新築一戸建て|資産価値が落ちないポイント6選

「一戸建てがほしいけど、将来転勤になったらどうしよう・・・」

「親の介護が必要になった時は、引っ越しもありえるかも・・・」

「省エネ性能にどこまでお金をかけるべき?」

戸建て住宅と言うと、以前は「一生住み続ける家」という考えが一般的でした。

しかし最近は、戸建て住宅の購入に対する考え方が大きく変化してきています。

転勤や子どもの教育環境など、予期せぬ理由で引っ越しを検討しなければならないケースは少なくありません。

そのため、「すぐに貸せるか」「売却時に損が出ないか」といった観点も、購入時の重要な検討項目となってきています。

この記事を読むと以下のことがわかります。

  • 戸建て住宅の会計上の価値と実際の市場価値の違い
  • パワービルダーの特徴と、その物件を賢く選ぶための具体的な方法
  • 資産価値を維持するために、購入時に確認すべき重要なポイント

もちろん、「理想の家に住みたい」「こだわりの家づくりをしたい」という思いは大切です。

しかし、将来の可能性も見据えた選び方をすることで、より安心して新築一戸建てを購入できるはずです。

YouTubeで宅地建物取引士である代表の沢辺が解説しております。具体例を用いてわかりやすく説明していますので、こちらもご視聴ください。

1. 会計上の耐用年数を理解する

木造住宅について、とても重要な数字があります。それは「22年」という会計上の耐用年数です。

この22年という数字は「会計上、ここまでしか持たない」という年数です。言い換えると、この年数を超えると建物の価値が「0円」として計算される基準となります。

しかし、最近は状況が変わってきています。

例えば「カチタス」という会社は、地方の古い住宅を買い取り、リノベーションして再販するビジネスを展開しています。彼らのビジネスモデルは、築年数が経過した住宅にも価値があることを証明しています。

参考:中古住宅買い取りならカチタス

また、阪神・淡路大震災以降に建てられた住宅、特に2000年以降の物件は、耐震基準が厳しくなったことで、中古市場でも高い評価を受けるようになってきました。

とはいえ、会計上は22年で建物の価値が「0円」になるという基準は残っています。例えば築30年の住宅を売却する際、会計上は土地の価値しか残っていないという計算になります。

この「22年」という数字は、あくまで会計上の基準であって、実際の建物の価値や寿命を示すものではありません。しかし、将来の売却や相続を考える際の重要な判断材料の一つとして、知っておく必要があります。

2. パワービルダーの新築戸建てについて

最近の新築一戸建て市場で、重要な存在となっているのが「パワービルダー」です。

パワービルダーとは、あらかじめ建てた家を販売する「建売住宅」を大量に供給している会社のことです。

具体的には、飯田グループホールディングス(一建設株式会社、株式会社飯田産業、株式会社東栄住宅、タクトホーム株式会社、株式会社アーネストワン、アイディホーム株式会社)、OPEN HOUSE、POLUSなどが該当します。

これらのパワービルダーの特徴は、驚くほど安価に新築住宅を提供できることです。

例えば、都内のある駅で比較すると、中古住宅が7,680万円なのに対し、新築住宅は5,198万円で販売されているケースがありました。同じような立地で、むしろ新築の方が2,000万円以上も安いのです。

この価格差は、パワービルダーが建築工程を合理化し、同じような住宅を大量に供給することで実現しています。

ただし、建物の品質面では、有名ハウスメーカーの注文住宅と比べると差がある可能性があります。

そのため、パワービルダーの物件を選ぶ際は、以下の3つの対策がおすすめです。

対策1. 建物が建つ前の購入を検討する

  • 内装の仕様変更が可能なことがある
  • 同じパワービルダーの他現場で完成形をチェックできる

対策2. インスペクション(建物状況調査)を活用する

  • 5万円程度で一級建築士による検査が可能
  • 施工不備がないかチェックしてもらえる

インスペクション(建物状況調査)については、こちらの記事で詳しく解説しています。

対策3. ハウスメーカーの建売物件を探す

  • 通常の注文住宅より安価
  • 品質面での安心感がある

パワービルダーの物件は、新築でありながら価格を抑えられる魅力がありますが、慎重な選び方が重要です。

3. エリア選びのポイント

不動産選びで「エリアが重要」というのは、誰もが知っていることです。駅前や人気エリアの物件は、将来的な価値も期待できます。

しかし、必ずしも有名な駅や中心地でなくても、長期的な視点で見ると価値が維持される、あるいは上がる可能性のあるエリアがあります。

そのポイントの一つが、商業施設の存在です。

例えば、「ららぽーと」や「ららテラス」のような大型商業施設ができると、エリアの利便性は大きく向上します。「イオンモール」なども同様です。

この他にも、「再開発」の情報は重要です。民間と行政が一体となって進める再開発は、エリアの価値向上に大きく影響します。

また、スーパーやコンビニなどの生活する上で必要な施設のチェックも欠かせません。

特に注目してほしいのが「用途地域」です。全部で13種類ある用途地域は、その土地にどんな建物が建てられるかを定めています。


習志野市のホームページより抜粋

例えば、第一種低層住居専用地域は、住環境を守るため建物の高さや用途が厳しく制限されています。工場の建設は認められていません。

また、将来的に賃貸として活用することを考えると、不動産ポータルサイトで似たような物件の家賃相場や、募集から成約までの期間をチェックしておくことをお勧めします。「人気エリア」と言われている場所でも、賃貸の需要が低かったり、募集期間が長引いていたりするケースがあるためです。

4. 土地の形状と道路について

土地を選ぶとき、広さやスペックだけを見て「意外と安い」と感じることがあります。その理由の一つに土地の形状が関係していることがあります。

典型的なのが「旗竿地」と呼ばれる土地です。旗竿のように、細長い通路部分(竿)があり、その奥に主要な敷地(旗)がある形状です。

旗竿地は、通路部分の面積分だけ実際に使える敷地が減ってしまいます。そのため、総面積での価値判断はされにくく、価格が低めに設定されることが多いのです。

また、道路との関係も重要です。建築基準法では、建物を建てられる土地は道路に2m以上接していなければなりません。この2mという幅は、一般的な車の幅(約190cm)とほぼ同じです。つまり、車が通ることのできるギリギリの寸法なのです。

道路の位置によって日当たりも変わってきます。例えば北側に道路がある場合、一般的に玄関や窓は道路側に設けられますが、それは南側の日当たりを損なう可能性があります。

さらに、接している道路が私道か公道かも確認が必要です。私道の場合、道路の所有者が別の個人であることがあり、トラブルの原因になることも。例えば、水道管が破裂した際の修理など、緊急時の対応に支障が出る可能性があります。

理想的なのは、四角形でまとまった土地で、公道に十分な長さで接していて、方角も良好という条件です。もちろん、例外的に工夫された旗竿地や、駅近で価値の高い物件もありますが、一般的には正方形や長方形の土地の方が、使い勝手が良いでしょう。

ところで、土地の形状も問題なく、価格も予想以上に安い物件を見つけることがあります。そんな時は要注意です。なぜなら、「借地」の可能性があるからです。

借地権とは、土地を借りて建物だけを所有する権利のことです。物件情報を確認すると、権利の欄に「所有権」ではなく「借地権」と記載されています。

確かに、「借地権なら固定資産税がかからない」「旧借地権なら更新できる」といったメリットを指摘する声もあります。しかし、特別な事情がない限り、避けた方が無難でしょう。将来、自分の持ち物にならない可能性があるためです。

5. 間取りとデザインの選び方

自分の家を建てるとなると、誰もが理想の間取りやこだわりのデザインを実現したいと考えるものです。

しかし、将来の売却のしやすさを考えると、あまり個性的すぎる間取りやデザインは避けた方が無難かもしれません。

実際、不動産の売却をお手伝いする場面では、有名ハウスメーカーが建てた家でも、あまりにもこだわりが強すぎると苦戦することがあります。

価格面でいえば、住宅ローンの残債があるために、「この金額でないと売れない」という制約が生じることもあります。

そのため、できるだけベーシックな間取りや、一般的な外観を選ぶことをお勧めします。

一見すると「ありきたりだな」と感じるかもしれません。しかし、そこには「最大公約数的な好み」を取り入れているというメリットがあります。

パワービルダーの物件に似たような間取りが多いのも、このためです。もちろん、建築コストを抑えるために部材を揃える必要もありますが、売りやすさを考慮した結果でもあります。

将来の可能性を考えると、自分の好みと売却のしやすさ、その両方のバランスを取ることが重要です。

6. 省エネ性能の重要性

最近の住宅市場で、とても重要な要素となっているのが「省エネ性能」です。

2024年以降、住宅を建てる際には省エネ基準への適合が必須となりました。この基準に適合しない住宅は、そもそも建築確認を受けることができません。


南房総市のホームページより抜粋

省エネ性能は、以下のようなランク分けがされています。
・認定長期優良住宅
・認定低炭素住宅
・ZEH水準省エネ住宅
・省エネ基準適合住宅
・その他の住宅(省エネ基準に適合しない)

そして、これらの性能に応じて、税制優遇の金額も変わってきます。

例えば、省エネ基準に適合しない住宅の場合、所得税の控除額は0円です。


一方最上位の認定長期優良住宅の場合、所得税の控除額が年間30万円程度(借入金4,500万円の場合)となり、これが10年間続くため、総額300万円近い節税効果が得られます。

さらに、ご夫婦2人で9,000万円を借りて購入した場合、2人分の控除を受けられるため、節税効果は更に大きくなります。

省エネ性能の高い住宅は、建築コストは上がりますが、光熱費の削減効果に加えて、このような税制優遇も受けられます。

また、環境性能の高い住宅は、将来の中古市場でも評価される可能性が高く、資産価値の維持にもつながると考えられています。

まとめ

一戸建ての購入は、人生の中でも特に大きな買い物の一つです。

本記事では、将来の売却や賃貸を視野に入れた、賢い選び方のポイントを6つご紹介しました。

  1. 会計上の耐用年数(22年)を知り、建物の価値の考え方を理解する
  2. パワービルダーの特徴を把握し、適切な選び方を心がける
  3. エリア選びでは、商業施設や用途地域、賃貸市場の動向にも注目する
  4. 土地の形状や道路との関係、借地権の有無をしっかり確認する
  5. 間取りやデザインは、個性を出しすぎない方が将来的に有利
  6. 省エネ性能は、税制優遇や将来の資産価値に関わる重要な要素

これらの知識は、理想の住まい選びの際の「物差し」として活用してください。

ただし、これらは一般的な基準であり、すべての条件を完璧に満たす物件を見つけることは難しいかもしれません。

大切なのは、自分たちの暮らしやすさと、将来の可能性のバランスを取ることです。

本記事の内容を参考に、後悔のない住宅選びをしていただければ幸いです。

この記事を書いた人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)

千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。

【保有資格】宅地建物取引士、FP他

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