に記載された面積」になるため注意が必要です。

マンションの場合、パンフレットと登記簿に記載されている面積の算定方法が異なります。パンフレット上の面積の方が、若干広く記載されていることが一般的です。

性能評価や既存住宅瑕疵保険の証明書がない

中古住宅の場合は、下記いずれかの条件を満たしていることや、すまい給付金の申請時に証明書を添付する必要があります。

  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入した住宅
  • 建設後10年以内かつ住宅瑕疵担保責任保険または建設住宅性能表示を利用している住宅
  • 既存住宅性能表示制度を利用した住宅

既存住宅売買瑕疵保険および住宅瑕疵担保責任、建物住宅性能表示については売主に確認し、加入・利用している場合は証明書の提供を依頼します。

また、売主がこれらに加入・利用していない場合は「既存住宅性能評価」を利用します。既存住宅性能評価書を取得するためには、一般的に数万円~数十万円の手数料がかかります。詳しくは下記でご確認ください。
株式会社 住宅性能評価センター|住宅性能評価|申請料金・手数料

既存住宅性能評価とは?

既存住宅性能評価は、中古住宅(既存住宅)の性能を専門家に評価してもらう制度で、住宅の劣化や不具合の状態がわかります。

既存住宅性能評価は、売買する人、不動産仲介会社、管理会社、所有者、居住者など、誰でも申し込むことができます。また、売主が評価を取得し「既存住宅性能評価付き住宅」として販売することもあります。

すまい給付金の申請方法

すまい給付金は「すまい給付金事務局」に申請します。給付までは以下のような流れで手続きを行います。

  1. すまい給付金のホームページにアクセス、または「お問い合わせ窓口(電話)」、「サポートセンター(対面)」で相談する。
  2. 申請書類と添付書類を「すまい給付金事務局」へ郵送または窓口で提出する。
  3. 事務局による審査が行われる。
  4. 審査が承認され、申請者に通知が郵送される。
  5. 通知が届いてから1.5~2ヶ月後に指定口座に給付金が振り込まれる。

申請書類の記入や添付書類の準備は、不足や間違いがないように、すまい給付金事務局の窓口で確認および相談しながら進めることをおすすめします。

なお、すまい給付金事務局は公式サイトからお近くの事務局を探すことができます。
事務局に問い合わせる|すまい給付金

すまい給付金の申請期限と給付方法

給付申請は住宅の引渡しから1年(※2021/10現在は一時的に1年3ヶ月に延長)以内に行います。期限を過ぎてしまうと申請できないので注意しましょう。

給付方法は指定口座への振り込みで、申請後に審査が通れば1.5~2ヶ月後に振り込まれます。また、審査完了の通知はされません。

おわりに:住宅を購入したら「すまい給付金」を忘れずに申請しましょう

住宅の購入をするなら、希望の物件がすまい給付金の対象となる物件かどうかを購入前に調べておくとスムーズです。要件を満たしていないと中古住宅購入でもらえないケースもあるので、事前に確認しておきましょう。

申請書類の記入方法や添付書類の準備には複雑な部分もあるため、すまい給付金事務局窓口などで相談しながら進めることをおすすめします。

この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

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