リノベーション済み中古マンションは本当に損するのか?フルリフォーム物件を選ぶ7つの重要ポイント

「リノベーション済み物件は綺麗で魅力的だけど、通常より1,000万円以上も高額なの?」
「せっかくリノベーションされているのに、なぜ損すると言われているの?」
「中古物件を買って自分でリフォームした方が得なの?」
中古マンションを探していると、このような疑問や不安を持つ方は多いのではないでしょうか。
この記事でわかること
- 不動産会社が行うリノベーションと個人で行うリフォームの価格差
- リノベーション済み物件の値下がりの実態と価格交渉のポイント
- 保証期間や住宅ローン控除での優遇メリット
- 売却時の査定への影響
- 仲介手数料を無料にできる可能性
YouTubeでも宅地建物取引士である代表の沢辺が解説しております。不動産業界のリアルな話をしていますので、より詳細を知りたい方はこちらもご視聴ください。
不動産業界のプロの裏話として
リノベーション済み物件について「損をするから買うな」という意見をよく耳にします。
まず、リノベーション済み物件とは、不動産会社が個人から物件を買い取り、リフォーム・リノベーションを施してから再販売する物件のことを指します。「買取再販物件」とも呼ばれ、住宅ローン控除の関連サイトなどでもこの呼び方が使用されています。
目次
1. リノベーション費用の実態
リノベーション済み物件と通常物件の大きな違いは、業者価格でリノベーション工事が実施されている点です。一般的に、個人が同じような工事を行う場合、1500万円程度の費用がかかります。一方、不動産会社が実施する場合は、その半分程度の600~700万円で同等の工事が可能です。
なぜこのような価格差が生まれるのでしょうか?主な理由は以下の通りです。
- 不動産会社は継続的に工事を発注するため、リフォーム会社から業者価格が適用される
- 個人の場合、打ち合わせや進行管理の費用が上乗せされる
- 一般客の場合、クレーム対応などの費用も考慮される
なお、個人で費用を抑えたい場合は「分離発注」という方法もあります。これは、
- お風呂やトイレを楽天市場などで直接購入
- 『くらしのマーケット』などの外部サービスで職人を手配
- 『アウンワークス』などの職人専門サイトで材料を調達
このように個別に手配することで、リフォーム会社に一括発注するよりも大幅にコストを下げることが可能です。ただし、この場合は自身で調整や管理を行う必要があります。
2. 二重住居費用の発生
リノベーション済み物件と比較する上で重要なのが、自分でリフォームする場合の二重コストの問題です。個人でリフォームを行う場合、工事期間中は二重に住宅費用がかかってしまうという課題があります。
具体的には
- 現在の住居の家賃または住宅ローン
- 購入した物件の住宅ローン
大規模なリノベーションの場合、住みながらの工事は現実的ではありません。工事期間中は仮住まいが必要となり、半年程度の二重支払いが発生する可能性があります。
自分でリフォームする場合は、好みを反映しやすく、リノベーション済み物件で使用されている設備よりも良いものを選択できるというメリットもあります。そのため、二重住居費用が一概にデメリットとは言えませんが、資金面での負担は考慮が必要です。
3. 値下げと価格交渉の可能性
リノベーション済み物件の価格変更の実例として、7,380万円で売り出された物件が、5月の売り出しから7月、11月、そして翌年1月に2回の価格変更(計4回)を経て、最終的に6,490万円で販売されたケースがあります。買主にとっては約1,000万円の値下げとなり有利な購入となった一方、売主はギリギリ損をしない範囲での価格設定だったと考えられます。
このような大幅な値下げは、特定の物件に限ると珍しいケースですが、23区全体、東京全体、首都圏全体、関西全体などエリアを広く見ると、頻繁に発生しています。
半年間で、200~300万円の値下げを2回行うようなケースは一般的に見られます。
このような値下がりした物件を購入した場合や、価格交渉がうまくいった場合
リフォーム済みでない物件と比べて600~700万円の上乗せで1,500万円相当のリフォームが施された物件を手に入れられるケースもあるので
必ずしも損をしているとは言えない状況も生まれています。
このような大幅な値下げが発生する理由は、売主である不動産会社の事情にあります。
- 物件購入時に1年の返済期限のローンを使用
- リフォーム工事期間も返済期限に含まれる
- 実質9ヶ月以内での売却が必要
この時間的制約により、不動産会社は早期売却を優先し、価格を下げる判断をすることが少なくありません。
4. 保証面での優位性
中古物件の場合、基本的に不具合や故障は購入者の責任とされることが多く、中には「契約不適合責任免責」という形で売主が一切の責任を負わないケースもあります。
一般的な中古マンションの保証は3ヶ月間で、主要な設備の不備のみが対象となります。例えば、床暖房が動かないなど、契約時に記載されている設備が使用できない場合に適用されます。
一方、リノベーション済み物件では、設備をすべて新品に交換しているため、10年保証が付いているケースがあります。これは新築マンションと同等の保証期間です。特に築30年程度の物件で配管まで交換されており、10年保証が付帯している場合は、安心感が大きな優位点となります。
先ほど説明した価格の値下がりと、この充実した保証を併せて考えると
選んだ物件によっては
リノベーション済み物件は、"損する"どころか、むしろ"得をしている"可能性があります。リノベーションによって快適な住空間が手に入るだけでなく、経済的なメリットも期待できるのです。
「契約不適合責任」について、下記の記事にて詳しく解説しています。
5. 住宅ローン控除の優遇
買取再販物件には、通常の中古物件とは異なる住宅ローン控除のルールが適用されます。
以前は買取再販物件の場合、還付される金額の最大値が通常の2倍で、1年間で最大40万円(10年間で400万円)の優遇がありました。現在は環境性能が高い買取再販物件のみ1.5倍の優遇措置となっています。
具体的な金額は以下の通りです。
- 通常の買取再販物件:1年間で最大14万円
- 省エネ基準適合以上の物件:1年間で最大21万円
購入時期によっては13年間の優遇を受けられ、その差額は最大91万円になる可能性があります。
6. 売却時の評価
リノベーション済み物件は、売却時の査定でも一定の評価を受けます。リフォーム履歴によって査定価格は変わってきます。リフォーム代の全額は反映されませんが、リフォームの範囲に応じて査定価格は変動します。
また、売却時の価格交渉においても有利な点があります。買主は一般的に「この物件、売主はいくらで購入したのだろう」と気になるものです。
リノベーション済み物件の場合、リフォーム費用込みの金額が取得価格となるため、通常の中古物件と比べて取得価格が高くなります。
一方、リノベーションをしていない場合は、リフォームしていたとしても、取得価額を低く見られやすく
パッとみた時には、ややリノベーション済の物件の印象がよく映ることはあります。
7. 仲介手数料を無料にできる可能性
不動産会社の販売図面に『取引形態:売主』および『手数料:3%+6万円+税』と記載がある場合、この手数料は買主を見つけてきた仲介会社に対して『物件価格の3%+6万円+税』が支払われることを意味しています。
リノベーション済の中古マンションの場合、ほとんどの物件で売主から手数料は出ますので
買主の仲介手数料が無料にできます。イエフリでも無料にさせていただいております。
具体的な金額で見ると、7,000万円の物件の場合、仲介手数料は237万6,000円になります。この金額があれば、キッチンとトイレの交換工事ができるほどの費用です。
仲介手数料無料のサービスは、インターネット検索で確認できる範囲では約20社の不動産会社が実施しています。
売主から手数料が満額支払われる物件の場合、買主からの仲介手数料を無料にしています。
イエフリでも、売主からのみ手数料をいただき、買主からの仲介手数料は無料とさせていただいています。また手数料がもらえない物件でも、買主の仲介手数料は半額にしています。
まとめ:リノベーション済み物件は本当に損なのか?
リノベーション済み物件は一見すると割高に見えますが、以下の要素を総合的に考えると、必ずしも損になるとは限りません。
- リフォーム費用の業者価格でのメリット
- 二重住居費用の回避
- 値下げや価格交渉の可能性
- 充実した保証制度
- 住宅ローン控除の優遇
- 売却時の評価
- 仲介手数料の節約
最終的には、物件の状態や価格、自身の好みなど、総合的に判断して選択することが重要です。
リノベーション済物件を探す際は、下記のサイトも参考になります。
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この記事を書いた人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。
【保有資格】宅地建物取引士、FP他