これからマイホーム購入を検討されている方の中で、多くの人が「自分は一体いくらまでの家が買えるのか?」と疑問を抱いていることでしょう。
弊社が心配しているのは、内見でご案内をしていても、住宅ローンの借入額についての知識が曖昧、年収に対して高めの金額で検討している、というお客様が意外と多くいらっしゃることです。
また、他社からされた営業トークで、住宅ローンの失敗談について正直ゾッとする内容を耳にすることもあります。
そこでこの記事では、下記3つの内容についてご紹介します。
- マイホーム購入で考えるべき2つの住宅価格の違い
- 世帯年収600万円の家族が購入できる住宅価格とは?
- 年収600万円世帯の返済シミュレーション
今回は、日本の平均世帯年収600万円の家族を対象にして、実際の返済シミュレーション結果を共有していきます。マイホーム購入を検討中の方は、是非ご覧ください。
また、Youtubeでも、宅地建物取引士である弊社代表の沢辺と、宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー2つの資格を持つ弊社社員による対談を行っています。
より詳細を知りたい方は、こちらも併せてご視聴ください。
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マイホーム購入で考えるべき2つの住宅価格の違い
あまり知られていませんが、マイホーム購入時における住宅価格に対しては2通りの考え方があります。家族の一生を左右する非常に大切な内容ですので、まずは2つの考え方の違いから解説します。
その1: 宅建営業として購入できる最大の金額
1つ目は、不動産会社の担当者が営業トークとして使うことが多い「最大借入可能額」を基準にする考え方です。
これは多くの不動産営業担当者が口にしている、「金融機関によって住宅ローンの借入が承認される最大の金額」に値します。多くの場合、特定の年収に対して何割または何パーセントといった算出方法が使われています。
この金額を鵜呑みにして購入してしまうと、実は家計が破綻してしまう可能性が高くなり、非常に危険です。
たとえば、子どもが小さいうちは問題なく返済ができても、成長につれて食費や教育費などの支出が増加し、家計が回らなくなる事態に陥る可能性があります。
最大借入可能額で住宅ローンを組む、あるいは毎月の返済がギリギリになる金額で借り入れをする場合、家計破綻や住宅ローン破綻に陥る事態も想定しておかなければなりません。
その2:FPとして家計破綻しない範囲で購入できる金額
2つ目は、ファイナンシャルプランナーが今後の生活を見越した上で推奨する「借入適正額」を基準にする考え方です。
年齢や収支、家族構成、保有資産など人それぞれの取り巻く状況から、バランスをみてファイナンシャルプランを立て、家計を圧迫せず返済できる借入適正額を算出します。
実際に物件の内見会場へ行ってみると、お洒落な建物やピカピカで素敵な内装にマイホームへの夢が膨らみ、購買意欲が掻き立てられます。
「これぐらいなら大丈夫だろう」と住宅ローンを組んでしまう方を見かけますが、特に子供が中学~大学までの支出に関しては、慎重にならなくてはなりません。
この記事を読まれた方には、ぜひご自身の「借入適正額」を把握したうえでマイホームを購入していただきたいです。
現在は、インターネット上で住宅ローンの返済シミュレーションをできるサイトがたくさんありますので、活用していきましょう。
年収600万円の家族が購入できる住宅価格とは?
では、借入のイメージをしやすくするために、実際に日本の平均である世帯年収600万円の家族における「最大借入可能額」および「借入適正額」をご紹介します。
最大借入可能額
今回は年収の10倍の借入が可能であり、幅広い職業の方が使えるフラット35を使って算出していきましょう。
2022年12月時点での金利1.91%、返済期間35年で計算すると、年収600万円で借入可能な最大額は5357万円となります。
不動産業者として営業をされている方々はさほど疑問を持たず、「この金額でいけますよ」と言われているかと思います。
また、営業経験が浅い担当者は「借入適正額」をしっかり理解せず、お客様に説明してしまっている場合もあります。
算出については「フラット35シミュレーション」を使いました。
ご自身の必要情報を入力すると、簡単に算出することが可能です。
※金融機関ごとに承認基準は異なりますので、上記金額はひとつの目安としてお考え下さい。
借入適正額
借入適正額については、実際にファイナンシャルプランナーが使用するソフトを用いて算出したところ、3,700万円という結果になりました。
最大借入可能額と1,000万円以上も差が開いているのには非常に驚きますが、この適正額を知らずに購入してしまっている方が意外と多くいらっしゃいます。
不動産会社選びのポイントとして、お客様の将来まで親身に考え、借入適正額をきちんと提示してくれる業者を選ぶことも大切です。
借入適正額については、必ずしもこの金額で借入することを推奨しているのではなく、この金額を1つのボーダーラインとして、それ以下で借入を行うと無理なく返済ができるものとしてお考え下さい。
年収600万円世帯の返済シミュレーション
この章では、先ほどの世帯年収600万円のモデルケースで算出した「最大借入可能額」と「借入適正額」の2パターンにおいて、返済シミュレーションをしていきます。
借入額1,000万円の差は、家計にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
【仮定条件】
・夫:年収600万円、妻:専業主婦
・お子様1人(※高校までは公立へ通い、4年制私立大学へ進学)
・家賃以外の生活費を26万6,000円とする
生活費に関しては少々高く感じるかもしれませんが、上記は統計局による平均値であり、各家計によって生活水準や生活費の支出額は異なります。
実際にシミュレーションされる際は、家庭の生活費を試算した上で行って下さい。
最大借入可能額5,200万円でシミュレーション
さきほどフラット35で算出した最大借入可能額より100万円低い、5,200万円で借入するとしましょう。
購入時点において貯蓄0、この状態で該当条件に当てはめると、実はスタート時点からマイナスになります。年収600万円、貯蓄0で5,200万円の住宅ローンを借り入れることは、ファイナンシャルプラン上、少々無謀な金額のようです。
では次に、購入時点で貯蓄600万円の状態からスタートしてみましょう。
貯蓄600万円だと少し余裕がありそうに思えますが、実は子供が高校進学のタイミングでマイナスになってしまいます。さらにこのマイナスは大学進学まで膨らみ続け、老後までプラスには戻りません。
現実的な話では、私立大学への進学費用を奨学金に頼るなど、子供の進学に何かしら制限しなくてはならない状況になるでしょう。どうしてもこのランクの住宅を購入したい方は、奥様と共働きで収入を増やしたり、生活費を節約したりといった調整が必要です。
借入適正額3,700万円でシミュレーション
次に借入適正額である3,700万円で、同様にシミュレーションしてみましょう。
借入適正額の場合、子供が大学進学のタイミングで貯蓄がギリギリでプラスの状況にまで落ち込みますが、この後に持ち直して65歳で無事ローン完済できます。その後、老後までマイナスになることなく推移しているので、現実的な金額と言えそうです。
ただし、中学受験や私立高校への進学、子供が2人以上になることを想定するとマイナスに転じてしまう可能性は十分ありえるので、いざという時の出費を考えると、もう少し余裕が欲しいところではあります。
まとめ
本記事では、世帯年収600万円の家族がいくらまでの住宅を購入できるのか、をテーマに解説しました。
今回は固定金利の1.91%でシミュレーションしましたが、変動金利にしてみると0.3%台などの低金利で返済金額を下げることができます。
これからマイホーム購入を検討されている方は、購買意欲が高まっても即決せず、ご自身の返済計画についてしっかりとプランニングした上で購入するようにしましょう。
この記事を書いた人

松原 志津佳(まつばら しずか)
愛知県出身。投資用一棟アパートの販売・管理会社、リノベーション中古物件の仲介会社2社の勤務経験を経て、出産を機にフリーの不動産・金融ライターへ転身。
【保有資格】宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
この記事を監修した人

株式会社ユナイテッドリバーズ代表取締役沢辺敦志(さわべあつし)
千葉県出身。自身の自宅購入時に、不動産仲介会社に不満を持ったことをきっかけに不動産売買仲介業を開業し、不動産仲介手数料無料機構イエフリをオープンさせる。
自身の苦い経験から、受付・接客業務に特にこだわってチームづくりを心がけてサービス運営している。
趣味は料理、二児の父。

株式会社ユナイテッドリバーズ社員 寳代 将貴(ほうだい まさき)
総合的な不動産仲介・管理を行う会社で7年間勤務した後、株式会社ユナイテッドリバーズへの入社をきっかけに売買仲介に特化して活動するようになる。
関西出身。長年の不動産営業経験により、エリアを問わずご案内対応が可能。
【保有資格】
宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランニング技能検定2級