これから先は「人生100年時代」と言われています。これまでよりライフステージ(教育 ⇒ 仕事 ⇒ 引退など人生においての各節目、各段階のこと)の移行が増えると予想する研究もあり、その移行に合わせて住居を替える機会も増えていくのかもしれません。
そんな時代が本当に来るなら、マイホームの購入は資産価値まで考えて実行したいところです。もしも将来、売却するときに購入価格と同額で売れたら、居住中の住居費がほとんどかからなかったことになります。
本稿では、資産価値が下がらない中古マンションの選び方を5つご紹介します。人生が複雑化する時代に備え、資産の活用を検討したいとお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
下記の動画で弊社代表の沢辺がより詳しく説明しております。
目次
マンションの資産価値とは?
さて、そもそもマンションにおける「資産価値」とは、何を指すのでしょうか。
資産価値は、言い換えると経済的価値です。つまり、マンションにおいては「いくらで売れるか」あるいは「いくらで貸せるか」であり、「資産価値が高い」とは「高く売れる、高く貸せる」ということです。
マンションの「資産価値」を決める要素は「立地、躯体 (建物)、住戸」の3つに大別できます。各要素の条件がよい物件ほど、高額で売却できたり高く貸し出せたりするのです。
- 立地:エリア、交通利便性、災害危険度など
- 躯体:築年数、維持管理の状態、供給者・施工者など
- 住戸:広さ、間取り、階数、眺望、方角、風通し、日当たりなど
では「資産価値が落ちにくい中古マンション」とは、どんな条件がそろったマンションなのでしょうか。ポイントを5つご紹介しましょう。
資産価値が落ちにくい中古マンションの条件
はやりの内装や住宅設備は10年もあれば陳腐化しますが、刷新できます。中古マンションの資産価値を考える際は、そのような要素より、恒久的なものや変えられないものに注目していただくとよいでしょう。
さっそく、ご注目いただきたいポイントを5つご紹介します。
都心エリア・駅近にある
住戸の中身はリノベーションで刷新できますが、立地は変えられません。ですから、立地は資産価値の維持を考える際に無視できない要素であり、その「立地」に関する条件の中でも「駅からの距離」はとくに注目したいところです。
中古マンションのリセールバリュー(新築時価格の維持率)は、最寄り駅から近いほど高いことが知られています。都市部にある利便性が高い駅の周辺では、築10年の物件でも100%以上の価格で売買されるケースが珍しくありません。
じつは、最寄り駅からの所要時間は、新築より中古が有利です。都市部の「駅から徒歩圏内」は以前からマンション開発が進んでいたので、新築は用地の取得が困難になりつつあるのです。この優位性を生かし、資産価値を維持している中古マンションが少なくありません。
土地の価値が大きい
中古マンションの売買価格は「建物価格 + 土地価格」で構成されます。このうち建物価格は築年数に応じて下がりますが、土地価格は建物のような下がり方はせず、一定の価値を維持し続けます。
ですから、土地の価値が大きいほどマンションの価値の下落はゆるやかです。では、土地の価値が高いエリアとは、どんなエリアなのでしょうか。条件をふたつご紹介します。
土地の価値が高いエリアとは?
- そこに住みたいと考える人が多いエリア
- 今だけでなく、将来も人口の流入が見込めるエリア
上述のようなエリアにある土地は底堅く、価値が下がりにくいでしょう。需要と供給の動向しだいでは、価値が上がる(値上がりする)ことも考えられます。
管理が行き届いているマンション
一般的なマンションの建物は築年数に応じて資産価値が減少していき、いずれゼロになります。しかし、ゼロになるまでの期間は一定ではなく、管理の状況しだいで早くなったり遅くなったり変化します。
管理が行き届いているマンションは劣化や老朽化の進行がゆるやかで、長く住み続けられます。資産価値の低減速度も遅く、このことから「中古マンションは管理を買え」と言われるほどです。
中古マンションの管理状況は、外観や廊下等の共有部分を目視したり、管理組合の定期総会や長期修繕計画の内容を確認したりすることでわかります。以下の書類を不動産会社経由で手に入れて一読しておきましょう。
- 定期総会議案書
- 総会議事録
- 長期修繕計画案
上述の資料から、管理予算の収支やマンション内で課題になっている事象も読み取れます。そこで生活するうえで欠かせない情報ですので、必ず目を通しておいてください。
こちらの記事では、中古マンション購入時の申し込みから入居までの流れを10STEPで解説しています。
50m²~70m²程度の専有面積である
周辺のニーズにあった広さのマンションは人気があり、売れやすいでしょう。しかし、日本でもっとも需要がある70m²前後のマンションは供給数が多いため、ライバルも多くなり必ずしも高く売れるとは限りません。
一方、50m²前後や100m²を超える物件は、エリアによっては供給数を上回る需要があり、高いリセールバリューを保っています。世の中には、二世帯同居や大家族など広い物件を必要としている方がおられますので、大面積の物件の需要はとくに根強いものがあります。
ちなみに、数百戸を超えるような大規模マンションも、リセールバリューが高くなる傾向があります。これは、生活に必要な施設が近隣に招致されやすいことや、管理や修繕予算が潤沢に集まりやすいことが影響しているのではないかと思われます。
大震災や水害、土砂崩れが起こる可能性の低いエリア
大規模な災害に被災すれば、需要の下落は避けられず、資産価値にも影響するでしょう。ですから中古マンションは、できるだけ大震災や水害、土砂崩れが起こる可能性の低いエリアで購入したいところです。
国や自治体がハザードマップ(被災の危険があるエリアや避難場所をまとめた地図)を公表していますので、マンションの購入前に必ず確認しておきましょう。もしものときの備えや、防災意識の醸成にも役立ちます。
1981年6月以降に建設されたマンション
地震に関しては、マンションの耐震性も重要です。1981年6月の「建築基準法施行令改正」を境に耐震基準が大きく変わり厳格化されていますので、設計された時期(建築確認の日付)を確認しておきましょう。
1981年5月以前に設計されたマンションは、住宅ローンや住宅ローン減税の利用条件が厳しくなります。その分需要が下がりますので、資産性を考えるなら現行耐震基準のマンションのほうが有利です。
資産価値が下がりにくいマンションの条件を、5つご紹介しました。果たして、そんなことを気にして中古マンションを買う必要があるのでしょうか。
マンションの資産価値を考えることはなぜ必要なのか
自分がずっと住むために買うマンションなら、もっとも重視すべきは売却時の価格や賃料収入ではなく「住み心地」でしょう。では、もしも将来、引っ越したり貸し出したりする可能性があるとしたらどうでしょうか。
ライフステージの変化で最適な住まいも変わる
突然ですが『LIFE SHIFT』という書籍をご存知でしょうか。数々の賞を受賞した有名書籍で、共著者のリンダ・グラットン教授(ロンドン・ビジネス・スクール管理経営学)は日本政府の「人生100年時代構想会議」に招請されています。
上述の書籍では「50歳未満の日本人は100年以上生きる時代を過ごす可能性が高い」と述べられています。それにともない、これまでの3ステージ型人生(教育 ⇒ 仕事 ⇒ 引退)はマルチステージ型人生へと移行するそうです。
参考:ライフシフトについて|ライフシフト LIFE SHIFT
ライフステージによって、最適な住まいは変わります。そうであれば、マルチステージの「人生100年時代」には、住み替えを経験する人が増えていくと予想できます。
その際、マンションの資産価値(売却価格)は、その後のライフステージの質を大きく左右するほど重要な意味を持ちます。なぜなら、自宅をうまく活用すれば、住居費を大きく下げられるからです。
たとえば、あなたが買った中古マンションが、購入価格と同じ金額で売れたらどうなるでしょうか。居住中にかかった主な住居費は、以下の費用だけで済みます。
- 住宅ローンの利息
- 管理費・修繕積立金
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険・地震保険
もしも住居費が上述の費用だけで済むなら、同レベルの賃貸物件よりはるかに低コストで暮らせることになります。
さらに、高齢になればサービス付き高齢者向け住宅への移転費用に活用できるかもしれません。天寿をまっとうする際にまだ資産価値が残っていたら、子や孫の住居費を下げることにも役立てられるでしょう。
ですからこれからの時代、資産価値を考えた中古マンションの購入は、決して意味がない行為ではないのです。
おわりに:マンションの資産価値はライフステージの質に大きく影響する
資産価値が下がりにくいマンションの条件をご紹介しました。中には専門家の協力がないと情報収集が難しい項目もありますので、親身になって相談に乗ってくれる不動産会社に仲介を依頼したいところです。
中古マンションを購入する際は、諸費用等の取得費も抑えたいところです。「諸費用」の中で大きな割合を占めるのが「仲介手数料 (売買価格の3%+6万円+消費税)」です。仲介手数料を安くできると、取得費が大きく下がります。
仲介手数料の節約にご興味がある方は、ぜひ「不動産仲介手数料無料機構公式サイト|イエフリ」にご相談ください。売主との価格交渉をお手伝いするだけでなく、仲介手数料を無料(条件によっては半額)にできるようサポートさせていただきます。
こちらの記事では、中古マンション購入時の諸費用の内訳と目安金額、節約方法も詳しく解説しています。
この記事を書いた人

ホリカワダット
インテリアコーディネーターと1級カラーコディネーター資格保有。主に住宅分野を専門とするライター・ブロガー。工務店営業支援もおこなう複業フリーランス。高気密高断熱の注文住宅を得意とする建築会社で約8年間、営業職を経験。年間200組のお客様をサポートした経験と、自宅の分譲マンションをスケルトンからリノベーションした経験をもとに、家探しや家づくりの資金計画などをわかりやすく解説します。
この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。