永住権がない外国人でも日本の不動産は買える?ローンの組み方もご紹介

世界的にも有名な安全で暮らしやすい国、日本。日本の不動産を購入する外国の方も少なくありません。
こちらの記事では、台湾出身で現在日本に住んでおり、日本の不動産関連国家資格「宅地建物取引士」を持つ筆者が、外国人が日本の不動産を購入する際の流れや方法を紹介していきます。
目次
外国人でも日本の不動産を購入できるのか?
日本の不動産は、基本的に外国人でも購入することはできます。
ただし永住権を所有しているか否かによって、日本の不動産を購入する条件や手順がやや異なります。一番大きな違いは日本の銀行でローンを組めるかどうかです。
そのためご自身の状況を確認し、適切な流れを踏む必要があります。
外国人が日本の不動産を購入する流れと注意点
先ほど外国人でも日本の不動産を購入することができると説明しました。ここからは、実際に日本の不動産を購入する際の流れと注意点を紹介します。
不動産会社を探す
まず日本の不動産を購入するためには、基本的に不動産会社に物件探しを依頼する必要があります。
自分の国で信頼できる不動産会社があれば一番良いですが、なければ日本の不動産会社を探すことをおすすめします。不動産の購入は大金を動かすため、なるべく安心安全な会社を選びましょう。
日本の不動産会社は「東京都知事(1)第○○○○○号」のような宅地建物取引業免許証番号を掲示しなければなりません。「(1)」中の数字は5年1回の免許更新時に+1になるため、数字が大きければ大きいほど、長く続いている不動産会社の目安にもなります。
物件を内覧
不動産会社で気になる物件を見つけたら、次は物件の内覧を行います。
最近は、不動産会社によっては物件の内覧をオンラインで行うことも可能です。しかし後々のトラブルにならないように、実際に現地で内覧することをおすすめします。
不動産購入申込
購入したい物件が決まったら、不動産会社に不動産購入の申し込みを行います。
不動産会社にもよりますが、購入意思を証明するための「申込証拠金」を支払うこともあります。一般的な相場は1〜10万円程度で、実際に契約時に手付金や購入代金に充当されます。
こちらの費用は後ほど紹介する手付金とは異なり、契約前に万が一キャンセルする場合、不動産会社から返却義務がありますので、忘れずお受け取りください。
購入費用の準備
不動産の購入を申し込んだら、いよいよ購入代金の準備です。
こちらは三つのパターンに分けて紹介します。
現金
すでに現金を持っている方は、日本の銀行に預けるか海外から振り込みで不動産の購入代金を支払うことができます。注意点としては、100万円相当額を超える現金等を海外から日本に持ち込む場合、税関への申告が必要であることです。もしお金が海外にある場合、国際振り込みを行いましょう。
自国のローン
現金をお持ちではない場合、自国の銀行からローンを借りることも考えられます。借りられるローンの種類は、国や銀行によりますが、住宅ローンや事業投資ローンなどの可能性もありますので、よく確認した上でご利用ください。
日本のローン
日本でローンを組む場合、基本的に住宅ローンが適用できることが多いです。しかし、投資用の賃貸マンションの場合は住宅ローンが組めない可能性もありますので、ご注意ください。外国人がローンを組む方法は、後ほど紹介します。
重要事項説明を受ける
購入代金が準備できましたら、いよいよ不動産売買契約です。
日本では、不動産売買契約を結ぶ前に、詳しく不動産の状態を説明する「重要事項説明」の手順があります。この説明ができるのは、私のような「宅地建物取引士」資格を持つ人だけです。
重要事項の説明をうけた後は、正式不動産売買契約を交わします。
不動産売買契約を結ぶ
基本的に売主と買主それぞれ1通、計2通の契約書に両者の印鑑で押印し、売買契約を結びます。場合によっては、不動産会社が所持する分を含めて3通になることもあります。
この時に、物件価格の5〜20%程度の手付金を支払うことが一般的です。この手付金は、不動産購入することを決めたことを証明し、万が一キャンセルする場合でも返却されません。逆に、売主の都合によって契約不履行の場合、売主は手付金の2倍の金額を、買主に支払うことが必要です。
決済・引き渡し
不動産売買契約を結んだ後は、引き渡しの期日を決めて、その日に決済することが一般的です。その際に、契約時に支払った手付金も代金の一部として使われます。
支払いが完了し、物件の鍵などを受け取りましたら、不動産購入が完了します。
外国人が日本のローンを組む方法
ここまで外国人が日本で不動産を購入する流れを紹介しました。次は実際に外国人が日本のローンを組む際に、必要な条件や方法を紹介します。
永住権を所持している場合
永住権を所持している外国の方は、基本的に日本人と同じように、日本の銀行からローンを借りることができます。
ローンを組む銀行は、ご自身がメインで使われているメインバンクや不動産会社からの紹介で見つけられます。また各銀行の住宅ローンプランから、金利に納得できるローンを組むこともできます。
永住権を所持しないが居住権がある場合
永住権を持っていないが日本に居住権がある、つまり日本でお仕事や勉強など実際に生活するための在留資格がある外国の方は、一部の銀行のみローンを組むことができます。永住権とは違い、ローンを組める銀行も少ないので、後ほど紹介します。
居住権がない場合
在留資格を所持せず、居住権もない場合は、基本的に日本の銀行でローンを組むことができません。ただし、自国の銀行が日本に支店などがある場合、ローンを組める可能性もありますので、自国の銀行にご確認ください。
永住権がなくでもローンを組める日本の銀行
最後に、永住権を所持していないが、日本での居住権がある外国の方に、ローンを組める日本の銀行をいくつか紹介します。
三井住友銀行
日本の大手銀行の一つ、三井住友銀行は日本の居住権を持っている外国の方であれば、永住権を持たなくてもローンを申し込むことができます。審査条件やローンの金利条件など、借入人によって異なりますが、有名な大手銀行であれば、安心してローンを組むことができます。
東京スター銀行
東京スター銀行は、永住権を所持していない日本在住の外国人向けに、早い段階からローンを提供しています。ただし、日本語の読み書きが理解できることや、日本で正社員としての勤続年数1年以上、税込年収400万円以上などの条件があります。条件を満たす場合であれば、ローンを申し込むことが可能です。
外国人でも日本の不動産購入が可能
外国の方が実際に日本の不動産を購入する流れや注意点を紹介しました。
居住権があるかないかの違いで、日本での不動産購入方法が大きく変わります。特にローンに関して、永住権があればもっとも便利ですが、ない場合でも日本や自国のローンを組むことで、購入代金を準備することができます。
ご自身の状況を確認し、最適な方法で日本の不動産購入を進めていきましょう。
参考:外国人のための日本の不動産購入ガイド|不動産投資の教科書
この記事を書いた人

台湾出身、2012年に来日。宅地建物取引士と上級ウェブ解析士を所持。
旅行業、不動産業、行政書士業を経て、現在は上場企業でマーケティングを担当しています。
◆台湾向け日本情報メディア「羽日本」
◆日本向け暮らしに関する情報メディア「楽暮」
も執筆しています。