【徹底解説】リースバックで自宅を売却しても住み続けられる!失敗しない8つの注意点
「毎月の住宅ローン返済が重荷になってる・・・」
「家は手放したくないけど、このままでは生活が厳しい・・・」
「住み慣れた環境から離れたくない・・・」
このように悩んでいらっしゃる方に、「リースバック」という選択肢をご提案したいと思います。
「リースバック」という言葉を聞いたことはありますか?あまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。実は、この仕組みを使えば、今お住まいの家に住み続けながら、まとまった資金を手に入れることができるんです。
ただし、ここで注意していただきたいのが、契約内容をしっかり理解しておくことです。なぜなら、最近では多くの不動産会社がこの制度を積極的に提案しており、中には契約条件が不利なものもあるからです。
この記事では、以下の内容について、分かりやすく解説していきます。
- リースバックって、具体的にどんな仕組みなの?
- なぜ今、リースバックが注目されているの?
- どんな条件が整えば利用できるの?
- 契約時に気をつけるべき8つのポイントとは?
- 失敗しないための具体的な対策方法は?
「専門用語は難しそう・・・」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。でも、ご安心ください。この記事では、専門用語も一つひとつ丁寧に説明していきますので、不動産の知識が少ない方でも理解しやすいはずです。
宅地建物取引士である代表の沢辺がYouTubeでも解説しておりますので、より詳細を知りたい方はこちらもご視聴ください。
目次
リースバックって何?仕組みを分かりやすく解説
まず、「リースバック」という言葉を分解してみましょう。
「リース(lease)」は「借りる」、「バック(back)」は「戻る」という意味です。つまり、一度売った物件を借りて戻るという意味なんです。具体的な流れを見ていきましょう。
- 自宅を不動産会社に売却する
- 売却した家を借りて住み続ける
→ ここでの「売却」は、完全に所有権を手放すことを意味します。
→ 「借りる」というのは、一般的なアパートやマンションを借りるのと同じ形式です。
「え?売却して借りるの?それって損じゃないの?」
そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。でも、実はメリットがあるんです。
具体例を見てみましょう。
【60代夫婦の具体例】
<現在の状況>
・住宅ローン残債3,000万円
・毎月の返済額15万円
・返済期間残り5年
・退職まで3年
<リースバック後>
・売却価格5,000万円
・ローン完済3,000万円
・手元資金2,000万円※
・毎月の家賃10万円
※実際は、諸費用の支払いで、残る手元資金は記載の金額より少なくなります。
わかりやすく上記のような記載にしております。
このように、毎月の支払いを減らしながら、まとまった資金も手に入れることができるんです。
なぜ今、リースバックが注目されているの?
「なぜ今になって、こんな方法が出てきたの?」と疑問に思われませんか?
実は、これには不動産市場の変化が大きく関係しています。ここ数年、特に都心部や駅近の物件では、不動産価格が上昇傾向にあります。
「不動産価格の上昇って、どんな影響があるの?」
例えば、10年前に4,000万円で購入した家が、今は5,000万円の価値があるというケースです。
これにより、次のような状況が生まれています。
- 物件の価値上昇
- ローン残債との差
- 不動産投資需要の増加
→ 売却時に余裕資金が生まれる可能性が高い
→ 物件価値が上がることで、ローンを一括返済しても余裕が出る
→ 不動産会社がリースバック物件を積極的に探している
リースバックは誰でも利用できるの?重要な条件を確認
「うちの家でも利用できるかな?」
これが最も気になるポイントではないでしょうか。リースバックを利用するには、いくつかの重要な条件があります。
最も重要なのは、物件の価値がローンの残債よりも高いことです。
「具体的にはどういうこと?」
2つの事例で比較してみましょう。
【利用できるケース】
物件の現在価値5,000万円
ローン残債3,000万円
差額2,000万円のプラス → リースバック可能!
【利用できないケース】
物件の現在価値3,000万円
ローン残債3,500万円
差額500万円のマイナス → リースバック不可
「でも、物件の価値ってどうやって判断するの?」
これは、一つの不動産会社の査定だけを信じるのではなく、必ず複数の不動産会社で査定を受けることをおすすめします。なぜなら、査定金額に大きな開きが出ることがあるからです。
契約時の8つの重要な注意点と具体的な対策
「リースバックを使いたいけど、失敗しないか心配・・・」
そんな不安を解消するために、契約時の重要な注意点を8つご紹介します。それぞれの注意点に対して、具体的な対策もお伝えしていきますので、ぜひチェックリストとしてお使いください。
本当に契約できる?まずは成立可能性をチェック
「リースバック会社に断られることもあるの?」
はい、あります。以下のような場合は、契約が難しくなります。
◆チェックポイント◆
・物件価値とローン残債の関係
・物件の立地条件
・築年数や建物の状態
・あなたの収入と家賃支払い能力
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【実践!具体的な対策】
- 事前に複数の不動産会社で査定を受ける
- ローン残高証明書を用意する
- 収入証明書を準備する
査定金額は適切?買い叩きの罠に注意
リースバックの買取価格は、通常の売却価格より大幅に安くなることがあります。実際の事例では、仲介での売却価格の半額程度になってしまったケースもあるんです。
「どうして、そんなに価格が違うの?」
不動産会社によって、次のような営業手法をとる企業があるからです。
◆要注意ポイント(強引な不動産会社の営業手法)◆
・一括査定での高額査定→実際は値下げ
・契約を急がせる営業手法
・期限を理由にした値下げ交渉
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【実践!具体的な対策】
- 一括査定は避け、個別に査定を依頼する
- 通常の売却価格の相場を必ず確認
- 契約を急かされても、慎重に判断する
買戻しはできる?条件をしっかり確認
「将来、また自分の家に戻れる可能性はあるの?」
買戻しについては、特に注意が必要です。
以下のようなリスクがあります。
◆チェックポイント◆
・買戻し金額が高すぎないか
・そもそも買戻しができるのか
・買戻し時の手数料はいくらか
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【実践!具体的な対策】
- 買戻し条件を契約書に明記してもらう
- 具体的な金額と時期を決めておく
- 手数料の有無と金額を確認する
賃貸借契約の形態は?更新トラブルに要注意
「リースバックの際に使う賃貸契約って、一般的な賃貸契約と同じなの?」
実は、賃貸契約には2種類あります。
1. 普通賃貸借契約
・一般的な賃貸契約
・更新が原則的に保証される
・正当な理由がないと解約できない
2. 定期借家契約
・契約期間が決まっている
・更新がなく、継続する場合は再契約する。
・再契約時に、条件変更を求められるリスクがある。
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【実践!具体的な対策】
- 契約形態を必ず確認する
- 更新条件を明確にしてもらう
- 将来の居住権を保護する条項を入れる
家賃設定は適切?相場との比較が重要
「家賃って、どうやって決まるの?」
リースバックの家賃は、一般的に次の計算式で決められます。
買取価格 × 利回り(8~10%) ÷ 12ヶ月 = 月額家賃
【具体例】
5,000万円の物件の場合
5,000万円 × 8% ÷ 12 = 33.3万円/月
「え?それって高くない?」
そうですね。この計算だと、周辺相場より高くなることもあります。
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【実践!具体的な対策】
- 周辺の賃貸相場を調べる
- 家賃交渉の余地を確認する
- 将来の値上げ条件を確認する
所有権が移転される?売却リスクを理解
「自分の家が他人に売られちゃうの?」
実は、不動産会社があなたの家を他者に売却することは法的に可能です。これを「オーナーチェンジ」と呼びます。
◆起こりうるケース◆
・不動産会社が投資家に売却
・新オーナーによる条件変更
・建物の用途変更の可能性
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【実践!具体的な対策】
- 売却制限の特約を検討する
- 事前通知の義務付けを依頼する
- 居住権保護の条項を入れる
家賃は上がる?将来の支払い増加に備える
「将来、家賃が上がることはあるの?」
特にオーナーが変更になった場合、家賃値上げを求められることがあります。
◆値上げが起こりやすい状況◆
・オーナーの変更時
・契約更新時
・周辺相場の上昇時
・建物の改修後
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【実践!具体的な対策】
- 家賃改定の条件を契約書で確認
- 値上げ幅の上限を決めておく
- 交渉の機会を確保しておく
修繕費は誰が払う?負担範囲を明確に
「エアコンが壊れたら、誰が直すの?」
修繕費は基本的に貸主(オーナー)負担ですが、特約で変更されることもあります。
◆確認すべき修繕項目◆
・設備の故障
・経年劣化
・災害被害
・リフォーム・リノベーション
-
【実践!具体的な対策】
- 修繕負担の範囲を明確にする
- 特約の有無を確認する
- 大規模修繕の扱いを確認する
まとめ:失敗しないリースバック活用のために
いかがでしたか?リースバックについて理解が深まりましたでしょうか?
リースバックは、使い方次第で非常に有効な資金調達手段となります。しかし、契約内容の理解が不十分だと、思わぬトラブルに発展する可能性もあります。
契約前の最終チェックリスト
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事前準備編
- 複数の不動産会社で個別査定を依頼
- 通常売却価格の相場を確認
- 周辺の賃貸相場を調査
- ローン残高証明書の準備
- 収入証明書の用意
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契約内容確認編
- 買取価格の妥当性チェック
- 賃貸借契約の形態確認
- 家賃設定の根拠確認
- 更新条件の確認
- 修繕費負担の範囲確認
-
将来リスク対策編
- 買戻し条件の明確化
- 家賃改定ルールの確認
- 売却制限特約の検討
- 居住権保護条項の確認
- 契約書の専門家チェック
「やることが多くて大変そう・・・」と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。確かに、検討項目は多いですが、これらは全て将来のトラブルを防ぐための重要なポイントなんです。
一つでも不安な点がある場合は、必ず以下の専門家に相談することをおすすめします。
弁護士:契約内容の法的チェック
税理士:税金面での影響確認
ファイナンシャルプランナー:資金計画の相談
また、契約を急かされても、焦って判断する必要はありません。じっくりと検討し、納得してから契約することが、リースバックを成功させる最大のポイントです。
この記事を書いた人
株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。
【保有資格】宅地建物取引士、FP他