マイホームとして中古物件を検討する際に最も気になるのは、雨漏りや見えない内部の構造に、欠陥が無いかについてでしょう。これらの雨漏りや構造の欠陥については「隠れた瑕疵(かし)」と呼ばれ、購入した後のトラブルとしても良く挙げられる内容です。
そんな「隠れた瑕疵」を保証する瑕疵保証付中古物件のポイントは、以下の通りです。
- 隠れた瑕疵は、雨漏り・シロアリ被害・建物構造上主要な部位の木部の腐食・給排水管の故障が挙げられている
- 新築物件は隠れた瑕疵に対して10年、中古物件は売主が個人であれば任意規定、売主が不動産業者であれば2年
- 中古物件の保証を補うのが瑕疵保険付中古物件である
- 2020年4月に瑕疵担保責任は契約不適合責任に変更となり、内容も含めて抜本的な見直しがなされた
- 瑕疵保険の保証内容の範囲を確認した上で、契約不適合責任の内容との比較をしておくことも重要
この記事では、瑕疵保証付中古物件の保証内容について、詳しく説明していきます。
また、Youtubeでは弊社代表の沢辺が「買ってはいけない中古戸建」などの多くの有益情報を発信しております。
目次
瑕疵担保責任と契約不適合責任について
「ねぇねぇ!この中古物件素敵じゃない?内装もお洒落で開放感がすごい!」
「そうだね!でも外観をみると結構古いな…築年数もそれなりに経過してるね。」
「うーん、でも、中身が良ければ問題ないじゃん?金額も安いし、駅にも近いし…」
「たしかに外観は気にしなくていいかもしれないけど、雨漏りとかあったら嫌じゃない?」
一見気付きにくい「隠れた瑕疵」の責任については瑕疵担保責任として売主が保証すべき内容とされていますが、新築物件には「10年間」という長い期間の保証が義務化されているのにもかかわらず、中古物件には「数ヶ月~2年間」という非常に短い期間のみの保証に留まっています。
まずは、近年抜本的な法改正が行われた瑕疵担保責任について確認しながら、法改正によってどのような変更がなされたが、確認していきましょう。
抜本的な見直しが行われた瑕疵担保責任とは
瑕疵担保責任の要件とされる「隠れた瑕疵」とはどのような状態を指すのでしょうか?最初に確認したいのは「隠れた」という定義であり、「買主が売買契約の取引上、一般に要求される程度の注意をしても発見できないような瑕疵」であり、「買主に不注意が無い(買主の善意無過失)」という意味合いを持ちます。
さらに、「瑕疵」の内容については、不動産流通経営協会が作成したテンプレートである標準売買契約書に挙げられているものが参考になります。それぞれ、買主が内覧などでは気付きにくい内容といえるでしょう。
- 雨漏り
- シロアリによる被害
- 構造上主要な部分に関しての木部の腐食
- 給排水管(敷地内埋設給排水管を含む)の故障
これらが見つかった場合、新築物件については10年間(品確法を根拠とする)の責任、中古物件については2年間(宅地建物取引業法を根拠とする)の責任が、瑕疵担保責任として不動産業者に定められていました。
しかし、売主が個人であれば瑕疵担保責任は任意規定とされ、一般的には数ヶ月のみの設定とすることが多いといえます。売主が個人である場合、新築物件を売却していることは考えにくいため、対象は中古物件に限られます。つまり、隠れた瑕疵がありそうな中古物件に対して、数ヶ月の保証しか受けることができず、保証期間後に発覚した隠れた瑕疵は、自腹で修繕をするしかないのです。
このような状態が、日本における中古物件流通が進まない理由ともいえますが、一方で売主である個人に対しての一定の保護という観点も必要です。つまり、あまりにも責任期間が長ければ、個人が物件を売りたくても、安易に売ることできなくなるというデメリットも存在しているのです。
そして、このデメリットを補うために生まれたのが、「瑕疵保証付中古物件」になります。
「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の違い
瑕疵保証の内容に触れる前に、2020年4月1日から施行されている、抜本的な法改正についても触れておきます。まず、名称が瑕疵担保責任から契約不適合責任に代わりましたが、簡単にいえば、売主の責任が重たくなったといえます。具体的な内容としては、隠れた瑕疵が見つかった際に行える買主側の行動に、選択肢が増やされたと考えればよいでしょう。
瑕疵担保責任について、「隠れた瑕疵」が見つかった際の買主の行動としては、
① 契約解除(ただし、契約をした目的を達することができない場合に限る)
② 損害賠償請求(ただし、売主に故意または過失があること)
の2択に加えて、括弧内に「ただし書き」の条件が加えられていました。
新しく規定された契約不適合責任については、
① 契約解除(ただし、契約目的達成はできるが、不履行が軽微でない場合)
② 損害賠償請求(過失から履行利益の範囲への拡大)
③ 追完請求・・・修理の請求ができる
④ 代金減額請求
であり、③と④が増えた上に、①と②の括弧内の範囲が拡大されたのです。
しかしながら、契約不適合責任の適用期間は、2021年1月現時点で代わりはなく、売主が個人の場合にはあくまでも任意規定とされています。中には、契約不適合責任の期間を1週間などと定めている場合もあるため、期間については十分に注意しましょう。
瑕疵保証付中古物件とは?
瑕疵担保責任や契約不適合責任を回避するための手段として、瑕疵保証付中古物件を購入するという手段があります。続いて、瑕疵保証付中古物件の内容や、注意点について説明していきます。
瑕疵保証付中古物件と種類
「瑕疵保証」については、売主が不動産業者の場合と、個人の場合とで大きく異なります。売主が個人の場合には自ら「瑕疵保証」を付ける必要があるのです。
売主が不動産会社の場合
売主が不動産業者の場合、瑕疵担保責任を補うために、不動産会社があらかじめ瑕疵担保保険(契約不適合責任保険)に加入しているケースが考えられます。つまり、不動産業者が中古物件などを売買する前に保険に加入をし、「瑕疵保証付中古物件」として販売しているわけです。
売主が個人の場合
売主が個人の場合には、買主が能動的に瑕疵担保保険(契約不適合責任保険)に加入しなければなりませんが、手順がやや複雑です。
まず、瑕疵担保保険(契約不適合責任保険)の被保険者はインスペクション会社になります。インスペクション会社とは、住宅に瑕疵が無いかなどについて、専門家が住宅診断(ホームインスペクション)をしてくれるサービスを提供している会社のことです。保険会社は、この会社の住宅診断が問題無いということに対して保証を付けるのです。
つまり、売主が個人の場合には、中古物件の売買契約前にあらかじめ住宅診断を行い、問題がないことを確認した上で、決済までの間に保険に加入するという段取りが必要となります。売買契約前に住宅診断を行うことで、物件に問題があるかどうかの判断にもなるわけです。
ただし、万が一問題がある場合にはどうしたらよいのでしょう。買主の判断としては売買契約を止めるという選択肢を取ることができますが、ここから先は売主の判断です。修繕をするから購入してほしい、値段を下げるから購入してほしい、もしくは、売るのを止めるという判断も売主次第です。
もしここで、売主が売るのを止めるとなった場合、住宅診断の費用負担を弁済してもらえるわけではありません。つまり、住宅診断の費用負担が無駄という結果になってしまいますが、瑕疵のある物件を購入せずに済んだという考え方もできるため、安心のための住宅診断と考えたほうがよいでしょう。
保険適用範囲の確認と契約不適合責任の枠組みとの比較をしましょう
瑕疵保証を付けることで、中古物件に対する売主の既存の責任期間や責任範囲を広げることは可能ですが、その保証の適用範囲や期間については、サービスによって異なります。シロアリは対象外など、もともと瑕疵担保責任に含まれている内容が除外されている可能性もありますので、その保証範囲や期間については事前にしっかり確認しておきましょう。
また、2021年4月の法改正後の瑕疵保証については、先に述べた契約不適合責任の内容について、どの程度反映されているかの確認も必要でしょう。法令は新しくなったのにも関わらず、保証の内容が古いままでは、売主に対する既存の責任期間が終わった段階で保証のグレードが実質下がるといえるのです。
こちらの記事では中古マンションを購入するときの注意点を詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
おわりに:瑕疵保証は中古物件にとって重要!「契約不適合責任」との違いも確認しましょう
法改正が行われて間もなく一年が経ちますが、瑕疵担保責任の内容は契約不適合責任という名称変更に伴い、その適用範囲が広げられたとはいえ、中古物件を個人から購入する場合の責任期間については相変わらず任意規定です。
中古物件を購入した後にトラブルにならないよう、不動産業者が販売する瑕疵保証付中古物件を選んだり、売主から中古物件を購入する際には、自腹であっても売買契約前に住宅診断を行うなど、万が一の際の備えについては十分に検討すべきでしょう。
この記事を監修した人

宅地建物取引士小林弘卓
長野県軽井沢生まれ、群馬県高崎市育ち。教員免許を取得したのち、教育関係の仕事に従事も、現場にて母子家庭や貧困家庭を目の当たりにし、何か役に立つことはできないかと決起。ファイナンシャルプランナー2級およびAFP、宅地建物主任者の資格を取得後、家計のやりくりから投資運用などお金のアドバイスだけではなく、様々なお悩み事を第3者の視点でアドバイスすることを目的とした「トータルアドバイズ」代表として活動。九星気学鑑定士としての人生相談も好評を得ている。