不動産購入時に課税される消費税の内訳と概算、節税のための不動産会社選びについて

2019年10月、消費税が10%に増税された代わりに、国民の消費行動が過度に抑制されないような対策として設けられたのが、住宅ローン減税やすまい給付金などの特例措置です。
結果として、2%の負担増となった消費税ですが、そもそもマイホームなどの不動産購入時に消費税課税の対象となる名目にはどんなものがあるのでしょうか。

不動産購入時に課税される消費税のポイントは以下のとおりです。

  • 売主が個人の場合は土地・建物の購入共に非課税
  • 売主が業者の場合は土地の購入部分のみ非課税
  • 住宅ローンに関する事務手数料や融資手数料は課税対象
  • 登記を代行する司法書士などに支払う手数料は課税対象
  • 不動産仲介業者に支払う仲介手数料は課税対象

この記事では、不動産購入時に消費税の課税対象となるそれぞれの項目についての説明と、消費税の概算、そして、節約方法までお伝えします。

また、「仲介手数料を無料にする方法」について、Youtubeで弊社代表の沢辺が解説しております。お得に物件を購入できるチャンスなので、ぜひご覧ください。

不動産購入時に課税される消費税の内訳

「消費税が増税されたけど、あんまり実感無いというか、気づかないうちに負担になってるのよね?」
「2%だから100円で2円だもんね。たしかに体感しづらいかもね。」
「車とか高額なものを買う時に感じるのかな…そういえば、来年予定しているマイホームの購入はどうなのかな?」
「たしかにマイホームとなるとかなりの高額だし、仮に3,000万円だとしても10%だから300万円ってこと?そうなると、消費税のインパクトは大きいかもね。」

まずは、消費税の定義について理解をした上で、それぞれの名目について詳しく確認していきましょう。

消費税とは

消費税は、消費に対して課される租税であるという定義であり、支払う方法によって直接税と間接税に分類されます。送られてきた納付書で直接納税するような固定資産税や自動車税などは直接税に分類され、買い物などをする際にお店が一時的に税金を預かり、その後、国に納付されるような消費税やたばこ税などは間接税に分類されます。

なお、国に対して消費税の納税義務が発生するのは、消費税の課税事業者のみです。つまり、免税事業者に対しては消費税を支払う必要が無いことはもちろんのこと、個人についても対象外とされています。そして、不動産売買契約においては売主が一般的な法人事業者だけではなく、個人事業者である場合もあれば、個人であることも多いため、注意が必要です。 

なお、免税事業者に認定される条件は、一定の期間について発生した課税売上高が1,000万円以下である場合や、開業して2年以内の場合などが挙げられますが、免税業者が消費税を徴収することは何ら問題ありません。消費税の免税制度はあくまでも事業を営む事業主に対して行われている制度であることを理解しておきましょう。

参考:
間接税・直接税の分類の解説
[税のしくみ] 税の種類と分類 | 税の学習コーナー|国税庁
固定資産税の説明
固定資産税とは?計算方法や安くなるコツ(減免措置)、いつ、どのように払う? | 住まいのお役立ち記事
自動車税の説明
自動車税は13年経過で高くなる!?廃車にすべき?税額早見表や安くする方法を解説

不動産売買契約関連で課税される消費税

不動産売買契約関連で課税対象となりうるのは、物件代金、仲介手数料、登記や測定業務を行う士業に対しての手数料、住宅ローン融資に関する手数料の4種類といえます。それぞれの名目を詳しく確認していきましょう。

物件代金

まず、土地には、そもそも消費をするという概念が無いため、消費税の課税対象とはされていません。よって、課税対象となりうるのは建物部分ということになります。

そして、先にも述べた通り、売主が事業を営んでいない個人の場合には課税対象にはなりません。個人であっても、マンション投資を複数かけもちで行っており、節税対策のために個人事業主として活動している場合であれば、課税対象になる可能性もありうるのです。

また、マンションの場合には、その価格に土地代が含まれていると考えて差し支えありません。具体的には、マンションが建築されている土地に区分所有権が割り当てられ、付与されているイメージです。つまり、売主が課税業者の場合、消費税が課税されることになりますが、土地は原則非課税ですから、消費税として徴収される金額から建物部分の料金を逆算することも可能です。

なお、マンションの区分所有権は分離処分の禁止(区分所有法第22条)が原則ですが、戸建ての場合には、抵当権の実施などにより土地と建物の所有権者が異なることも少なくありません。これは、法定地上権などが認められているためですが、詳しい説明は割愛します。

仲介手数料

売主と買主の間に入り、物件探しから価格交渉、契約書面の作成など事務周りのサポートをしてくれるのが不動産仲介業者ですが、売買契約が成立した際に不動産仲介業者に報酬として支払うのが、仲介手数料です。

仲介手数料は、「物件代金×3%+6万円」という速算式で求めることができますが、実際には算出した金額に消費税を上乗せする金額までは報酬の上限として受けとることが可能です。売買契約の当事者ではないものの、消費税の規定である「事業者が事業として対価を得て行われる取引(サービスの提供)」に該当するため、課税対象とされています。

不動産の仲介手数料については、こちらの記事で詳しく解説しています。

仲介手数料をなぜ無料にできるのか?からくりを知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

登記や測定業務を行う士業に対しての報酬 および 住宅ローン融資に関する手数料

仲介手数料と同じく、登記作業を依頼する司法書士や、境界線を測定する土地家屋調査士に支払う報酬、住宅ローン融資に関する手数料についても、「事業者が事業として対価を得て行われる取引(サービスの提供)」として課税対象とされるものです。

なお、住宅ローン融資に関する手数料としては、融資手数料かローン保証料のいずれかが高額に設定されているか、利率にこれらの費用が内包されて設定されている場合が考えられます。つまり、消費税がいくらかかっているかという視点よりも、住宅ローンの初期費用を含めて、完済するまでの全体を見通した費用として比較する必要があります。ちなみに、融資手数料とローン保証料については、どちらも消費税の課税対象です。

消費税が非課税である取引の場合には、特例の適用範囲を確認しておくことに注意!

売主が個人である場合には、物件代金は非課税とされますが、冒頭に触れたとおり、住宅ローン控除やすまい給付金などの特例はあくまでも消費税増税の対策として設けられたものです。特例を受けることができるかどうか、または特例の適用範囲などについては事前に確認しておくべきでしょう。

たとえば、住宅ローン控除の特例については、消費税無しの場合、年間控除額を計算する際の借入金年末残高の上限が低く設定されているほか、拡充措置の適用に関しても「消費税10%で住宅を取得等し、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に居住すること。」という条件が定められています。

物件の表示価格にプラスして消費税がかかるの?

広告などにおける物件の表示価格については、税込価格であるとの認識で間違いありません。マンションなどの場合には、建物価格と土地価格を分けて掲載しており、それに対しての消費税価格を掲載している不動産会社もありますが、非掲載であることも少なくありません。

営業担当者などに口頭で確認しても問題ありませんが、少なくとも売買契約書には消費税額が明記されますので、いずれは正しい金額を知ることができるでしょう。

なお、マイホーム購入時に必要な貯金については、こちらの記事も参照ください。

消費税の概算と重要な不動産会社選びについて

不動産購入における消費税の課税対象が分かったところで、消費税だけを考えた場合の概算はいくらぐらいになるでしょうか。また、消費税の節税対策を記載します。

不動産売買契約に関する消費税の概算

仮に物件価格を3,000万円(建物価格1,500万円、土地価格1,500万円、税抜)とした場合に、課税対象である4種類の費用に関して消費税の概算を算出してみます。なお、売主は課税業者であると想定します。

物件代金…1,500万円×10%=150万円
仲介手数料…3,000万円×3%+6万円=96万円×10%=9.6万円
登記や測定業務を行う士業に対しての報酬…約10万円×10%=1万円
住宅ローン融資に関する手数料…約80万円×10%=8万円

概算は約170万円となりますが、やはり物件代金にかかる消費税の金額には、インパクトを感じられるのではないでしょうか。本例の場合、2%の増税で30万円の負担増となっているのです。

手数料無料の不動産会社を選べば消費税対策になる

物件代金については、住宅ローンに関する特例措置などを活用することで消費税増税分を軽減することが十分に可能ですが、それ以外の費用について特例措置などはありません。ただし、不動産仲介業者に支払う仲介手数料に課税される消費税については、節税できる可能性があります。

それは、仲介手数料を無料や半額としている不動産会社を選ぶことです。先ほど計算した例であれば、仲介手数料だけでも100万円を超える金額負担となっています。この金額は不動産会社の主たる報酬ですが、仲介手数料の仕組みによって、買主側の仲介手数料負担を無料とすることが可能なのです。

仲介手数料無料の仕組みについては、こちらの記事を参照ください。

おわりに:不動産購入時にかかる消費税総額はそれなりの費用である

たかが2%の増税であっても、購入する対象の価格が大きければ大きいほど、消費税として徴収される額にインパクトがありますが、マイホームは人生の中で一番高価な買い物といえるだけあり、購入にかかる消費税は高額です。

消費税対策として設けられた政府主導の施策や自治体独自の補助金なども調査しながら、仲介手数料を無料や半額としている不動産会社を選ぶなど、十分な節税対策を心掛けるべきでしょう。

この記事を監修した人

宅地建物取引士小林弘卓

長野県軽井沢生まれ、群馬県高崎市育ち。教員免許を取得したのち、教育関係の仕事に従事も、現場にて母子家庭や貧困家庭を目の当たりにし、何か役に立つことはできないかと決起。ファイナンシャルプランナー2級およびAFP、宅地建物主任者の資格を取得後、家計のやりくりから投資運用などお金のアドバイスだけではなく、様々なお悩み事を第3者の視点でアドバイスすることを目的とした「トータルアドバイズ」代表として活動。九星気学鑑定士としての人生相談も好評を得ている。

個人ブログ:https://ameblo.jp/total-advise-company/

関連記事