2030年に不動産価格は暴落する?東京の中古マンションの価格変動について解説

「2030年までに不動産価格が下がるって本当?今が売り時なの?」
「駅から10分の物件と15分の物件、将来の資産価値に大きな差が出るの?」
「今の価格で購入しても、数年後に売却する時に損をしてしまうのでは?」
2030年に向けて不動産市場は大きく変化すると言われています。しかし、この変化は必ずしもすべての物件の価値下落を意味するわけではありません。
実は、立地や建物の特徴によって、資産価値が上がり続ける物件と下がり続ける物件の「二極化」が既に始まっているのです。
この記事を読むと分かること
- 2030年に向けた不動産市場の実態(空き家予測と相続増加の具体的データ)
- 資産価値が下がりにくい物件の具体的な特徴と見分け方
- 売却事例から見る価格変動の実態(8000万円台から7000万円台への下落事例)
YouTubeで宅地建物取引士である代表の沢辺が解説しております。実際にあった事例を用いて説明していますので、こちらもご視聴ください。
目次
空き家問題の深刻化
出典:国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」より
空き家問題の深刻さを示す政府のデータがあります。2003年時点で212万戸だった空き家数は、このまま対策を講じなければ2030年には470万戸まで増加すると予測されています。およそ20年余りで2倍以上に増加するという衝撃的な予測です。
政府はこの問題に対して具体的な対策を打ち出しています。様々な施策を実施することで、2030年の空き家数を470万戸ではなく、400万戸程度に抑える目標を掲げているのです。
具体的な対策として、活用可能な空き家約50万戸については古民家活用(古民家を宿泊施設やカフェに改装し、観光資源として活用)などの方法で有効利用を促進し、使用が難しい物件については取り壊して新たな開発用地とすることで、約70万戸分の削減を目指しています。
しかし、たとえ目標通りに対策が進んだとしても、2003年時点の212万戸から2030年には400万戸へと、空き家数は大幅に増加する見込みです。この急激な増加が、不動産価格の下落を招くのではないかという懸念が広がっているのです。
ただし、重要なのは「すべての物件が一律に価値を下げるわけではない」という点です。むしろ、この変化は物件による「二極化」をさらに加速させる可能性が高いと考えられています。
相続増加による市場変化
空き家問題と並んで不動産市場に大きな影響を与えるのが、相続の増加です。具体的な数字で見ると、2024年から2030年にかけて相続額が2.8兆円増加すると予測されています。
この急激な相続の増加には、人口構造の変化が大きく関係しています。2025年には「2025年問題」と呼ばれる大きな転換点を迎えます。1947年から1949年生まれの団塊の世代が75歳以上となり、後期高齢者人口が2200万人に達するのです。これは日本の総人口の約5分の1を占める規模です。
こうした状況は、不動産市場にどのような影響を与えるのでしょうか。
実務の現場では、相続物件の売却には特徴的な傾向が見られます。相続した不動産を売却する場合、自分が住んでいた家を売る場合と比べて、売却への意欲や価格設定に大きな違いが生まれるのです。
多くの場合、相続人は「とりあえず現金化したい」という意向が強く、物件の価値を最大限に引き出すための時間をかけた売却よりも、早期の現金化を優先する傾向があります。そのため、不動産会社による買取を選択するケースも少なくありません。
不動産会社の買取は、個人への仲介販売と比べて、早期の売却が可能という大きなメリットがあります。しかし、その分、売却価格は市場価格より1割から3割程度低くなることが一般的です。
不動産価格の二極化の実態
価格変動の具体例
不動産価格の二極化は、予想以上のスピードで進んでいます。
弊社で2024年に取引した売却事例では、1~2年前なら8000万円台後半で売却できてもおかしくなかったであろう物件が
実際には価格を下げて7000万円台後半の価格での成約となりました。
この物件は新築時からみると1300万円のプラスにはなっていますが、わずか1~2年前と比較すると1000万円近い価格下落が起きていたのです。
二極化の具体的な現れ
出典:(公財)東日本不動産流通機構(東日本レインズ) 月例速報 2024年3月度
統計データからも、不動産価格の二極化が見えてきています。
東京の中古マンション市場では、実際に売れている物件の成約価格は上昇しているのに対し、売り出し中の在庫物件や新規に登録される物件の価格は下落傾向にあります。
さらに注目すべきは、同じエリアの物件でも、わずかな違いで価格に大きな差が生まれ始めているという点です。
1~2年前まで、「このエリアならこれくらいの価格で売れる」という相場観が通用していました。しかし今では、○丁目の違いや1階という条件など、以前なら大きな影響を与えなかった要素が、売却価格を大きく左右するようになっています。
例えば、先ほどの物件のケースでは、近くに大手デベロッパーが手がけたマンションがあり、そちらは早期に高値で成約しました。同じエリアに位置し、間取りや広さにも大きな違いがないにもかかわらず、売却価格には差が生じたのです。この違いの要因として、ブランド力や管理体制、共用施設の充実度など、購入者が重視するポイントの違いが挙げられます。
このように、不動産市場では同じエリア内でも物件ごとに価格差が生まれる時代になっています。そのため、物件選びの際には「どのような条件の物件が資産価値を維持しやすいのか」を理解しておくことが重要です。次の章では、資産価値が下がりにくい物件の具体的な条件について詳しく解説していきます。
資産価値を維持する物件選び
立地評価の基準
資産価値が下がりにくい物件を選ぶ際、最も重要なのは立地です。
東京都心部、特に都心3区や5区のエリアは、価値が下がりにくい傾向にあります。例えば千代田区や港区などでは、物件価格は既に億単位が当たり前となっています。
しかし、都心部での購入が難しい場合は、以下の2点に注目して物件を探すことをお勧めします。
1つ目は駅からの距離です。駅が近い物件は引き続き需要が見込めます。
2つ目は再開発計画の有無です。ショッピング施設の建設や学校の誘致など、エリアの価値向上が期待できる再開発計画が決まっているエリアは、基本的に街の価値向上が見込めます。
建物の質的評価
エリアだけでなく、建物自体の品質も重要な判断基準となります。マンションの場合、管理状態が特に重要です。
マンション管理適正評価制度は、2022年の開始以来、登録件数が2000件から4800件まで増加しています。
この制度はまだマンション価格に直接的な影響を与えていませんが、将来的に価格形成の重要な要素となる可能性が高いと考えられています。
参考:マンション管理適正評価制度~管理組合の取組みが注目される時代に~|一般社団法人 マンション管理業協会
市場性の確認方法
これまで見てきたように、同じエリアでも細かな違いで価格に大きな差が出る時代です。そのため、物件の人気度を客観的に確認することが重要になってきています。
マンションレビューや大手仲介サイトでの検索回数や購入希望者数は、その物件の市場性を判断する上で重要な指標となります。
同じような価格帯の物件であれば、これらの指標を参考に選択することをお勧めします。複数の候補物件を比較検討する際は、これらの数値が物件の人気度を客観的に示すデータとなるでしょう。
参考: マンションの口コミ・相場・資産価値検索サイト【マンションレビュー】
資産価値が上がる物件の見極め方について、下記でも詳しく説明しています。
まとめ
2030年に向けて不動産市場は大きく変化していきます。空き家の増加や相続物件の増加により、不動産価格の二極化は今後さらに進んでいくでしょう。
しかし、この変化は必ずしもマイナスばかりではありません。むしろ、物件選びの基準が明確になってきたと言えます。
2003年時点で212万戸だった空き家は、2030年には400万戸以上に増加する見込みです。また、2024年から2030年にかけて相続額は2.8兆円増加すると予測されています。
このような市場環境の中で、従来の「このエリアならこの価格」という相場観は、もはや通用しなくなってきています。○丁目の違いや、1階という条件など、以前なら大きな影響を与えなかった要素が、売却価格を大きく左右する時代になりつつあります。
そのため、物件選びでは以下の点に特に注意を払う必要があります。
- 立地(都心部、駅からの距離)
- エリアの将来性(再開発計画の有無)
- 物件の人気度(市場での評価)
価格が同程度の物件であっても、これらの要素で大きな差が出る可能性があります。情報を丁寧に収集し、慎重に物件を選ぶことが、これからの不動産購入では一層重要になるでしょう。
不動産の売却・購入をご検討の方は、ぜひ弊社イエフリにご相談ください。経験豊富な宅建士が、お客様の状況に合わせて最適なアドバイスをさせていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。
【保有資格】宅地建物取引士、FP他