マイホーム購入は一生に一度ともいえるほど大きな金額の買い物ですから、基本的には住宅ローン契約をして、毎月返済をしていくことになりますが、もちろん現金での購入も可能です。
そんな現金取得に関するポイントは以下のとおりです。

  • 住宅ローン手続きが無くなり、住宅ローンに関連する諸費用が全て節約できる
  • 売買契約と同時に、即日決済も可能
  • 超低金利時代であること、様々な住宅ローン関連減税措置が行われていることから、無理をして一括払いをする必要はない

この記事では、マイホームの購入における現金取得について、詳しく説明していきます。

不動産の現金取得とは?

「ママ友でね、マイホームを現金一括購入したって人がいたのよ!」
「え?そんなバカな・・・だって何千万もするんだよ?」
「なんかね、遺産相続があったらしくて、遺産で実家を売却して、新しいマンションを一括で買ったらしいわよ?」
「なるほどね。たしかにそういう場合では現金一括購入をすることはあるかもしれないけど、住宅ローンを組まない分、手続きはもっとシンプルなのかな?」

ほとんどの方が住宅ローン契約でマイホームを購入するかと思いますが、もちろん、現金一括で不動産を購入することも可能です。まずは不動産の現金取得と決済の関係について、確認していきましょう。

不動産決済について

マイホームを購入する場合など、不動産の売買契約については、不動産決済によって一連の流れが完了することになりますが、不動産決済の内容は、売主への売買代金全額支払いと、買主への物件の引き渡しによって行われるものです。

買主への物件の引き渡しといっても、不動産の現地で引き渡しが行われるわけではなく、具体的には鍵と権利証の受け渡しになります。鍵は購入した不動産へ入居するため、権利証は所有権移転登記のために利用されるものです。

不動産売買契約と同時並行で行われるのが住宅ローン関連手続きである

一般的に、不動産売買契約においては住宅ローンを組むことになるため、マイホーム購入の手続きと同時並行として住宅ローン関連の手続きを行うことになります。住宅ローン関連の手続きには、事前審査と本審査がありますが、様々な書類を記載し、証明書などを事前に準備するため、買主の負荷が多い作業です。

また、買主、売主、不動産仲介業者の他に、立会人として司法書士、そして金融会社の担当者の5者にて行われることになりますが、住宅ローンが不要となるため、買主、売主、不動産仲介業者と司法書士の4者で済むことになり、銀行窓口での煩雑な手続きは、ネットバンキングでの振り込みで済ませることも可能です。

現金で不動産を購入するときの流れ

続いて、現金取得する場合の不動産購入の流れと、不動産決済の流れを簡単にご説明いたします。

不動産購入の流れ

不動産の購入は、購入の申し込みを売主宛に行うことからスタートしますが、購入の申し込みの際に「現金取得である旨」を伝えることになります。これを見た売主が問題なければ、本来は住宅ローンの本審査へ移行するのですが、現金取得であるため、申し込み後の1週間程度で売買契約に移行できます。この期間は、主に不動産仲介業者が契約書などを作成する期間です。

続いて、不動産仲介業者から重要事項説明を受け、不動産売買契約の締結、手付金支払いを行い、概ね1週間後の不動産決済へと移ります。この期間は主に、売主の抵当権抹消のために司法書士が金融機関との手続きを行う期間です。

不動産決済の流れ

不動産決済は先述したとおり、売主への売買代金全額支払いと、買主への物件の引き渡しにて完了します。売主が売買代金の着金を確認したら、買主へ鍵と権利証の引き渡しを行い、取引は全て完了となります。その後、司法書士は買主から権利証を預かり、所有権移転登記などの登記手続きを行うことになります。

即日決済も可能ではある

即日決済とは、売買契約の締結と同時に、決済手続きを行うことです。もちろん、買主の準備だけではなく、売主や不動産仲介業者の準備も必要である上、登記関係の手続きについては早めることができません。あらかじめ即日決済をする場合には、各者の合意と事前準備が必要であることをご認識ください。

現金で不動産を購入するメリットとデメリット、注意点

  • 現金取得のメリットは、住宅ローン金利や諸費用の大幅な節約や、マイホーム引き渡しまでの早さ
  • 現金取得のデメリットは、減税措置が非対象となることや、急な出費へ対応できなくなること
  • 頭金を多く入れて、あえて住宅ローンを組む手段も有効である

続いて、現金で不動産を購入するメリットとデメリットを詳しく確認していきましょう。

現金で不動産を購入するメリット

現金で不動産を購入する場合の大きなメリットは、もちろん住宅ローン関連の費用が不要となることです。特に住宅ローンの利息については、超低金利政策が続いている現代であっても、大きな負担となるものです。

たとえば、3,000万円の住宅ローンをフラット35(35年間返済、元利均等返済、2021年4月時点の最頻金利1.370%)で組むと、総返済額は3,778万円になります。つまり、778万円が金利に該当するということです。この金利が節約できる上、住宅ローンに関する事務手数料や融資手数料、保険料も無料となるため、大幅な節約になることは明白です。

さらに、住宅ローンに関する手続きが不要となるため、簡易迅速に手続きが行われることも大きなメリットでしょう。住宅ローンの本審査が通るかわからないまま、不動産売買契約を進めることもありませんので、先に売主への申し込みをして、物件を抑える必要も無いのです。

現金で不動産を購入するデメリット

現金で不動産を購入する場合のデメリットとしては、消費税増税の対策として始められた住宅ローン控除の恩恵を受けることができなくなることです。そして、すまい給付金に関しても受けることができません。もちろん、節約できる利息と比べれば金額は低いものとなりますが、あえて特例措置を受けられる程度に頭金を入れて、住宅ローンを組むことも考えられます。

節税対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

あえて住宅ローンを組む理由としては、金利が優遇される点と、手元に現金を残しておいたほうがいい場合があるからです。

金利に関しては、頭金をいれた金額によって金利が下がる住宅ローン商品を提供している金融機関が多く存在します。たとえば、大手住宅ローン専門金融機関であるARUHIのスーパーフラット35については、頭金が5割であれば、通常のフラット35(フルローン)が1.5%であるところ、金利が1.16%にまで下がります。

また、マイホームを購入しても、手持ち資産に余裕があれば問題ありませんが、利息がもったいないからといって手持ちの現金のほとんどをつぎ込んでしまうと、いざという時の出費の際に高利な借金をすることになります。現在の長期ローンは約0.5%~1.5%程度の超低金利です。万が一キャッシングやローンを利用することになれば、10~20%程度の利息負担をする羽目になるのです。

住宅ローンを組むなら今がおすすめな理由はこちらの記事で詳しく解説しています。

おわりに:現金取得は無理をして行う必要はない

現在は超低金利政策が続いていることや、消費税対策だけではなくコロナ禍による対策として、様々な節税措置が講じられています。手持ちに現金があったとしても無理をして一括決済をするのではなく、頭金を多く入れて金利を優遇させるなど、様々なシミュレーションをしてから決めるべきといえるでしょう。

この記事を監修した人

宅地建物取引士小林弘卓

長野県軽井沢生まれ、群馬県高崎市育ち。教員免許を取得したのち、教育関係の仕事に従事も、現場にて母子家庭や貧困家庭を目の当たりにし、何か役に立つことはできないかと決起。ファイナンシャルプランナー2級およびAFP、宅地建物主任者の資格を取得後、家計のやりくりから投資運用などお金のアドバイスだけではなく、様々なお悩み事を第3者の視点でアドバイスすることを目的とした「トータルアドバイズ」代表として活動。九星気学鑑定士としての人生相談も好評を得ている。

個人ブログ:https://ameblo.jp/total-advise-company/

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