家やマンションを買うために物件探しを始めると、不動産ポータルサイト等で、同じ物件を違う不動産会社が広告掲載しているのを見かけることがあります。複数の不動産会社から、同じ物件を紹介されるケースもあるでしょう。

このような場合、どの不動産会社に案内を申し込んでも問題ありません。しかし、どの不動産会社でも手数料やサービスが同じとは限りませんので、仲介の依頼先はしっかりと厳選する必要があります。

本稿では、なぜ複数の不動産会社が同一の物件を紹介しているのか、不動産流通の仕組の観点から解説します。マイホームの購入をご検討中の方や、このような状況での不動産会社の選び方を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

Youtubeでは弊社代表の沢辺が「不動産会社選び」についてまとめた動画も配信しております。

同じ物件が複数の不動産会社に掲載されているのはなぜ?

不動産ポータルサイト(SUUMOやHOME'Sなど)で物件を探すと、複数の不動産会社が同じ物件を掲載しているケースがよくあります。さて、これは一体どういうことなのでしょうか。

不動産流通の仕組や不動産売買に欠かせないレインズの解説を交えて、ご説明していきましょう。

不動産流通の仕組とレインズ

同じ物件を複数の不動産会社が宣伝できる理由は、ずばり「不動産会社各社が同じ情報源をもとに物件を紹介しているから」です。その情報源は「レインズ」と呼ばれ、国土交通大臣から指定を受けた「不動産流通機構」が運営しています。

レインズは「Real Estate Information Network System」の略で、日本語では「不動産流通標準情報システム」と呼ばれます。平たく言えば、不動産会社間の情報共有ネットワークですね。

(※)宅地建物取引業法 第二節 指定流通機構 第50条の2の5(指定等):宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索

この「レインズ」は、不動産売買をする方にとって重要なキーワードですので、もう少し詳しく解説しておきます。

不動産の売却を希望する売主と不動産会社が「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」を締結した際、不動産会社は定められた期間内に物件をレインズに登録する義務があります(※)。

レインズに物件が登録されると、加盟する不動産会社すべてに情報が共有され、加盟店全体が連携して買主を探す流れになります。もう少し具体的に、例をあげてご説明しましょう。

  1. Uさんが「自宅を売却したい」と不動産会社Aに相談
  2. Uさんと不動産会社Aが媒介契約(仲介を依頼する契約)を結ぶ
  3. 不動産会社Aがレインズに物件情報を登録
  4. 他の加盟店にもUさんの物件情報が共有される
  5. 複数の加盟業者が、買主を探すためインターネットに情報を掲載

このような流れで、複数の不動産会社が同一物件を宣伝する状況ができあがります。

仮に、中古マンションを買いたいKさんが不動産会社BとCとDに相談に行くと、どうなるでしょうか。各社ともレインズで物件を検索しますが、希望条件が同じなら、どこの不動産会社でもおおむね同じ物件を紹介されてしまいます。

裏を返せば、E社がネットに掲載している物件を、サービスがいいF社を通して内覧することもできるということです。

(※)宅地建物取引業法 第34条の2 第5項:宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索

同じ物件なのに、値段が違うのはなぜ?

複数の不動産会社が同じ物件を扱える仕組を解説しました。まれに、同一物件であるにも関わらず、掲載している不動産会社によって物件代金の金額が異なるケースを見かけます。これは、一体どうなっているのでしょうか?

各不動産会社は、主にレインズを通して情報を共有しています。ですから、物件の売却条件に変更があった場合も、レインズ等を通して変更情報を共有します。この変更情報の確認タイミングのズレが原因で、不動産会社ごとに掲載価格が異なる場合があります。

しかし、物件が同じなら、原則的にどの不動産会社の仲介で購入しても売主が出す条件は同じです。違うのは、不動産会社の仲介手数料やサービス内容、購入にかかる諸費用等の付帯費用です。

同じ物件を複数の不動産会社を通して内覧をしてもOK?

購入を希望する物件の内覧をおこなった際、立ち会った不動産会社に不信感を持ち「他の不動産会社に変えたい」と感じることもあるでしょう。そんなとき、他の不動産会社の立ち会いで再び内覧できるのでしょうか。

結論を言うと、同じ物件の内覧を別の不動産会社に依頼して実施すること自体は問題ありません。ただし、先に内覧を実施した不動産会社が売買契約に向けた作業を開始していた場合は、トラブルに発展する可能性があります。

とくに、媒介契約(不動産会社に仲介を依頼する契約)を締結したあとの不動産会社の変更はご注意ください。媒介契約の解除を申し出ると、状況次第では以下を請求されることがあります。

  • 違約金請求
  • 業務に費やした費用の償還請求

一般的な実務上、物件の内覧程度で不動産会社と買主が媒介契約を結ぶケースはあまりないでしょう。媒介契約を結ぶ頃には、ある程度契約に向けた作業が進んでいると思われます。

たとえば、以下の業務に従事させたにも関わらず、何らかの理由で不動産会社を変更して売買契約を締結した場合は、違約と取られトラブルになり得ます。

  • 住宅ローン申し込みのサポート
  • 売主に購入申込書(買付証明書)を渡す
  • 売主と価格や条件の交渉
  • 重要事項説明書の開示
  • 売買契約書作成

さらに、不動産会社を変えて何度も内覧する買主は、売主側からすると心証がよくありません。売主側の不動産会社に「厄介な人?売主に迷惑がかかるかも」と思われると、商談を見送るよう売主にアドバイスされる可能性もあります。

ですから、何度も内覧したり不動産会社を変えたりするのであれば、その合理的な理由が必要とお考えください。先に案内してもらった不動産会社とトラブルにならないように、かつ売主に事情を説明できるように配慮が必要です。

どの不動産会社を選ぶべきなのか?

先述のとおり、物件探しの途中で不動産会社を変えると、問題が発生することもあります。タイミング次第では不動産会社から違約金の請求を受けたり、買主側に用心され購入できなかったりするかもしれません。

できるだけ早く不動産会社の良し悪しを見極めて、ここなら安心と言えるところに仲介を依頼することが望ましいでしょう。では、気になる物件を複数の不動産会社が取り扱っていた場合は、何を基準に選べばいいのでしょうか。

まずは、以下を参考にできるだけ不動産会社の質を推測してみましょう。候補の不動産会社から不安やよくない違和感を覚えるようなら、避けたほうが無難です。

  • 法令順守の意識は高そうか
  • たびたび行政指導を受けていないか
  • おかしな求人情報を出していないか

不動産会社の良し悪しに関しては、近隣を歩いてみたりインターネットで調べてみたりするだけで、拾えるヒントがあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。

ある程度不動産会社を絞り込んだら、実際に相談を持ちかけてみましょう。その際、以下の項目についてしっかり確認していただくとよいでしょう。

  • 仲介手数料
  • サービス内容
  • 諸費用

仲介手数料は相場が「物件代金の額×3%+6万円+消費税」と高額なので、少しでも安くしたいところです。これが無料や半額になるケースもありますので、不動産会社選びの際にご確認ください。

仲介手数料や物件の購入にかかる諸費用(登記費用や住宅ローン費用等)は、可能な限り各不動産会社に見積もりを作ってもらいましょう。不動産会社を選ぶ際の判断材料になります。

複数の不動産会社に物件探しを依頼してもいいの?

買主は、複数の不動産会社に物件探しを依頼してもかまいません。とは言え、不動産会社が同じ情報源(レインズ)を使って物件の紹介をしているのなら、果たして複数社に相談する意味はあるのでしょうか?

結論から言うと「複数社に相談する意味」はあります。複数社に相談することで各不動産会社の対応力や力量を比較検討できますので、より間違いの少ない不動産会社選びができるでしょう。

さらに、わずかながらレインズに登録されていない物件もあり、複数の不動産会社に物件探しを依頼することで、そのような物件に巡り会えるチャンスが増えます。レインズに登録されていない物件の例をあげてみましょう。

  • 売主が業者の物件
  • 一般媒介契約の物件
  • レインズ掲載の期日前の物件

売主が業者の物件や売主と一般媒介契約を締結した物件は、売主側の不動産会社にレインズの登録義務がありません。よって、不動産会社の中にはレインズに登録せず、優先的に自社の顧客に紹介するところもあります。

不動産会社が売主と専任媒介の契約をした場合は、定められた期間内にレインズに物件の登録をしなくてはなりません (※)。こちらも、期間内は登録せず、優先的に自社の顧客に紹介する不動産会社があります。

ただし、たびたびお伝えしているとおり、物件選びが進むほど不動産会社の変更はリスクをともないます。できるだけ早い段階で不動産会社の良し悪しを見極め、仲介の依頼先を決めていただくことをおすすめします。

(※)宅地建物取引業法施行規則 第15条の10:宅地建物取引業法施行規則 | e-Gov法令検索

おわりに:同じ物件を違う不動産会社が紹介しているのは、なぜ?

同一の物件を複数の不動産会社が宣伝できる理由は、不動産会社各社がレインズをもとに物件を紹介しているからです。これは不動産売買の円滑化を図るためにそうなっているのですが、買主としてはどの不動産会社に相談すればいいのか迷うところでしょう。

不動産会社選びで失敗しないためには、複数社の仲介手数料や法令順守意識等を比較して、できるだけ早く信用できる業者を見つけなければなりません。物件選びが進むほど、不動産会社の変更はリスクをともないます。

イエフリ」でも、仲介手数料を無料(無料が難しい場合は半額)にできるようサポートしております。お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

ホリカワダット

インテリアコーディネーターと1級カラーコディネーター資格保有。主に住宅分野を専門とするライター・ブロガー。工務店営業支援もおこなう複業フリーランス。高気密高断熱の注文住宅を得意とする建築会社で約8年間、営業職を経験。年間200組のお客様をサポートした経験と、自宅の分譲マンションをスケルトンからリノベーションした経験をもとに、家探しや家づくりの資金計画などをわかりやすく解説します。

この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)

千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。

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