中古マンションは一見すると魅力的に見えるものでも、実は建物内部や仕組みなどに問題が潜んでいることがあります。問題を抱えた中古マンションを購入すると、次のような取り返しがつかない事態になってしまいます。

  • 金融機関からの評価が低く融資が付かない
  • 管理費や修繕積立金の負担が大きくなる
  • 資産価値が極端に下がってしまう
  • 住宅ローン控除が使えない

そこで今回は、「買ってはいけないNG中古マンション16選」というテーマで、具体的な16個の条件をご紹介します。マイホームで中古マンションの購入を検討中の方は必見です。

また、YouTubeでも、宅地建物取引士である弊社代表の沢辺が動画で解説をしております。具体的にどのようなマンションが該当するのかもお話しておりますので、より詳細を知りたい方は、こちらも併せてご視聴ください。

旧耐震基準

まずは、1981年5月31日以前に建てられた、旧耐震基準のマンションです。正確に言うと、この日以前に「建築確認申請」が行われた建物のことで、古い耐震基準が適用されている物件は避けるべきです。
旧耐震基準の中古マンションはただ単純に危ないという話だけではなく、金融機関の住宅ローン審査でも不利になります。そもそも旧耐震物件には融資しない、という金融機関もあり、借入条件の選択肢が狭まってしまうのです。
そして、売却時も同様に買う側は金融機関の融資付けに苦労しますので、なかなか売れなくなってしまいます。金融機関は契約者が返済不能になったら、物件を売却して返済資金の調達をしなくてはいけませんので、建物評価が低い物件は要注意です。
いくらリノベーションで内装がお洒落になっていても、1981年6月1日以降に建築確認の承認がおりた、新耐震基準を満たした建物を選ぶことをおすすめします。

借地権

次は、借地権のマンションです。
マンションは複数の世帯で1つの土地を共有しますが、区分所有者は総面積から自分の持つ専有面積に応じた割合で、土地の権利を有します。この土地の権利には、「所有権」と「借地権」の2つがあり、注意が必要なのが「借地権」です。
特別なケースを除いたよくあるパターンでは、50年という土地の期限付きで、期間満了後は更地で返却する、というものです。自分たち1世帯だけが居住する場合、さほど不都合は感じないかもしれません。
しかし、たとえば30年間居住後に売却したい、となると残りは20年しか住めなくなります。幸運にも住みたいという方が現れても、住宅ローンが20年しか組めず、毎月の返済額が高くなってしまい、売りづらくなる可能性が考えられます。
千葉県の幕張エリアなど、周辺一帯で借地権の設定が多い場所がありますが、このような地域は新築物件が出ている場合がありますので、確認してみるとよいでしょう。

エアコンが設置できない

未だに存在している怖い物件が、エアコンの設置ができない物件です。
特に築古物件に多く見られますが、共用廊下に室外機を置いてはいけないという内容が管理規約に設けられている物件があります。このような物件は、窓に付けるタイプのウィンドウエアコンを付けることが多いですが、騒音問題などもあり売りづらさが心配です。
最近ではバルコニーに面していない部屋でも、菅で引っ張り室外機を置けるようになっています。資料上の間取りだけで判断するのではなく、この辺りは一度不動産会社へご確認ください。

フローリング禁止

こちらも築古物件で注意したいのが、フローリング禁止の物件です。
最近は和室から洋室に人気が変わっているので、フローリング禁止物件は少ない傾向にあります。しかし、築古物件では下の階への騒音問題を懸念して、マットなどを敷かない直接フローリングを管理規約で禁止する物件が見られます。
築40年程度の物件で床にマットなどが敷かれている物件は、一度管理規約を確認してみてください。

スラブ下配管

次は、排水管が床下スラブの下側に通っている物件です。
通常、区分所有者の持分とする範囲は「床スラブの上まで」なので、床スラブの上に排水管が通っている物件設計であることが好ましいです。
ここで問題なのは漏水が起こった時、下の階に水が全て流れてしまうことです。保険対応の手間や修繕工事も大変ですし、下の階の住人に迷惑をかけてしまいます。
メンテナンス面で言うと、排水管は20年程度で交換が必要ですが、この構造は床を開けても排水管の交換ができません。こちらも、下の階の同意を得たうえで、天井の工事が必要なのでとにかく大変です。
スラブ下配管かどうかは調べるのが大変なケースもありますが、不動産会社や管理組合
に聞くなどして、あらかじめ調べておきましょう。こちらも築40年程度の物件に多く見られます。

駅から徒歩10分以上

駅まで10分以上歩く物件や、バス便でないと駅まで行けない物件も、これからの時代は考えものです。共働き世帯が主流になっている最近は、家探しをする際、不動産ポータルサイトで「徒歩10分以内」を条件にする人が増えています。
「徒歩7分」「徒歩5分」と、どんどん駅まで近い物件が好まれているように感じます。
ただし、現実的な問題では、都心では手が出せる価格帯でそんな物件がなかなか見つからない、という声もあります。その場合は、その中でも需要が高そうな所を選んでください。
・たくさん検索されている
・空き待ちの人数が多く登録されている
需要を簡単に調べるには、このような方法があります。
また、駅から離れていると、マンションの住民専用シャトルバスが出ている物件も見かけます。雨に濡れずに駅まで行けるので、駅から離れた物件が一概に全ていけないわけではありません。
上述した方法やSUUMOの物件閲覧数データなどを不動産会社からもらうなどして、調べてみましょう。

立地が悪いタワーマンション

上記6で解説した内容と似た意味で、立地が悪いタワーマンションはおすすめできません。そもそもタワーマンションは数百世帯で住むビッグコミュニティだからこそ駅直結のような好条件が成り立ち、それが大型マンションの醍醐味でもあります。
立地が悪いタワーマンションとなると、便利な場所にすぐに行けるというメリットを失ってしまっています。立地やマンション条件次第では「絶対NG」とまではいきませんが、気を付けておきたいポイントです。

総戸数が30以下

総戸数が少ない物件をおすすめしないのは、大きく分けて3つの理由があります。

修繕積立金の負担が大きくなる

10~15年に1度のターンで行われる大規模修繕工事では、物件の資産価値を保つために何億円という資金を投じることがあります。通常は修繕積立金で工事を行いますが、積み立てられた資金に不足が発生すると、各区分所有者が負担しなくてはなりません。
不足金を埋めるため、一時的に100万円以上の高額請求をされることもあり得ます。

滞納発生したときのしわ寄せがくる

また、どこか1つの世帯で修繕積立金の滞納があると、残りの世帯がその分を埋めなくてはいけなくなりますので、負担するしわ寄せが大きくなります。これは修繕積立金だけでなく、管理費も同様です。

理事会の役員が早く回ってくる

区分所有者から構成される理事会などは、役員をローテーションで決めている場合が多く、役割担当が早く回ってきてしまいます。理事会にかかる業務に時間を取られるため、共働き世帯で忙しい家庭は避けた方が無難でしょう。

エレベーターがない

相場よりも安く出ている物件でよく見かけるのが、エレベーターがない物件です。
物件が2、3階の低層階でも、重たい買い物袋や大きな家電などを購入した場合、単純にエレベーターが無い物件は生活しづらいでしょう。
また、1階・3階・5階のようなスキップフロアタイプのエレベーターで4階に住むなど、エレベーターが止まらない物件も、なるべく避けた方が無難です。マンションの大きな魅力は「バリアフリー性」ですが、このような物件はマンション特有のメリットを失ってしまいます。

修繕積立金が安すぎる

修繕積立金が1平米あたり200円以下のマンションは、注意が必要です。
ご自身で修繕積立金の平米単価を算出するのは大変ですが、物件のレビューサイトなどに掲載されているケースがありますので、一度確認してみてください。
購入時に修繕積立金が安すぎる物件は、将来的に大きく値上がりする可能性が高いです。戦略的に短期売却を考えている方以外は、将来の値上がりを覚悟しておきましょう。

自主管理

マンション自体に管理会社がいない物件は資産価値が下がりやすく、また評価されづらいのが特徴です。
住人が建物の掃除やメンテナンスなどの管理を行うので、本当に正しい管理がされているのか不安視されます。これは金融機関からも同様に見られてしまうので、借入が不利になるなどの影響を与えてしまいます。
先述の「旧耐震物件」と同じ考え方で、たとえ購入したとしても、融資が付かず売却時に売りづらくなってしまう可能性があります。中には自主管理でもとても綺麗に保たれている物件はありますが、ローン審査となると評価がつきにくいでしょう。

機械式駐車場の空きが多い

機械式駐車場は、そもそも維持管理費や修理費が高くかかります。
駐車場単体で考えると「空きが多い=駐車場が赤字になっている」場合があり、3階建てのような大型機械式駐車場ではより赤字が膨らみます。赤字になってしまった部分を埋めるには、また区分所有者にしわ寄せがきてしまうのです。
マネーリテラシーの向上など時代の変化で車を持たない方が増えていますので、空き台数は必ず購入前にチェックしてください。

50平米未満のマンション

ファミリーの場合、50平米未満のマンションを持つのは避けましょう。
需要や間取りなどの問題もありますが、最も大きな理由は、住宅ローン控除が使えないことです。
諸条件にもよりますが、住宅ローン控除を利用すると年間で約20万円程度の還付を受けられます。住宅ローン控除は10年程度利用できるので、トータルすると200万円ぐらいの節税ができますので、非常に大きなポイントです。

庭付き・1階

絶対にダメと言うわけではありませんが、1階の庭付き物件は考えものです。
子供やペットのいる家庭からは喜ばれますが、2階以上の居住者から見られてしまいますので、プライバシー面はあまり配慮されません。
外に広いスペースを確保したいのであれば、庭よりもルーフバルコニーがある物件の方がおすすめです。建物の構造上、ルーフバルコニーは上の階から見られづらいように設計されています。
すぐには物件が見つからないかもしれませんが、常に市場に出回っているわけではないので、希少性が高いというメリットもあります。

眺望・日当たりが全くない

リビングからの眺望や日当たりが全くない物件は、住環境として好まれづらいでしょう。単純に売却時のニーズを考えると心配です。
しかし、違う視点からの考え方も重要で、最上階など眺望・日当たりがいい物件は価格帯が高額に設定されていることがよくあります。あまりにも高すぎる物件は、冷静な比較も重要です。

相場とかけ離れている

最後は、マイホーム購入の基本で相場から乖離した価格帯のマンションを避けることです。

  • 広さ
  • 間取り
  • 駅徒歩
  • 築年数
  • 設備

これらを考慮した上で、適正相場であるかどうかを判断しましょう。
また、できれば過去にあったマンションの取引データの確認を推奨します。不動産会社によってもらえない会社もあるかもしれませんが、同じマンションの別の部屋がいくらで取引されているかは、重要な比較ツールです。
取引があったデータの時点から現在までの年数を考慮し、どれだけ違うのかという「飛び出し幅」を冷静に見極めてください。相場よりも高額である場合には、価格交渉できる場合もありますので、予算オーバーしてしまったらチャレンジしてみるのもよいでしょう。
ただし、交渉時に「相場よりも高い」ことを理由にして値下げを要求するのは、売主の気分を害する可能性があり、最善な方法ではありません。この物件が最も気に入っていて購入意欲が高いことを前提に伝えたうえで、リフォームで予算が足りない、他の物件と予算的に迷っているなどの交渉を行いましょう。

まとめ

購入してはいけない中古マンションの条件は、建物の構造や世帯数、立地など内容は多岐に渡ります。築40年程度の築古物件にはとりわけ注意が必要で、誤ってこれらの物件を購入してしまうと、売却時に苦労してしまうでしょう。
正しく物件選定を行うことで20年、30年と居住を続けても、理想の価格で売却することができます。チェックポイントが多いので大変かもしれませんが、冷静な視点で物件を見極めてください。

この記事を書いた人

松原 志津佳(まつばら しずか)

愛知県出身。投資用一棟アパートの販売・管理会社、リノベーション中古物件の仲介会社2社の勤務経験を経て、出産を機にフリーの不動産・金融ライターへ転身。
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)

千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。

【保有資格】宅地建物取引士、FP他

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