横行する不動産会社の違法行為!「おとり広告」ってどんな広告のこと?見分け方や注意点を徹底解説!

不動産広告の中には、売る意思がない物件や売ることができない物件、存在しない好条件な物件などが載せられている場合がありますが、これらの広告は「おとり広告」と呼ばれています。

これらの広告を見て問い合わせてきた顧客を言葉巧みに来店させることで、不動産会社によって都合のよい別の物件を紹介するという悪質な営業手法ですが、不動産業界では今もなお、常套手段として存在しています。
これら「おとり広告」のポイントは以下の通りです。

  • 「おとり広告」は、取引不可や存在しない不動産が掲載された広告である
  • 「おとり広告」そのものが違法行為であり、厳しく処罰される
  • 「おとり広告」は、来店前の事前調査で、ある程度は判別が可能
  • 万が一「おとり広告」に騙されて来店してしまっても、条件に妥協しなければ問題ない

この記事では、不動産業界で今もなお存在する「おとり広告」について、ご説明していきます。

また、不動産業界で横行している「囲い込み」についても、弊社代表の沢辺がYoutubeで解説しておりますので、あわせてご覧ください。

「おとり広告」とは?

「問い合わせた物件なんですが、さっそく内覧できますか?」
「あーすいません。先ほどいらっしゃったお客様の申し込みが決まってしまいまして…。」
「そうなんですか…。じゃあ、また出直しますね!」
「いや、お客様、お待ちください!ご希望されていた物件と同じ条件の物件をお探ししておきましたので!」

このように、「おとり広告」として掲載される物件は、顧客を来店させるためだけに存在していますが、まずは「おとり広告」に騙されないよう、その定義から理解していきましょう。

「おとり広告」の定義

不動産のおとり広告については、景品表示法第5条第3号の規定に基づく告示に、「自己の供給する不動産の取引に顧客を誘引する手段として行う表示(不当表示)」として規定されており、以下の3つの表示が挙げられています。

(1)取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示(例…実在しない住所・地番を掲載した物件)

(2)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示(例…売約済みの物件)

(3)取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示(例…希望者に他の物件を勧めるなど当該物件の取引に応じない場合)

「不動産のおとり広告に関する表示(昭和55年公正取引委員会告示第14号)」
引用元: 不動産のおとり広告に関する表示 | 消費者庁

「おとり広告」に対する厳しい罰則

「おとり広告」は違法行為ですから、厳しい厳罰を受けることになります。

まずは、宅地建物取引業法の「誇大広告の禁止」に抵触することで、指示処分や業務停止、免許取り消しの処分が科され、場合によっては6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

また、先に述べた景品表示法に違反することで、消費者庁から措置命令(その行為の撤回、再発の防止を命じる行政処分)が出された上、命令に従わなければ2年以下の懲役、または300万円以下の罰金などが科されます。

さらに、首都圏不動産公正取引協議会では、2017年1月度から、これらの罰則を受けた不動産業者に対して、大手ポータルサイト(at home、SUUMO、ヤフー不動産、いい部屋ネットなど)への1ヶ月以上の広告掲載停止を実施しています。これは、インターネット広告が主流となりつつある不動産業者にとっては一番効果的な罰則であり、「おとり広告」防止への効果が期待されています。

「おとり広告」の見分け方5選

「おとり広告」に騙されないようにするために、「おとり広告」の見分け方をあらかじめ理解しておきましょう。来店前の入念な下調べが特に重要です。

物件の条件が良すぎる

掲載されている物件の条件が、周辺の物件と比べて明らかに好条件である場合、「おとり広告」である可能性が高いといえるでしょう。

例えば中古物件の場合、物件の売主は少しでも高く売りたいと思うはずです。そのため、広告掲載時には、立地や間取り、築年数など総合的な条件を考慮した上で、後ほどの値下げ交渉の余地を持たせながらも、まずはその物件に見合った相場の価格を掲載することがほとんどです。

仮に、住宅ローンの返済に滞っていたり、新居の購入が決まっていて住宅ローンの支払いが二重になってしまっているなど、売主に差し迫った特別な事情が無い限り、相場をはるかに下回る価格で広告を掲載する必要はないのです。

物件を扱っている企業が1社しか見当たらない

そもそも存在しない物件であれば、他の業者が広告を載せることができませんから、必然的に物件を扱っている企業は1社のみとなります。ただし、売主と不動産会社の契約(媒介契約)によっては、1社しか取り扱うことができないという制限が設けられた契約もあるため、「おとり広告」と決めつけるのは危険です。

物件を扱っている企業が1社しか見当たらない場合には、物件を掲載している不動産会社以外の不動産会社に、物件を紹介できるか確認してみると良いでしょう。1社しか取り扱うことができないという制限が設けられた契約の場合には、不動産業者が利用する物件データベースに掲載する義務があるためです。1社しか取り扱っておらず、物件データベースにも記載が無ければ、その物件は「おとり広告」である可能性が高くなります。

長期間掲載されたままになっている

大手ポータルサイトへの物件掲載については、不動産会社側が掲載を取り下げなければ半自動的に行われます。そのため、条件の良い物件を「おとり広告」として使う場合、その広告がいつまでたっても掲載され続けている可能性が高いといえるでしょう。

また、物件を問い合わせた際に「すでに買主が決まってしまった」と断られたのにも関わらず、その後も問い合わせた物件が掲載され続けているような場合も、「おとり広告」であると判断できるでしょう。

物件の詳細情報が掲載されていない

物件がどこにあるか全く分からないなど、詳細情報が掲載されていない場合、「おとり広告」である可能性が高いといえます。昨今ではgoogleマップなどのインターネット地図が進化したため、物件の住所などから、概ねの物件所在地を調べられるようになっており、ストリートビューなどで周辺を確認することも可能です。

インターネットで検索をしても所在地が一向に特定できないなど、物件の詳細情報が出てこない場合についても、「おとり広告」である可能性が高いといえるでしょう。

現地で待ち合わせをした上での内覧が断られる

「来店しないと物件の詳細は伝えることができない」、「来店して会員登録をしなければ物件紹介はできない」など、内覧に条件を設けている不動産会社は多いですが、現地で待ち合わせをした上での内覧が頑なに断られるような物件については、「おとり広告」である可能性が高いといえるでしょう。

賃貸中の物件であれば、所有者が居住していないために内覧は難しいかもしれませんが、所有者が居住中の物件であれば、購入希望者の内覧に協力してくれる可能性が高いといえます。さらに、現況が「空き部屋」や「内覧可」となっていれば、物件の現地や周辺の駅近くで待ち合わせをしても何ら問題ないのです。この場合、「来店してから現地に送迎します」として、来店を促す可能性もありますので注意しましょう。

「おとり広告」にひっかかった!どう対処すべき?

「おとり広告」である物件に問い合わせをしてしまい、来店予約をしてしまった場合にはどうしたら良いでしょうか。もちろん、来店前に気付いたのであればきっぱりと断るべきですが、言葉巧みに来店を誘導された結果、来店後に「おとり広告」であったことに気付くこともあるかもしれません。

もし、来店時に「紹介できなくなった」と切り出された場合、間違いなく他の物件を紹介してくると思われますが、紹介された物件に対してその内容を確認し、希望条件に妥協しないことが重要です。広告に掲載されていた物件は紹介されなかったとしても、思わぬ希望物件に巡り合う可能性もありますが、「おとり広告」を使うような不動産会社であることは認識しておくべきといえるでしょう。

中古マンション購入時の注意点についてもあわせて読んでみてください。

おわりに:事前調査で「おとり広告」は回避可能!

「おとり広告」に対しては、不動産業界全体の問題として取り締まりが進んでいるものの、未だに横行している違法行為です。しかし、事前調査をしっかりと行うことで、「おとり広告」の被害を避けることも十分に可能です。

万が一、「おとり広告」に騙されて来店してしまった場合は、紹介される物件に妥協せず、自分が希望する条件に合った物件以外は、はっきりと断るようにしましょう。

この記事を監修した人

宅地建物取引士小林弘卓

長野県軽井沢生まれ、群馬県高崎市育ち。教員免許を取得したのち、教育関係の仕事に従事も、現場にて母子家庭や貧困家庭を目の当たりにし、何か役に立つことはできないかと決起。ファイナンシャルプランナー2級およびAFP、宅地建物主任者の資格を取得後、家計のやりくりから投資運用などお金のアドバイスだけではなく、様々なお悩み事を第3者の視点でアドバイスすることを目的とした「トータルアドバイズ」代表として活動。九星気学鑑定士としての人生相談も好評を得ている。

個人ブログ:https://ameblo.jp/total-advise-company/

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