大規模マンションに住むメリットとデメリットとは?購入前に確認しておくポイント3つ

マンション選びにおいて物件の「規模」は注目されるポイントです。
マンションは小規模・中規模・大規模と区分されることが多く、立地や建物形状、共用部など物件ごとに特徴が異なります。
この規模の区分については法律等による明確な基準はありません。しかし、販売広告などを見ると、総戸数100戸を超える場合「大規模マンション」と記載され、大規模であることを物件のアピールポイント・メリットとして前面に押し出すものが多いです。
タワーマンションのメリット・デメリットを知りたい方は、弊社代表の沢辺がYoutubeでより詳しく解説しておりますのでご覧ください。
本記事の主な内容は以下のとおりです。
- 総戸数が100戸以上の物件を「大規模マンション」として扱うことが一般的
- 郊外エリアの「多棟型」はファミリー向けが多い
- 都心やターミナル駅に多い「タワー型」はエリア富裕層や投資家向け商品もある
- 大規模物件の最大の魅力は共用部が充実していること
- 大規模物件はコミュニティリスクが弱点
物件の規模によって、入居後のライフスタイルが大きく影響されると言っても過言ではありません。
検討されている物件の規模とその特徴をしっかり把握し、ご自身が理想とするライフスタイルにマッチするか、事前に理解しておいくことが重要です。
今回は、大規模マンションに住むメリットとデメリット、購入前に確認しておくポイントを解説していきます。
目次
大規模マンションとは?
マンションは小規模・中規模・大規模に区分されることがあります。しかし、この区分には法律による明確な基準はなく、実際は業界関係者が慣習的・感覚的に決めていることがほとんどです。
通例としては、下記のように物件の総戸数によって分けられています。
- 小規模:30戸~50戸程度
- 中規模:50戸~100戸未満
- 大規模:100戸以上
上記のとおり、総戸数が100戸以上の物件を「大規模マンション」として扱うことが一般的です。
販売広告でもこのクラスになると「大規模」と謳い、物件のアピールポイントとして前面に押し出すことが多いです。
また大規模物件は「多棟型」や「タワー型」など、所在するエリアやニーズによって建物形状や配棟の特徴が異なります。それぞれ具体的に見ていきましょう。
郊外に多い「多棟型」
郊外エリアにおける大規模物件の場合、広大な敷地を活かして複数の建物で構成する「多棟型」の物件が多い特徴があります。
いわゆる「板状型」の建物が敷地に複数配棟されており、建物敷地以外の場所は駐車場や共用施設、緑地などで構成されています。
駅からは少し離れた場所で計画されることが多く、価格も次に紹介するタワー型と比べて安く設定されるため、ファミリー層やプレファミリーをターゲットとしていることがほとんどです。
都心やターミナル駅に多い「タワー型」
タワー型の大規模物件は、都心エリアやターミナル駅至近で計画されることが多い特徴があります。
この「タワー」についても、何階建てからタワーとなるか明確な基準はありませんが、概ね20階を超えるとタワーと名乗ることが通例となっています。
建物の高さは都市計画法や条例によって制限される場合が多く、20階を超える建物は何等か行政の特別な許可を受けて建築されていることがほとんどです。
特に駅前のタワーマンションは、行政の特別な許可を要する「総合設計」や地元地権者と共同で行う「再開発事業」によって建築されることが多く、完成までに多くの時間がかかっています。
そのため、駅への近さに加え、眺望や希少性に優れることから、販売価格もエリア最高値に設定されることが多い特徴があります。また、エリアにおける富裕層や資産性を重視する顧客をターゲットとしているため、ファミリー向け住戸のみならずDINKSや単身者、賃貸向け住戸が設定されていることもタワーマンションの特徴の一つです。
大規模マンションに住むメリット
大規模物件には以下のようなメリットがあります。
- 共用部が充実している
- 管理費が安い
- 流通性が高い
共用部が充実している
大規模物件の最大の魅力は共用部が充実していることです。
従来からキッズスペースやシアタールーム、タワー型の場合はスカイラウンジなど住民専用の施設が充実していることに加え、最近では在宅勤務の増加に対応するため、ワークスペースを設けたり、共用部にWIFI環境を整備する物件も多くなっています。
管理費が安い
マンションは月々数千円から数万円の管理費が発生します。管理費は、管理会社への委託費用のほか、共用施設や駐車場、エレベーターなどの維持管理コストとして使用されます。
大規模物件の場合、徴収する母数が多くなるため、小規模物件と比べて管理費が安い傾向があります。
流通性が高い
大規模物件はエリアでの認知度が高く、それにより流通性も高い傾向があります。
大規模マンションに住むデメリット
メリットの一方で下記のようなデメリットも存在します。
- コミュニティリスクがある
- 修繕積立金が高くなる可能性がある
- アクセス性が悪い場合がある
コミュニティリスクがある
マンションは区分されているとはいえ、ほぼ同じ屋根の下で多くの人が生活しています。そのため、多かれ少なかれ住民同士のトラブルは必ずと言っていいほど発生します。
また、マンションの管理組合は住民が持ち回りで役員を担うことが通常です。
理事会や総会の準備は管理会社が行いますが、議事進行は役員が中心となるため、大規模であるほど議案数やそれに伴う合意形成における住民の負担は多くなると言えます。
修繕積立金が高くなる可能性がある
修繕積立金は日々の施設修繕や15年~20年に一度行う「大規模修繕工事」に使用されます。修繕積立金は新築当時こそ安く設定されているものの、築年が経過するとともに値上がりしていく傾向が多く見られます。
特に大規模物件は修繕内容が多くなるため、管理組合で策定した長期修繕計画の内容どおりに運用することが難しい場合があります。その場合、大規模修繕工事の際に不足する部分を「一時金」として住民から徴収する可能性もあるため注意が必要です。
アクセス性が悪い場合がある
意外と見落としがちなのは、部屋からエントランスまでの所要時間です。
大規模物件は敷地内で長い移動が必要な場合や、タワー型であればエレベーターの待ち時間が長い場合があるなど、そもそもエントランスまでの所要時間が長くなる可能性があるため注意が必要です。
大規模マンション購入前に確認しておくポイント
- 他の部屋が売り出されていないか確認する
- 物件のリセールバリューを考慮しておく
- 修繕積立金の充足状況や滞納状況を確認する
他の部屋が売り出されていないか確認する
大規模物件では、同じタイミングで複数の物件が売り出されていることが珍しくありません。同様の条件であっても、売り急ぎにより検討物件よりも安くなっているケースもあるため、頻度高く物件情報をチェックすることをおすすめします。
物件のリセールバリューを考慮しておく
大規模物件を購入する際は、物件の将来性をしっかり考慮する必要があります。
大規模物件は流通性が高い傾向がある一方で、大規模であるために複数の物件が同時に売り出される可能性も高いです。
駅近のタワーマンションの場合は希少性の高さから価格の維持・向上が期待できますが、郊外エリアの物件は値下がり率が高いケースもみられます。
そのため、将来売却する可能性がある方は、購入時点で物件の立地や特徴を理解し、リセールバリューも考えながら購入することがおすすめです。
修繕積立金の充足状況や滞納状況を確認する
デメリットでご紹介したように、修繕計画が上手く運用されているかも確認が必要です。中古物件の場合、購入前に管理会社から取得する「重要事項調査報告書」には積立状況や住民の延滞状況などが記載されていますので必ずチェックしておきましょう。
こちらの記事では中古マンションを購入するときの注意点を解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
おわりに:ライフスタイルに合った物件選びが重要
マンション規模の区分には法律による明確な基準はなく、実際は業界関係者が慣習的・感覚的に決めていることがほとんどです。
その中で「大規模マンション」は総戸数100戸以上のマンションを指すことが通例となっています。
大規模マンションは「多棟型」と「タワー型」それぞれに住戸面積や間取り、価格設定が異なりますが、
いずれの場合も共用部が充実している物件が多く、またエリア認知度が高いため生活利便性のみならず流通性が高いというメリットがあります。
物件を選ぶ際は、メリットやデメリットをしっかり理解しながら、ご自身のライフスタイルや将来の資産性を考慮しながら総合的に判断することが重要です。
この記事を書いた人

スターフォレスト代表取締役増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。
この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。