中古マンション購入の流れ11ステップ|450万円の値引き交渉術も解説
「中古マンションを買いたいけど、何から始めればいいんだろう...」
「住宅ローンって、本当に借りられるのかな」
「値下げ交渉なんて、うまくできるだろうか」
中古マンションの購入を考え始めると、誰もがこんな不安を感じるものです。大切な買い物だからこそ、正しい手順で進めていきたいですよね。
本記事では、実際に450万円もの値引き交渉に成功した宅建士が、中古マンション購入の流れを分かりやすく解説します。事前の準備から引き渡しまで、全11ステップでご紹介していきます。
この記事でわかること
- 失敗しない!購入前の事前準備3ステップ
- 物件探しから引き渡しまでの8つのステップ
- 住宅ローン審査を通すためのシミュレーション術
- 内見時の具体的なチェックポイント
- 450万円の値引きを実現した交渉のコツ
宅地建物取引士である代表の沢辺がYouTubeでも解説しておりますので、より詳細を知りたい方はこちらもご視聴ください。
目次
中古マンション購入の流れ~事前準備3つのステップ~
事前準備STEP1 予算決め
「住宅ローンの審査、通るかな...」
これは誰もが不安に感じる部分ですよね。ただし、ここで注意したいのが、借りられる金額と、実際に無理なく返済できる金額は違うということ。「いくら借りることができるか」という視点だけで判断してしまうと、破綻する恐れがあります。
具体的な借り入れ可能額のシミュレーションと、ファイナンシャルプランニングの結果を見てみましょう。
【ケーススタディ:世帯年収600万円の場合】
■ 世帯年収:600万円
■ 借入期間:35年
■ 他の借入:なし
このケースでの住宅ローンシミュレーションの結果
参考:「楽天銀行|住宅ローンシミレーション」を使用しております
楽天銀行|住宅ローンシミレーション
上記と、下記の前提でファイナンシャルプランニングしてみます。
■ 教育費:私立文系大学進学を想定
【ファイナンシャルプランニングした結果の比較】
<5,000万円借入のケース>
■ 教育費支出時期に大きな資金不足
■ 生活水準の大幅な見直しが必要に
<3,700万円借入のケース>
■ 教育費の支出にも対応可能
■ 生活水準を維持しながら返済可能
<5,000万円借入+扶養内パート収入(103万円)のケース>
■ 教育費や予期せぬ支出にも余裕
■ 将来の金利上昇リスクにも対応可能
参考:下記のファイナンシャルプランニングソフトを使用しております
無料で高精度なライフプランシミュレーションソフトFinancial Teacher System
世帯年収600万円のご家族のファイナンシャルプランニングについては
下記の記事でも詳しく解説しています。
事前準備STEP2 必要書類の事前準備
「初めての不動産購入で、必要な書類がいまいちわからなくて...」
よくある悩みですよね。中古マンション購入では、様々な場面で書類の提出が求められます。必要書類を早めにデータ化して準備しておくことが、スムーズな購入の重要なポイントです。
必要書類チェックリスト
1. 収入証明書類
- 会社員の方:源泉徴収票(2年分)
- 個人事業主の方:確定申告書(3年分)
2. 本人確認書類
- 運転免許証(表・裏両面)
- 健康保険証
【重要】早めのデータ化がカギ
スマートフォンで撮影・スキャンし、クラウドストレージに保存しておきましょう
- 急な書類提出にもすぐ対応可能
- 複数の金融機関への同時申請がスムーズに
- 紛失のリスクを防止できます
事前準備STEP3 住宅ローン事前審査
住宅ローンの事前審査、実はとても大切なステップです。なぜなら、事前審査に通っているかどうかで、売主さんとの交渉力が大きく変わってくるからです。
【事前審査の賢い進め方】
- 複数の金融機関での審査がおすすめ
- どの金融機関で審査を受けてもOK
- 本契約で使う銀行と違っていても問題なし
◆ それぞれの金融機関の特徴 ◆
メガバンク・都市銀行の場合
- 審査は時間がかかりますが、売主さんからの信頼度は高め
- 対面での相談ができて安心
- 不動産会社との連携が強いのも特徴
ネット銀行の場合
- 金利が比較的低めでお得
- 手続きはオンラインで完結して便利
- 審査結果は早いものの、不動産会社に信頼されにくい場合も
ただし、ネット銀行の審査結果は、売主側の仲介に「買える証拠」として見られないケースがあるので、メガバンクや都市銀行の審査を受けるのをおすすめします。
中古マンション購入の流れ~物件購入8つのステップ~
物件購入STEP1 物件検索
【おすすめの物件検索方法:2つのポイント】
1. 『ニフティ不動産』の活用
『ニフティ不動産』を使うと、以下のメリットがあります
- SUUMO、HOME'S、Yahoo!不動産など複数サイトの物件を一括検索可能
- 新着物件をアプリで通知設定できる
- 気になる条件の物件をまとめてチェックできる
- 各サイトの掲載の有無も確認できる
参考:ニフティ不動産
2. 地元不動産会社のウェブサイトチェック
意外と見落としがちなのが地元の不動産会社や大手の仲介会社のウェブサイトです。
- 売主さんの希望で一般公開されていない良物件が見つかることも
- 地域密着だからこそ持っている情報がある
- 大手の仲介会社のウェブサイトに載っている情報は『MansionReview(マンションレビュー)』に登録しておくと情報を知ることができる
物件購入STEP2 仲介会社への問い合わせ
物件を見つけたら、まず確認したいのが「専任媒介契約」の有無です。これは、売主さんが特定の不動産会社だけに販売を任せる契約のこと。
この契約が結ばれている場合、以下の注意点があります。
- 契約後1週間は他の不動産会社を通じた購入ができない
- 最初に問い合わせた会社としか取引できなくなる可能性がある
- 気に入った不動産会社がある場合は、特に慎重な確認が必要
【確認方法】
・不動産ポータルサイトの下部に「専任媒介」「専属専任媒介」の表記がないかチェック
・「媒介」とだけの表記の場合は、問い合わせ時に「専任媒介物件でしょうか?」と確認
物件購入STEP3 物件内見
内見は、売主さんと直接顔を合わせる数少ないチャンス。この時の印象が、その後の価格交渉を左右することも多いんです。売主さんとの対面機会は、この内見の時と、契約・引き渡し時くらいしかありません。
マナー面では、何よりも時間厳守が基本。また、スリッパを持参すると「細かいところまで気が利く人」という印象を与えることができます。
【内見時の注意点】
- その場でネガティブな感想を口にするのは控えましょう
- 「狭いな」「古いな」といった何気ない一言が、その後の交渉に影響することも
- 気になる点はメモやスマートフォンで記録し、後で検討するのがベター
【物件チェックのポイント】
- 各部屋の日当たり(時間帯による違いも)
- 水回りの使用感(排水状況もチェック)
- 壁や天井のシミ・ヒビ
- 窓の開閉具合と結露の跡
物件購入STEP4 申し込みと価格交渉
物件の内見が終わり、いよいよ購入を決意したら次は申し込みです。実は、この申し込みのタイミングこそが、価格交渉の最大のチャンスなんです。
気になる値引き交渉。「失礼にならないかな...」と心配する方も多いと思いますが、適切な交渉は、実は売主さんにとっても納得のいく取引につながります。
知らないと損する「値下げ構文」
ここで、実際に450万円の値下げに成功した交渉術をご紹介します。
大切なのは、以下の順序で話したり、メールやメッセージを書いたりして交渉を進めること。
まずは物件の良さを伝えます。
「内見して、すごくきれいにお使いで、〇〇なところが大変気に入りました。」
次に具体的な住まい方をイメージ共有します。
「和室を洋室に改装したいと考えています」
「また水回りについては、新しいものを入れたいと考えています」
最後に具体的な数字を上げて提案します。
「リフォーム見積もりが450万円ほど必要なため、4,550万円で申し込ませていただけないでしょうか」
この事例での具体的な数字は以下の通りでした。
・当初価格:4,950万円
・提案価格:4,500万円(←450万円の値下げ)
・リフォーム予算:450万円
価格交渉については、下記の記事でも詳しく紹介しておりますので、ぜひご確認ください。
物件購入STEP5 重要事項説明
重要事項説明は、将来のトラブルを防ぐための大切なステップです。ただ、説明が長時間になりがちで、後半は集中力が切れやすいんです。特に注意したいのが以下の2点です。
まず、契約不適合責任について。物件の不具合が見つかった場合の保証範囲や期間(一般的に3ヶ月程度)がはっきりと記載されているか確認しましょう。
次に、書類の後ろの方にある「その他事項」の欄。ここには過去の事故や事件の有無、特殊な取り決めなどが記載されていることがあります。疲れていても、最後までしっかりチェックすることが大切です。
物件購入STEP6 手付金と契約
「住宅ローンで買うのに、なんで現金が必要なの?」
よくある質問ですが、実は契約時には手付金という形で現金が必要になります。金額は一般的なケースで100万円〜150万円、大手デベロッパーの物件では物件価格の5%程度が目安です。
最近では「ゼロテ」というサービスも登場しています。15万円程度の利用料で手付金を保証してくれるサービスで、弊社も含めた一部の不動産会社で導入されています。
他にも、ご親族からの借入や、一時的にパートナーが消費者金融で借りる方法(おすすめはしませんが)も考えられます。
参考:ゼロテ|手付金0円で実現する現金不要の新しい住宅購入
なお、不動産会社が直接手付金を立て替えることは法律で禁止されていますので、そのような提案があった場合は注意が必要です。
物件購入STEP7 住宅ローン契約
住宅ローンの金銭消費貸借契約。難しい言葉ですが、要はローンの本契約のことです。ここで意外と困るのが、平日の銀行への来店です。
【銀行来店のスケジュール】
特に従来型の銀行(メガバンクや地方銀行)では
■ 契約時に1回
■ 決済時にもう1回
■ 計2回の平日来店が必要
ただし、最近は変わってきています。ネット銀行ならほとんどの手続きがオンラインで完結しますし、メガバンクでも一部ネットで手続きができるケースも出て来ています。
物件購入STEP8 決済・引き渡し
いよいよ最後のステップです。決済は通常、金融機関で行われます。住宅ローンの資金が実行され、売主さんへ代金が支払われます。その後、司法書士さんが登記手続きを行い、晴れてマンションが自分の物になります。
まとめ
今回ご紹介した11のステップは、理想の中古マンション購入への道筋です。特に重要なポイントをもう一度おさらいしましょう
- 借入可能額と実際に返済できる金額は違う!
現実的な返済プランを立てること - 必要書類は早めにデータ化して準備
- 住宅ローンは複数の金融機関で事前審査を
- 値下げ交渉は申し込み時が大チャンス
- 重要事項説明は最後まで気を抜かずにチェック
中古マンションの購入は確かに大きな決断です。でも、この記事でご紹介した手順を参考に、一つ一つ着実に進めていけば、450万円という大きな値引き交渉も決して夢ではありません。
みなさんの理想の中古マンション購入が、素敵な思い出となることを願っています。
この記事を書いた人
株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。
【保有資格】宅地建物取引士、FP他