事故物件の売却方法や価格の相場は?仲介手数料無料で売却できる?

居住者がお亡くなりになったいわゆる「事故物件」は、心理的に嫌悪を感じる方が多く売れにくいです。とは言え、事故物件だから市場価格より3~5割程度値下げしないと絶対に売れないというわけではありません。
そもそも亡くなった理由が自然死であれば、事故物件扱いする必要もなく、一般的な不動産と同じように売却できます。
本稿では、事故物件の売却方法や売却価格の相場をご紹介します。「できればあまり値引きをせずに事故物件を売却したい」とお考えの方は、最後までご覧ください。
目次
事故物件の売却はできる?
居住者がお亡くなりになった物件であっても、買い手がいたら問題なく売買できます。ただし、死亡理由によっては、通常の物件より売却額が下がるケースが多いでしょう。
事故物件は、売却しづらいことも予想されます。事故物件を買いたいと思う人が少なく、以下の理由で不動産仲介会社の意欲も減退しやすいからです。
- 通常物件に比べて売却額が下がり、仲介手数料も下がる
- 実務が煩雑になるうえ、法令順守を怠ればペナルティを受ける
不動産会社が事故物件の売買を仲介する際は、売主に状況を聴取しなければなりません。さらに、聴取した内容は買主に告知する必要があります。
聴取や告知を怠れば、宅地建物取引業法違反で懲役や罰金に問われる可能性(※)があります。このような面倒ごとがあるにも関わらず仲介手数料が下がるとなれば、不動産会社が弱腰になるのも無理はありません。
とは言え、事故物件の定義はやや曖昧ですし、事故物件に該当しなければ普通の価格で売れます。あなたが売却したい物件が事故物件に当てはまるのかどうか、まずは確認が必要です。
(※)参考:第七十九条の二
宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索
事故物件を売却する方法
売却したい物件が「事故物件」に該当する場合でも、通常の不動産と売り方は変わりません。事故物件の売却方法を2つご紹介しましょう。
通常どおりの方法で売る
事故物件も、市場にて一般的な方法で売却できます。ただし、すんなり売れない可能性が高く、相場より大幅に低い価格でも買い手が見つからなかったり、不動産会社に仲介を断られたりするケースもあります。
そのような場合の対策としては「更地にして売る」か「数年間経ってから売却する」方法が考えられます。どちらも買い手の心理的負担が軽くなりますので、買主が見つかりやすくなるでしょう。
不動産会社に買い取ってもらう
事故物件は、上述の「通常どおりの方法」以外に「買取」という方法でも売却できます。つまり、一般の方に売るのではなく、不動産会社に買い取ってもらうのです。
買取なら売却活動を他人に知られずに済むうえ、通常の売却手順より早く処分できます。一般的に契約不適合責任も免責されますので、雨漏りやシロアリの食害等を理由に、あとから賠償請求される心配がありません。
ただし、買取の場合は事故物件の市場売却相場よりさらに安くなります。弱みにつけ込んで大幅に安く買い叩く不動産会社もいないとは言えませんので、ご注意ください。
事故物件だと売却価格が下がる?
先述のとおり、事故物件は通常の物件より売却額が下がる傾向があります。では、どの程度下がるのでしょうか。相場をご紹介しましょう。
売却価格の相場
ほとんどの事故物件は、相場どおりの価格で売れません。減価割合は事故物件となった状況や背景、経過年数、現在の状況により10~50%程度の幅があります。
自殺の場合は20~30%程度、殺人の場合は30~50%程度減額されると言われますが、ケースバイケースと考えてください。自然死であっても発見が遅れ腐乱が進んだ場合は、10~20%程度値下がりするケースもあります。
なお、判例(東京地判H19.8.10)では「心理的瑕疵は時間の経過とともに希釈され、やがて消滅する(※)」と考えられています。お亡くなりになった日から時が経つにつれて、減額割合が下がっていきます。
(※)参考:
国土交通省(パブリックコメントにて寄せられた意見概要と回答(案)より)
一般財団法人 不動産適正取引推進機構(賃貸住宅における自殺に係る賠償責任に関する一考察より)
事故物件を仲介手数料無料で売却するには?
事故物件を売却する際、売却額の値下げが避けられないとしても、仲介手数料を安く抑えることで結果的に手元に残る所得を増やせます。では、仲介手数料を抑えるには、どうすればいいのでしょうか。
仲介手数料を抑える主な方法を、2つご紹介しましょう。
- 不動産会社に買い取ってもらう
- 売主の仲介手数料を無料にしている不動産仲介会社を探す
じつは、買取には仲介手数料がかかりません。売却額の低減するデメリットと仲介手数料が無料になるメリットを、相殺してご検討いただくとよいでしょう。
不動産会社の中には、条件が整えば、売主の仲介手数料を無料にしているところもあります。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
豆知識:事故物件の定義
ここからは、事故物件の概要をご紹介します。居住者がお亡くなりになった物件であっても、事故物件に該当しないケースもあります。その定義や取り扱いについて、しっかり把握しておきましょう。
事故物件とは?
広義の「事故物件」は、居住者が死亡した経歴のある物件のことを指します。しかし、法令等で判断基準が定まっているわけではなく、死亡原因によっては事故物件と見なさないケースもあります。
不動産取引においては、国土交通省によってガイドラインが策定されています。判例や取引実務を参考に「一般的に妥当」と考えられる指標がまとめられていますので、これがひとつの判断基準になります。
参考:報道発表資料:「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました - 国土交通省
上述のガイドラインによると、買主に対して告げなくてもよい事案として以下があがっています。
- 自然死
- 老衰、持病による病死
- 日常生活の中での不慮の死
「日常生活の中での不慮の死」については、具体例として以下があがっています。いわゆる「事件性のない事故」ですね。
- 自宅の階段からの転落
- 入浴中の溺死
- 転倒事故
- 食事中の誤嚥(ごえん)
上述の事案以外は「告知すべき事案」とされています。「孤独死等で長期間にわたって人知れず放置され、特殊清掃やリフォームがおこなわれた場合」も、告知すべき事案となっています。
告知すべき項目と期間
告知すべき項目については「事案の発生時期 (特殊清掃等がおこなわれた場合には発覚時期)、場所、死因 (不明である場合にはその旨)、特殊清掃等がおこなわれた場合にはその旨」があげられています。
なお、賃貸の場合は「発覚してから概ね3年間を経過した後は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい」とありますが、売買では期間のガイドラインがありません。
これは「マイホーム」を重く見ているからです。売買では事件性や社会に与えた影響、地域での風化度等を考慮しながら、原則的に告知すると考えていただいたほうがよいでしょう。
事故物件であることを隠すと、どうなるのか
価格や契約そのものに重要な影響を及ぼす可能性がある瑕疵(かし)は、必ず買主に告知しなければなりません。瑕疵の告知を怠ると、売主は契約不適合責任を問われる可能性があります。
言い換えると「買主が『知っていたら、買わなかった』と思うような事実を隠してはいけない。故意に隠せば損害賠償や減額請求、契約解除もあり得る」ということです。
ちなみに「瑕疵」は法律用語で、通常あるべき品質を欠いている状態を指します。不動産取引では「物理的瑕疵・法律的瑕疵・心理的瑕疵」の3種類について、売主は告知の義務を負います。
- 物理的瑕疵:雨漏り、シロアリの食害、土壌汚染など
- 法律的瑕疵:法規違反建築物、再建築ができない土地など
- 心理的瑕疵:事故物件、近隣に嫌悪施設がある物件など
売主から瑕疵を告知されたにも関わらず、不動産会社が買主に伝えなかった場合は、不動産会社が宅地建物取引業法違反に問われます (第47条、第79条の2(※))。
(※)宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索
事故物件を売却するメリット・デメリット
所有している不動産が事故物件に該当する場合は、早く売ってしまったほうがいいのでしょうか。それとも、保有し続けるほうがいいのでしょうか。
昨今、事故物件を検索できるWebサイトがあり、ご遺族が野次馬や好奇の眼差しにさらされるトラブルが絶えないそうです。他人が訪ねてきたりSNSで騒がれたりして、ご遺族が穏やかに暮らせないケースも出てきています。
思い切って物件を売ってしまえば、そのような事態から逃れられます。ご家族を失った心痛がぶり返し、いら立ちを覚えるようなことも減るのではないでしょうか。
一方、売却すれば、想い出が詰まった家から去らなくてはなりません。お亡くなりになった背景や、亡くなった方とご遺族の関係性によっては、大きな喪失感を感じるでしょう。売却価額が低くなる点も、デメリットと言えます。
おわりに:事故物件の売却方法や価格の相場は?
事故物件は、通常の不動産と同じ方法で売却できます。ただし、居住者の死亡原因によっては買主に告知する義務があり、通常の不動産より大幅に値下がりするのが一般的です。
減価割合は「10~50%程度」と幅があり、事故物件となった状況や背景、経過年数、現在の状況により変わります。目安としては「自殺の場合は20~30%程度、殺人の場合は30~50%程度」ですがケースバイケースとお考えください。
不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。ただし、買取額は相場よりさらに減額されます。足もとを見て大幅に安く買い叩く不動産会社もいないとは言えませんので、ご注意ください。
この記事を書いた人

ホリカワダット
インテリアコーディネーターと1級カラーコディネーター資格保有。主に住宅分野を専門とするライター・ブロガー。工務店営業支援もおこなう複業フリーランス。高気密高断熱の注文住宅を得意とする建築会社で約8年間、営業職を経験。年間200組のお客様をサポートした経験と、自宅の分譲マンションをスケルトンからリノベーションした経験をもとに、家探しや家づくりの資金計画などをわかりやすく解説します。