新築一戸建てを購入したら登記が必要!?登記の仕組みや流れを詳しく解説

不動産に関する登記には様々な種類がありますが、新築一戸建てを購入した場合に行われる登記にはどのようなものがあるのでしょうか?
- 不動産登記は表題部と権利部に分かれているが、登記の義務があるのが表題部のみ
- 権利部に登記の義務はないが、多くのデメリットがあるため、実質登記が必要
- 新築一戸建てを購入した場合に必要なのは、土地の所有権移転登記と、建物の所有権保存登記、建物の表題登記
- 住宅ローン利用の場合には、金融機関によって抵当権設定登記がなされる
- 新築一戸建てについては、建売住宅か注文住宅かによって買主に必要な登記の種類が変わる
この記事では、新築一戸建てを購入した場合の登記について、その登記による効果や登記の流れについて詳しく解説していきます。
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目次
不動産の登記とは?
- 不動産登記は表題部と権利部に分かれている
- 不動産購入に関する登記は、所有権保存登記、所有権移転登記、抵当権設定登記、表題登記など
- 新築一戸建てを購入した場合に行うのは、土地の所有権移転登記と、建物の所有権保存登記、建物の表題登記、抵当権設定登記(住宅ローン利用の場合)
主な不動産登記の種類
不動産を購入した場合には様々な登記が行われますが、ほとんどは不動産仲介業者が司法書士に依頼をしてくれるために直接かかわることはありません。しかしながら、どのような登記が、何のために行われているかについては把握しておいたほうがよいでしょう。
不動産の登記に関しては、表題部と権利部に分かれます。表題部については、その不動産の外観や物理的な状況を記載する部分であり、権利部はその不動産に設定された権利を記載する部分です。
不動産購入に関する登記としては主に、所有権保存登記、所有権移転登記、抵当権設定登記、表題登記が挙げられますが、このなかで新築一戸建てを購入した場合に行うのは、土地の所有権移転登記と、建物の所有権保存登記、建物の表題登記であり、住宅ローンを組む場合には金融機関によって抵当権設定登記が行われることになります。
所有権保存登記
所有権の登記がない不動産について最初に行われる登記のことです。注文住宅を新築したり、建売住宅や新築マンションを購入した際に行う登記です。所有権保存登記によって、購入者が所有者であることが証明されます。
所有権移転登記
既に所有権の登記がある不動産について、所有権が移転された場合に行う登記です。中古住宅を購入する場合に行われる他、土地を購入した場合にも行われます。土地に関しては、所有権が無い土地がほぼ無いことから、所有権保存登記はありません。
抵当権設定登記・抹消登記
所有権の登記がある不動産について、住宅ローンなどを組んで購入する場合に、金融機関等が担保権を設定するために行われる登記のことを抵当権設定登記といいます。万が一返済が滞った場合、債権者である金融機関は担保権が設定された不動産を競売にかけ、その代金を自己の債権に充当できることになります。
また、住宅ローンを完済した場合には、金融機関に対して抵当権抹消登記を行うことができます(自動的に行われるわけではありません)。たとえば、住宅ローンを返済中の不動産を売却した場合、買主によって残債が支払われることになりますから、金融機関に対して抵当権抹消登記を行うことができるようになります。そして、抵当権抹消登記と同時に、買主への所有権移転登記が行われるという流れになります。
表題部の登記(表題登記)
先述したとおり、登記されている不動産について、その不動産の物理的な状況を記載し、その所在地を特定するために行われている登記の内容を表題部といいます。土地の場合には所在地や地番、地目、地積、などか記載されており、建物の場合には、所在、家屋番号、種類、構造などが記載されます。たとえば、既存の物件を建て壊し、建物がリフォームされた場合には、この表題登記が変更されることになります。
登記の記事を読んでいる方にあわせておすすめしたい記事です。知らないと200万円損するかもしれない不動産登記の話はこちらで解説しています。
なぜ不動産の登記が必要?
「登記をすることで自分の持ち物だって証明できるわけでしょ?」
「そうだね!だから登記は絶対必要だってことだよね?」
「いや、違うみたいよ?権利を表す部分は義務じゃないんだって!」
「えー!?じゃあ誰の持ち物か分からないじゃん!」
不動産登記が表題部と権利部に分かれることは先述したとおりですが、表題部登記をしないと罰則がある一方で、実は権利部の記載については現在義務ではありません。しかし、権利部の登記をしないことで様々なデメリットが生じるのです。
表題部についての罰則
新築一戸建てについては、所有権を取得してから1ヶ月以内に表題部の登記を行わなければいけません。これは不動産登記法にも決められていることであり、登記をしなかった場合には10万円以下の過料(罰金)が発生します。
なぜ表題部の登記が必要かといえば、地方自治体などの行政が、固定資産税や都市計画税を徴収するために必要な情報になるからです。
権利部の登記は義務ではないものの実質は必要
2021年4月現在において、権利部の登記に関しての義務はなく、個人の判断に委ねられている状態です。しかし、登記をしないことで多くのデメリットが生じます。以下に一例を記載していきます。
二重売買に対し所有権を主張できない
新築一戸建て購入時には関係ありませんが、中古物件だった場合には、二重売買の可能性があります。たとえば売主であるAさんが買い主であるあなたと同時にBさんとも売買契約を交わしたとしたらどうなるでしょう?判例では不動産の所有者は先に登記をしたものに所有権があるとみなしています。
もちろんこの場合、先に登記をすることができなかったあなた、もしくはBさんは、売主であるAさんに対して損害賠償を請求することができますが、マイホームを購入していざ転居という段階でこのような状況になっていれば大変です。そのため、所有権移転登記を行う必要があるのです。
不動産を担保にした融資を受けることができない
住宅ローンなどの融資を金融機関から受ける際には、住宅ローンの返済が滞った場合に備えて、金融機関が抵当権を設定し、担保の対象とします。そして、担保の対象にできるのは登記済の不動産だけです。つまり、住宅ローンを組むためには担保が必要なのです。
また不動産担保ローンなど、不動産を担保として融資を受ける場合も同様に、登記済の不動産であることが条件となります。
登記簿上の所有者以外は不動産の売却や賃貸はできない
不動産の売却(もしくは賃貸)を行う場合、所有者がはっきりしない不動産を売却しようとしても、誰も購入しようとはしないはずです。これがまかり通ってしまえば、所有権の無い他人の土地や建物を、勝手に売却することができてしまいます。
新築一戸建てに関する登記の流れ
新築一戸建てを購入した場合には、建物の表題登記と所有権保存登記と、土地の所有権移転登記が必要になりますが、どのような流れで行われるのでしょうか。主に建売住宅と注文住宅によって流れが変わります。
建売住宅の場合
建売住宅の場合、建築会社が土地を購入した段階で建物の表題登記を終えているので、建物の所有権保存登記と、土地の所有権移転登記が必要となります。
注文住宅の場合
注文住宅の場合、最初に土地を購入しているため、土地の所有権移転登記が先です。続いて、建物については全くの未登記状態になるため、建物の表題登記を行い、続いて建物の所有権保存登記を行うことになります。
登記申請の場所と必要な書類や費用、申請方法
不動産登記の申請については、各都道府県の法務局に対して行い、登記申請に必要な書類については、登記の内容によって変わるため注意が必要です。
また、登記申請の費用については、登録免許税や登記簿謄本代の他に、一般的には司法書士に登記を代行してもらうため、司法書士への報酬が別途必要です。
登記申請に必要な書類について
建物の表題登記に必要な書類については、建築確認申請書、確認済証、工事完了引渡証明書、工事人の資格証明書および印鑑証明書、検査済証、請負契約書(または工事代金領収書)、住民票などが挙げられます。
建物の所有権保存登記に必要な書類については、住民票、住宅用家屋証明書が必要です。住宅用家屋証明書は、建物の表題登記を行った後、建物所在地の市区町村の役所で発行してもらえます。
土地や建物の所有権移転登記に必要な書類は、売主に用意してもらうものとして、登記済権利証(または登記識別情報)、印鑑証明書、固定資産評価証明書、登記原因証明情報など、買主として用意するものとして、住民票、登記原因証明情報などが挙げられます。
不動産登記の申請方法について
不動産登記の申請方法は、書面申請、郵送申請、オンライン申請の3つです。もちろん自分自身で登記を行うことも可能ですが、一般的には専門家である司法書士などに依頼することが多いといえるでしょう。
申請の手順としては、①必要書類の準備、②登記申請書作成、③法務局への書類提出、④法務局による審査、⑤登記識別情報通知書の発行で、登記申請手続きが完了となります。
不動産登記申請時の注意点
不動産登記申請時の注意点としては、書類に不備があった場合には法務局へ出向いて補正をする必要があること、登記識別情報通知書の受け取りは登記完了から3ヶ月以内であることなどが挙げられます。
おわりに:不動産登記は自分の権利を主張する大切な行為
現状、全ての登記が義務とされていないとはいえ、自らの所有物であることを主張するためには登記が必要であることがお分かりいただけたと思います。
もちろん、これらの手続きは不動産仲介業者のサポートの元、専門家である司法書士などに依頼される行為ですが、少なくとも登記によってどのような効果が生じているかについては、把握しておくべきといえるでしょう。
この記事を監修した人

宅地建物取引士小林弘卓
長野県軽井沢生まれ、群馬県高崎市育ち。教員免許を取得したのち、教育関係の仕事に従事も、現場にて母子家庭や貧困家庭を目の当たりにし、何か役に立つことはできないかと決起。ファイナンシャルプランナー2級およびAFP、宅地建物主任者の資格を取得後、家計のやりくりから投資運用などお金のアドバイスだけではなく、様々なお悩み事を第3者の視点でアドバイスすることを目的とした「トータルアドバイズ」代表として活動。九星気学鑑定士としての人生相談も好評を得ている。