フラット35を利用できる物件とは?利用時の流れや支払い例も解説

住宅ローンには大きく分けて「民間ローン」と「フラット35」があります。
このうちフラット35は、住宅金融支援機構と全国300以上の民間金融機関が提携して取扱う住宅ローンです。

民間ローンとフラット35は、ともに「住宅購入を目的とした月々返済型のローン商品」という点では変わりませんが、金利や返済期間、団体信用保険への加入義務など「借りるための条件」が異なります。

2023年の金利動向が気になる方は、弊社代表の沢辺が解説するこちらの動画をご覧ください。

本記事の主な内容は以下のとおりです。

  • フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して取扱う住宅ローン商品
  • 金利は全期間固定であるため返済計画が立てやすい
  • 団体信用保険への加入義務が無くても利用できる
  • 利用するためには「適合証明書」の発行が必要
  • 「らくらくフラット35」に登録されている物件は適合証明書の発行は不要

今回は、住宅ローンを組んで購入を検討される方に向けて、フラット35の基本知識や利用時の流れについて詳しく解説していきます。

【基礎知識】フラット35とは?

フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して取扱う住宅ローン商品です。
この「フラット35」という名称は、借入時の金利が全期間を通じて固定されること、また返済期間が最長35年であることに由来します。

もともとフラット35は2003年に当時の住宅金融公庫が発売した住宅ローンです。2007年に住宅金融公庫が独立行政法人住宅金融支援機構として半民営化されてからは、市場のさまざまなニーズに応えるべく商品改善や融資条件の見直しが行われ、以後フラット35は住宅ローン市場でのシェアを大きく伸ばすに至りました。

なお、フラット35には下記のように「買取型」と「保証型」の2種類があります。

  • 買取型:民間の金融機関が利用者に融資し、住宅金融支援機構が債権を買取る仕組み
  • 保証型:民間の金融機関が利用者に融資し、住宅金融支援機構が債権を保証する仕組み

2つの大きな違いは、買取型は融資金利を住宅金融支援機構が決定することに対し、保証型は民間の金融機関が決定する点があげられます。買取型は各金融機関ともに金利に違いはほとんど生じませんが、保証型の場合は金利の決定権が各金融機関に委ねられているため、頭金の金額などによって融資金利が大きく異なる場合があります。

住宅ローンを組むときは、年収と返済可能額の目安を知っておくことが大切です。こちらもあわせてご覧ください。

フラット35のメリット

フラット35のメリットとして主に下記6つが挙げられます。

  • 全期間の金利が固定されている
  • 質の高い住宅の場合は金利が緩和される
  • 融資審査が民間ローンと比較してやさしい
  • 繰上返済時の手数料など返済期間中の諸費用がかからない
  • セカンドハウスの購入にも利用できる
  • 団体信用保険への加入義務が無い

民間ローンとフラット35の最大の違いは「団体信用保険への加入義務が無いこと」です。
団体信用保険とは、借入者が万が一死亡した場合や高度障害になったとき、住宅ローンの返済が全額免除される仕組みです。

民間ローンは融資条件として団体信用保険への加入が必須である一方、フラット35は任意とされており、健康状態に不安がある方でもローンの借り入れができる仕組みとなっています。しかしながら、当然保険に入っていなければ、万が一の際でも残債は残ってしまうため大きなリスクと言えます。

さらに、融資審査についても民間ローンと比較してやさしいと言われています。特に買取型は審査については各金融機関が行うものの、融資後の債権は住宅支援機構が買い取るため金融機関側の回収リスクがなく、自ずと審査が通りやすくなるのです。ただし、あくまで通説であるため参考として認識しておきましょう。

フラット35を利用できる物件とは

フラット35を利用するためには、購入物件が、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たしている必要があります。物件がこの技術基準をクリアしていることを示すためには、さらに「適合証明書」の発行が必要です。

適合証明書は設計事務所や建築審査機関など「適合証明技術者」と呼ばれる専門家が行います。なお、専門家への依頼と適合証明書の発行には、5万円~8万円程度の費用が必要です。

らくらくフラット35では適合証明書が不要

「らくらくフラット35」とは、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることが予め確認された中古マンションであれば、適合証明書の取得が省略できる制度です。
ただし、物件自体が適合している場合でも、敷地が保留地や転貸借地等であることや、敷地や建物に買戻権が設定されているなど特殊な場合は対象外となる可能性があるため注意が必要です。

検討物件が対象のマンションであるかは、フラット35のホームページから確認することができます。築浅のマンションであれば登録されている可能性がありますので、検討されている方は必ずチェックしておきましょう。

フラット35を利用する流れ

フラット35は下記のような流れで手続きされます。

  • 事前申込み
  • 本審査申込み
  • 適合証明書の取得
  • ローン契約(金銭消費貸借契約)の締結
  • 融資の実行

事前申込み

フラット35を取り扱う金融機関の窓口で、借入条件や返済能力などの簡単な審査を申込みます。
この際、借入者の身分証明書や実印、住民票、源泉徴収票や課税証明書等の収入証明書が必要です。

本審査申込み

フラット35の融資元である住宅金融支援機構へ本審査を申込みます。
この際にも、事前申込みの時と同様の書類の準備が必要となります。

適合証明書の取得

先述した適合証明書を取得します。この際5~8万円程度の費用が発生します。なお、金融機関が提携する適合証明機関に依頼することが一般的です。

ローン契約(金銭消費貸借契約)の締結

金融機関とローン契約を締結します。この際には抵当権設定関係の書類も同時に取り交わします。

融資の実行

ローン契約締結後5営業日程度で融資の実行が可能です。物件の引渡し当日、司法書士立ち合いのもと物件の所有権移転の準備が整ったことを確認次第、融資が実行されます。

フラット35を利用したときの支払い例

2021年4月現在、フラット35の融資金利は年1.37%です。
(融資期間35年、頭金1割以下の場合)
例として4,000万円を借り入れた場合は以下の様になります。

  • 毎月返済額:12万円
  • 総返済額:約5,040万円

返済シミュレーションはフラット35のウェブサイトでも行うことができます。最新の金利も確認できますので是非チェックしてみてください。

おわりに:フラット35は金利変動リスクが気になる方におすすめのローン商品

フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して取扱う住宅ローン商品で、全期間金利が固定されているため返済計画が立てやすく、さらに団体信用保険への加入義務もありません。

フラット35を利用するためには専門機関が発行する「適合証明書」の取得が必要となり、5~8万円程度の費用が発生します。
ただし、予め住宅支援機構が定めた「らくらくフラット35」の中古マンションであれば、適合証明書の取得を省略することができます。登録の有無はフラット35のウェブサイトで確認できますので、検討されている方は必ずチェックしておきましょう。

この記事を書いた人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)

千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。

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